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第二夜 性少年のジレンマ
9.失恋……したんだよなぁ。なかなかテンション上がらない毎日
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――なんで、こんなことになってんだ?
「っ、ぁ、む……りっ」
ものすごい圧迫感に息をつまる。ようやく声を絞り出すと、長い指があやすように俺の前髪をかきあげた。
「大丈夫。……力抜いて、捺くん」
優しくって柔らかい声。
宥めるように今度は腰のあたりを撫でられて――そして苦しさのせいで半勃ちにまで萎れてしまった俺の息子に手が添えられた。
びくん、とそれに反応して気が緩んだ瞬間。
「ッ!! ぁあっ」
ぎちぎちと、俺の身体は貫かれた。
なんで―――こんなことになったんだろう。
「ほら、入ったよ?」
生理的な涙をこぼした俺の目元にキスを落とす……男。
今日初めて会った……この人と、なんで……、俺は――。
【第二夜 性少年のジレンマ】
ケータイのデータフォルダを表示させて何度もスクロールさせる。
でもそこに目当てのものはなくって、何度もため息がでてしまう。
あの日――俺が松原のマンションに泊った翌日。
俺は帰りの電車であのムービーを削除した。
"たぶん"、"好き"って気持ちはあるけど、やっぱり松原とどうこうなるなんて無理だろうから。
不純な想いを全部捨て去るために削除したんだ。
だけどあれから1カ月。
捨て去るどころか全然忘れることもできねーうえに……時間が経つ分、俺はどんどんだめになっていってる気がする。
あの夜の、あの快感が――、どうしても忘れられずにいた。
「……っ、ぁっ!」
びくびくと痙攣しながら白濁を吐き出すのは俺の息子くん。
女の子を喜ばせることができる自慢の息子だってのに、今夜もまた俺の手の中で果ててる息子くん。
……虚しい!
ベッドの上で自慰行為に耽ってた俺は枕もとのティッシュを取って息子をきれい拭いた。
ほんとうになにやってんだろ、俺。
こんなに毎日のようにオナニーしてるなんて、中学生のころ……童貞だった時以来じゃねーかな。
しかも女の子とは1カ月ちょっと前に、カナちゃんとシたっきり。
松原とのことがあってから何人かの女の子に誘われたりしたけど、どうしても気が乗らなくって断ってしまってた。
本当に忘れたいならヤりまくったり、合コンでもいきまくったほうがいいのかもしんねーけど……。
「あー!!」
頭ん中がごちゃごちゃして髪をかきむしる。
ぎゅっと目をつぶったら浮かんでくるのはあの夜のことばっかりで。
オナニーしたって……欲求は治まってない。
逆に増すばっかりだ。
――快感が、違うから。
息子扱いてイってって、気持ちいいけど……あのとき松原にイかされたときの刺激は比べ物にならないものだった。
でも、だからって自分で後を弄るなんて、そんなことできるわけもねーし。だってなんか怖いし。そこまでいったら、ちょっとヤバい気するし……。
ブレーキかけてオナって、発散させてるはずなのにどんどん欲求はたまっていってた。
そしてどんどんわからなくなってく。
俺はいまも単純に松原のことが好きなのか、それとも――。
あのときの快感を忘れられないだけなのか。
……そのどっちも今の俺には重すぎて、ただ苦しいだけのものだった。
***
「な、なんで!?」
夏休みも残り僅かの日、俺は和の家に来てた。
おばちゃんが出してくれた氷たっぷりのコーラを飲んでた俺は、ただただびっくりして雑誌を放り投げる。
「なんでって……会社からの都合だろ? 詳しいこと俺が知るわけないだろ」
和はうざぞうに言ってゲームを続けてる。
「……」
そんなんわかってる。
でも、気になるんじゃねーかよ!
文句は言いたいけど、それは飲み込んだ。
なんで、って――。逆になんで気にするんだって言われそうだから。
実優ちゃんの叔父さんが帰国したことを……、俺が気にするのは変だから。
『三日前、ゆーにーちゃんが帰国したって』
ついさっき、和が俺に報告してきたこと。
七香伝いで聞いたらしいそれは、なんかわかんねーけど、胸がモヤモヤする。
『実優、マンション行ったり来たりして、今週は忙しいらしい。だから来週遊びにいく――』
夏休み最後にちょっと遠出して遊園地でも行こうかって計画が経ちあがってた。
その日程調整で実優ちゃんがひっかかったってこと。
それも急に帰国することになったらしい叔父さんの身の回りの世話をしてやるために……。
「……ろ」
「あ?」
俺の呟きを拾った和がちらり目を向けてくる。
『世話なんて必要ないだろ』
そんなこと言ったなんて、言えるわけないから「なんでもない」って首を振る。
先月、夏休み前に実優ちゃんがニューヨークに行って、結局帰国したのは夏休み入ってからだった。
2週間近く松原のこと一人にしといて、今度は帰国した優斗さんのために松原をまた一人にして―とか……ありえねーだろ。
だって28だろ?
