BLINDFOLD

雲乃みい

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第三夜 性少年の受難

20.それから月日は経って、なぜか俺のそばには…

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「……んっ……ま、って!」
 滑らかな肌にすがりつくように手を伸ばす。
「なんで?」
 その手を、指を絡ませられてシーツに押し付けられる。
「く…っ、あ、だって……っああ」
 首を横に振ると、楽しそうな、だけど少し余裕がなくなってきてる声が落ちてくる。
「またイキそうなのかな?」
 スプリングの軋む音。
「……んぁ、っ、く、あ!」
 ――俺は絡められた指をきつく握りしめて突き動かされる衝撃に唇を噛みしめた。
「一緒にイこうか?」
 汗ばんだ身体が俺にのしかかってきて、そして動きが一層激しくなっていって。
「……ゆうとさ、んッ、あ……ッ、あああ!!」
「っ……く」
 身体を大きくのけぞらせて、俺は白濁を自分と優斗さんの肌に放って。
 そして――優斗さんの欲がゴム越しにナカで吐き出されるのを感じていた。




「大丈夫、捺くん」
 ベッドにうつぶせに寝る俺に、ベッドサイドに立つ優斗さんが苦笑気味に俺の頭を撫でる。
「……は、はい」
 本当は大丈夫なんかじゃ全然ないけど! 足腰痛くて、身体動かねーけど!
 俺と同じだけハードな運動したはずなのに、スーツを着込んで涼しげな顔をしてる優斗さんに『無理です』なんて言えるはずない。
 一回り歳違うのに、なんでこんなに優斗さんはタフなんだろ?
 週一でジムに通ってるらしいけど、でも俺のほうが若いし……。
 なんてことをぼーっとする頭で考えてたら、すぐそばに気配がして、見た瞬間優斗さんが俺の頬にキスしてきた。
「ごめんね、急に仕事になって。ゆっくり休んでいくといいよ」
「……はい」
 今日は日曜日。
 本当なら休みのはずなんだけど、ついさっき会社からトラブルが起こったっていう電話があった優斗さんはいまから出勤することになってしまった。
 いまは朝の11時。
 ほんの1時間前はこのベッドの上でまだ優斗さんも裸で――……。
「じゃあ、行ってくるよ」
 見送ろうと起き上がった俺に、寝てていいよ、と手で制した優斗さんは笑顔を向けて今度は唇にキスして寝室を出ていった。
 少しして玄関のドアが開閉する音が小さく聞こえてきた。
 それを確認して俺はまたベッドに沈んだ。枕を抱き枕にして目を閉じる。
 身体中に残る倦怠感。
 優斗さんはシャワーを浴びて行ったけど、俺はまだで、身体はべたべたのまま。
 朝っぱらから一度したけど、昨日の夜はさんざんヤりまくってたから……身体がみしみし言ってるし、後孔もジンジンしてる。
 でも……だるいけど、心地いい。いまはとりあえずめちゃくちゃ眠かった。
 ついさっきの優斗さんのキスを思い出して、まるで恋人同志みたいだな……なんていうありもしないことを思って、俺は一気に眠りの中に落ちていった。