別に身の回りのことなんて一人でできるだろ。
実優ちゃんちょっと過保護過ぎんじゃねーのか?
松原は――……。
気づけば大事な女の子だったはずの実優ちゃんを非難して、松原のことばっかり考えてしまってる俺。ありえねぇ……。
――でも……俺だったらヤダ。
いくら関係切れてるっていったって、叔父だからっていったって前の男のところに通ってるっていったって。
俺なら――――。
「バカねー、なっちゃん! 逆よ逆ー!」
ぐだぐだ考えてた俺にそう言ったのは和じゃなくってオカマのミッキーだった。
和ん家から夕方帰って、俺はなんとなく従兄のマサ兄がしてるバーに行った。
そこに出勤前のミッキーがいて、こりもせずに俺はミッキーに恋愛相談?をしていた。
もちろん、この前のときのように松原が男だっては言わずに、男女逆転させてだけど……。
「……逆って、なにが?」
ピーナッツをつまみながらミッキーを見ると、ガタイのいいオカマはキモイ笑顔を俺の目前に寄せてくる。
「だ・か・ら~! チャンスってことよ!」
「チャンス?」
「そうそう! だってさ? 元カノが戻ってきて、そこに出入りしてるわけでしょ、その彼氏が」
「ん」
「だからさ~、元カノに頼んじゃえばいいのよ」
「……は?」
「元サヤに戻っちゃえーみたいな~。そんでもってなっちゃんはその隙にお目当てのカノジョを射止めちゃうってわけ!」
「……でも、元カノがいまでも好きかとかわかんねーじゃん」
「まー、そうだけど。でも当たってみてそんはないと思うけどぉ~」
「……」
この前もそうだけど……オカマアドバイス、結構えぐいな……。
なんかこの前からすっげぇ姑息な手使って落とせっていわれてる気がする。
……実際媚薬使ってしまった俺が非難できることじゃねーけど。
「なによ~、反応薄いわねー!」
ミッキーは不満そうに頬を膨らませて「ぷんぷんっ」なんて言ってる。
似合わない、ってことは優しいから言わないでおくけど、ミッキーから視線をそらせて目の前の空になったグラスを見つめる。
グラスには溶けて崩れた氷が入っていて、表面には水滴がいくつもついていた。
俺の曖昧な想いも全部溶けだして蒸発しちまえばいいのに……。
って、俺ってば詩人っぽい!
「……はぁ」
「もうっ! なによ~、辛気臭いんだからぁ!!」
バシバシと強い力で背中をミッキーが叩いてくる。
めちゃくちゃ痛くって顔をしかめてる俺にマサ兄がジントニックを持ってきてくれてそれを飲んだ。
話しはミッキーの恋愛話になって、適当に酒を飲みながら聞き流した。
「っ、ぁ、む……りっ」
ものすごい圧迫感に息をつまる。ようやく声を絞り出すと、長い指があやすように俺の前髪をかきあげた。
「大丈夫。……力抜いて、捺くん」
優しくって柔らかい声。
宥めるように今度は腰のあたりを撫でられて――そして苦しさのせいで半勃ちにまで萎れてしまった俺の息子に手が添えられた。
びくん、とそれに反応して気が緩んだ瞬間。
「ッ!! ぁあっ」
ぎちぎちと、俺の身体は貫かれた。
なんで―――こんなことになったんだろう。
「ほら、入ったよ?」
生理的な涙をこぼした俺の目元にキスを落とす……男。
今日初めて会った……この人と、なんで……、俺は――。
【第二夜 性少年のジレンマ】
ケータイのデータフォルダを表示させて何度もスクロールさせる。
でもそこに目当てのものはなくって、何度もため息がでてしまう。
あの日――俺が松原のマンションに泊った翌日。
俺は帰りの電車であのムービーを削除した。
"たぶん"、"好き"って気持ちはあるけど、やっぱり松原とどうこうなるなんて無理だろうから。
不純な想いを全部捨て去るために削除したんだ。
だけどあれから1カ月。
捨て去るどころか全然忘れることもできねーうえに……時間が経つ分、俺はどんどんだめになっていってる気がする。
あの夜の、あの快感が――、どうしても忘れられずにいた。
「……っ、ぁっ!」
びくびくと痙攣しながら白濁を吐き出すのは俺の息子くん。
女の子を喜ばせることができる自慢の息子だってのに、今夜もまた俺の手の中で果ててる息子くん。
……虚しい!
ベッドの上で自慰行為に耽ってた俺は枕もとのティッシュを取って息子をきれい拭いた。
ほんとうになにやってんだろ、俺。
こんなに毎日のようにオナニーしてるなんて、中学生のころ……童貞だった時以来じゃねーかな。
しかも女の子とは1カ月ちょっと前に、カナちゃんとシたっきり。
松原とのことがあってから何人かの女の子に誘われたりしたけど、どうしても気が乗らなくって断ってしまってた。
本当に忘れたいならヤりまくったり、合コンでもいきまくったほうがいいのかもしんねーけど……。
「あー!!」
頭ん中がごちゃごちゃして髪をかきむしる。
ぎゅっと目をつぶったら浮かんでくるのはあの夜のことばっかりで。
オナニーしたって……欲求は治まってない。
逆に増すばっかりだ。
――快感が、違うから。
息子扱いてイってって、気持ちいいけど……あのとき松原にイかされたときの刺激は比べ物にならないものだった。
でも、だからって自分で後を弄るなんて、そんなことできるわけもねーし。だってなんか怖いし。そこまでいったら、ちょっとヤバい気するし……。
ブレーキかけてオナって、発散させてるはずなのにどんどん欲求はたまっていってた。
そしてどんどんわからなくなってく。
俺はいまも単純に松原のことが好きなのか、それとも――。
あのときの快感を忘れられないだけなのか。
……そのどっちも今の俺には重すぎて、ただ苦しいだけのものだった。
***
「な、なんで!?」
夏休みも残り僅かの日、俺は和の家に来てた。
おばちゃんが出してくれた氷たっぷりのコーラを飲んでた俺は、ただただびっくりして雑誌を放り投げる。
「なんでって……会社からの都合だろ? 詳しいこと俺が知るわけないだろ」
和はうざぞうに言ってゲームを続けてる。
「……」
そんなんわかってる。
でも、気になるんじゃねーかよ!
文句は言いたいけど、それは飲み込んだ。
なんで、って――。逆になんで気にするんだって言われそうだから。
実優ちゃんの叔父さんが帰国したことを……、俺が気にするのは変だから。
『三日前、ゆーにーちゃんが帰国したって』
ついさっき、和が俺に報告してきたこと。
七香伝いで聞いたらしいそれは、なんかわかんねーけど、胸がモヤモヤする。
『実優、マンション行ったり来たりして、今週は忙しいらしい。だから来週遊びにいく――』
夏休み最後にちょっと遠出して遊園地でも行こうかって計画が経ちあがってた。
その日程調整で実優ちゃんがひっかかったってこと。
それも急に帰国することになったらしい叔父さんの身の回りの世話をしてやるために……。
「……ろ」
「あ?」
俺の呟きを拾った和がちらり目を向けてくる。
『世話なんて必要ないだろ』
そんなこと言ったなんて、言えるわけないから「なんでもない」って首を振る。
先月、夏休み前に実優ちゃんがニューヨークに行って、結局帰国したのは夏休み入ってからだった。
2週間近く松原のこと一人にしといて、今度は帰国した優斗さんのために松原をまた一人にして―とか……ありえねーだろ。
だって28だろ?
別に身の回りのことなんて一人でできるだろ。
実優ちゃんちょっと過保護過ぎんじゃねーのか?
松原は――……。
気づけば大事な女の子だったはずの実優ちゃんを非難して、松原のことばっかり考えてしまってる俺。ありえねぇ……。
――でも……俺だったらヤダ。
いくら関係切れてるっていったって、叔父だからっていったって前の男のところに通ってるっていったって。
俺なら――――。
「バカねー、なっちゃん! 逆よ逆ー!」
ぐだぐだ考えてた俺にそう言ったのは和じゃなくってオカマのミッキーだった。
和ん家から夕方帰って、俺はなんとなく従兄のマサ兄がしてるバーに行った。
そこに出勤前のミッキーがいて、こりもせずに俺はミッキーに恋愛相談?をしていた。
もちろん、この前のときのように松原が男だっては言わずに、男女逆転させてだけど……。
「……逆って、なにが?」
ピーナッツをつまみながらミッキーを見ると、ガタイのいいオカマはキモイ笑顔を俺の目前に寄せてくる。
「だ・か・ら~! チャンスってことよ!」
「チャンス?」
「そうそう! だってさ? 元カノが戻ってきて、そこに出入りしてるわけでしょ、その彼氏が」
「ん」
「だからさ~、元カノに頼んじゃえばいいのよ」
「……は?」
「元サヤに戻っちゃえーみたいな~。そんでもってなっちゃんはその隙にお目当てのカノジョを射止めちゃうってわけ!」
「……でも、元カノがいまでも好きかとかわかんねーじゃん」
「まー、そうだけど。でも当たってみてそんはないと思うけどぉ~」
「……」
この前もそうだけど……オカマアドバイス、結構えぐいな……。
なんかこの前からすっげぇ姑息な手使って落とせっていわれてる気がする。
……実際媚薬使ってしまった俺が非難できることじゃねーけど。
「なによ~、反応薄いわねー!」
ミッキーは不満そうに頬を膨らませて「ぷんぷんっ」なんて言ってる。
似合わない、ってことは優しいから言わないでおくけど、ミッキーから視線をそらせて目の前の空になったグラスを見つめる。
グラスには溶けて崩れた氷が入っていて、表面には水滴がいくつもついていた。
俺の曖昧な想いも全部溶けだして蒸発しちまえばいいのに……。
って、俺ってば詩人っぽい!
「……はぁ」
「もうっ! なによ~、辛気臭いんだからぁ!!」
バシバシと強い力で背中をミッキーが叩いてくる。
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