***


 俺が初めて優斗さんと関係を持った夏休みからもう2カ月が経とうとしていた。
 季節は秋になってて、いっきに寒くなってきてる。
 あのとき――はじめて優斗さんとシタとき、これっきり会うこともないんだろうなって思ってた。
だけどその予想はあっっさり崩された。
 数日してから優斗さんから連絡が来て、ご飯でも食べに行こうってなって。
 そしてご飯食べて……まるで当たり前のように優斗さんのマンションに行って、2回目のセックスをした。
 なんで優斗さんが俺なんか、つーか男の俺にわざわざ手を出すのかわかんないけど、それから優斗さんから連絡があるたびに会ってヤって。
 気づいたら毎週末、優斗さんところに泊りに行くようになってた。
 もちろん男同士の俺たちが恋人同士ってわけないし、単なるセフレなんだろうけど。
 でもそういうの抜きにしても、意外と優斗さんと過ごす時間は楽しかった。
 勉強も見てくれるし、ゲームも一緒にしてくれるし、なんつーか、お兄ちゃん的な感じのような。
だけど――。
 ガタンと大きな揺れに、俺も大きくため息をついた。
 もう日はとっくに傾いてる夕方。
 優斗さんのマンションを出て俺は電車に乗って家に帰ってる最中。
 最後尾の車両の片隅で優斗さんとのことを考えてはため息が出ちまう。
 なんだかなぁ……。
 楽しいんだけど、セックスは……気持ちいいんだけど、だけど、優斗さんと別れたあとに残るのはなんか消化不良みたいなモヤモヤさで。
 それがなんなのかよくわからない。
 別にセフレなんてこれまでだっていたし、それが女から男に変わったってだけだし。
 そりゃ正直に優斗さんに開発されてしまった身体は、男同士のセックスにハマりまくってるけど……。
 だけど、なんかモヤモヤする。
 なんなんだろ、よくわかんねぇ。
 もう一度ため息をついて、窓の外に目を向けた。
「――」
「――て」
 それまでどっぷり考え込んできた俺はすぐ隣から聞こえてくる話し声がなんとなく引っかかった。
 ちらり視線を向ける。
 スーツ姿の二人の男がいた。片方は優斗さんより少し上くらいかな?
 30代前半な感じで、インテリっぽい雰囲気のメガネをかけた男。
 もう一人は大学生くらいにも見える、やたら顔の可愛い男だった。
 この人たちも休日出勤なのかな。
 社会人は大変だな……。
 優斗さん、遅くなるって言ってたけど、大丈夫かな――……。
「……いて」
「……」
 は?
 なんだ?
 なんか今、インテリ眼鏡から変な言葉が聞こえた気がする。
 そして今度は可愛いほうの男がなんか言って、その一部に……びびった。
「倉前さん――だいて――……」
「……っ」
 はぁ!???
 思わず出そうになった声を必死で飲み込んだ。
 な、なんだ?
 聞き間違いか??
「わかった。じゃあ明日――代手――」
 ぼそぼそと話しているから全部聞き取れるわけじゃないけど、やっぱり……抱いて???
 な、なんだ?
 俺、耳おかしくなったのか?
 耳を引っ張りながら、気になってその二人の男の会話に耳をそばだててしまってた。
「達也、仕事の話はもういいだろ」
「……はい」
 仕事!?
 仕事で"だいて"ってなんだよ!
 スーツ着てるけどリーマンじゃねーのかよ!?
 イメクラか!?
「しかしこうやって満員電車でお前と一緒というのもなかなかいいな」
「なんでですか?」
「堂々とお前に密着できるからな?」
「……っ」
 ………。
「倉前さん」
「"総介"と呼べ」
「……でも」
「達也?」
「……そ、総介さん」
 ……う、うあああ!
 まじだ。
 ガチでカップルだ!
 つーか、いちゃいちゃしすぎだろ!??
 倉前と呼ばれてるインテリ眼鏡は涼しい顔で笑ってるけど、明らかにデレてる!
 達也っていう可愛い系の男は顔を赤くして俯いてるし。
 ……な、なんか見てるこっちが恥ずかしいんだけど!
 ガタンガタンって電車が揺れて、インテリ眼鏡がその揺れを利用するようにしてさらに達也に密着してるのがわかった。
 そしてふわっと、なんか匂いが流れてきた。
 たぶんインテリ眼鏡のつけてる香水。それはよく嗅いだことのある匂い。
 ――優斗さんと同じ香水だ。
 あんまり甘すぎない爽やかな香り。
 シャネルの『アリュールオムスポーツ』だっけ。
「達也……」
「え……っ、総介さん!?」
「……」
 おおーい。あんたたちナニシテルンデスカ。
 ぼそぼそこそこそしてる男同士のカップルはほぼ抱きあうようにして立ってる。
 俺たちの周りはでかい音量で音楽を聞いてる男や、小説を読みふけってる男や、大きな声で喋ってる女子大生っぽいのがいるけど、みんなこっちを見てない。
 インテリ眼鏡はたぶんそれをわかってて大胆な行動に出てる、ような気がした。


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