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第五夜 性少年の嫉妬
第16話
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「うめー!」
夕食は松原達の部屋でだった。
俺達の部屋とは違って和洋室の造りになってる。
大きいテーブルいっぱいいっぱいに並べられた料理。
正直旅館の料理って小さいのがいっぱいなイメージがあって料理名とかいまいちわかんねーんだけど、食べればうまいってことだけはわかる。
「なかなかいいな」
日本酒飲みながらえらそうに言ってる松原。
その横で実優ちゃんがにこにこしながら目を輝かせて食べてる。
「本当に美味しいね」
俺の隣はもちろん優斗さん。
「あ、これ美味しかったよ!」
マナーのなってない俺は箸で料理指したりしながら食って、俺的一番メインの肉が一人用の網の上で焼けるのをいまかいまかと待つ。
「……肉ばっかり見すぎだろ」
呆れたような松原の声が聞こえてきて口を尖らせる。
「育ちざかりだからいーんだよ!」
……ってなんか前も似たようなこと言った気がするなーって思ってたら優斗さんが俺の耳元に顔を近づけてきた。
「俺のも食べていいよ」
「え。いーよ」
「全部じゃないよ、一切れ」
「あ、ああ」
「体力つけないと……だしね?」
「……」
言うだけ言って優斗さんはまた普通に食べだすけど――……。
「どうしたの、捺くん? 顔赤いよ?」
って実優ちゃんが俺を見てきて首を激しく振った。
「なんでもない! なんか美味しすぎてテンション上がり過ぎたみたい」
ちょっと声上擦りながらなんとか切り抜けた。
――やっぱ優斗さんってさりげなくSだよな。
しみじみ思いながら肉の焼け具合を確かめる。
上等そうな肉だし、きっとミディアムレアくらいでいいのかな。
「もう食っていいかな?」
「大丈夫だと思うよ」
一応優斗さんに訊いてみてから肉を食った。
うまくって頬が緩みまくる。
「おいしそう。私も食べよーっと」
視界に実優ちゃんが肉に手を伸ばすのが映って。
それで肉を箸で取ろうとしてうまくとれずに、もう一回取ろうとして手を滑らせたのが見えた。
あ、って呟きかけた瞬間、
「あつっ」
熱い網に指を触れさせてしまった実優ちゃんが手を引っ込めた。
大丈夫、って言おうとした瞬間、
「実優!」
って、その手を取ったのは優斗さん。
松原よりも早く反応した優斗さんに俺は驚いて――。
実優ちゃんは「平気だよ。ちょっと触っただけだもん」って笑うけど優斗さんは眉間にしわを寄せてる。
「たいしたことはないだろうが、氷貰ってくるな」
松原がぽんと実優ちゃんの頭を軽く叩いて部屋を出ていった。
優斗さんと松原はお酒だったけど未成年の俺と実優ちゃんはジュースで、氷がたくさん入っていたからそのグラスを優斗さんは実優ちゃんの指にあててあげていた。
「大丈夫?」
そう実優ちゃんに言ったけど――正直大げさだなって、思った俺は冷たいヤツ?
「平気だよ! ほんとにちょっとだけ触っただけだもん。ゆーにーちゃん、大丈夫だよ。ありがとう」
実優ちゃんがそっと優斗さんの手を握って笑う。
「……実優はそそっかしすぎるから、ちゃんと気をつけるんだよ」
「そそっかしくないもん。でも、はーい。気をつけます」
ごめんね、って笑顔のままの実優ちゃんに優斗さんもようやく目を細めて実優ちゃんから手を離すと座りなおした。
そのあとすぐに松原が戻ってきてビニール袋に入った氷を実優ちゃんに渡して、また軽く頭を小突いていた。
「お前はそそっかしいんだよ。気をつけろ」
「……それいまゆーにーちゃんからも言われたばっかり。そそっかしくないよ、私!」
「いーや、そそっかしい。というか、いつもぼーっとしてるせいだ」
「ぼーっとしてないもん!」
いつのまにか松原と実優ちゃんがコントみたいな言い合いをはじめて、それに優斗さんが吹き出す。
ふっと部屋の空気が緩んだ気がしたのは、俺自身の問題なのかな。
「とにかく気をつけるように」
笑いながら優斗さんが肉を実優ちゃんのお皿に取ってあげていた。
それを見て、視線を前に向けて、松原と目があった。
俺のことを見透かすような眼差しに固まってしまう。
だけど松原は少し口角を上げると――俺の肉を取った。
「……」
ぽかんとしている間に松原が俺の肉を食って――。
「ってめぇ! なにしてんだよ、くそじじー!!!」
「実優もお前もぼけてるのが悪い」
「ぼけてないもん! 先生、人のお肉とっちゃだめだよ!」
「はい、捺くん。俺のあげるから」
「……ありがと」
なんだかんだ楽しい空気が戻ってきて、夕食はちゃんと和やかなまま終わった。
夕食は松原達の部屋でだった。
俺達の部屋とは違って和洋室の造りになってる。
大きいテーブルいっぱいいっぱいに並べられた料理。
正直旅館の料理って小さいのがいっぱいなイメージがあって料理名とかいまいちわかんねーんだけど、食べればうまいってことだけはわかる。
「なかなかいいな」
日本酒飲みながらえらそうに言ってる松原。
その横で実優ちゃんがにこにこしながら目を輝かせて食べてる。
「本当に美味しいね」
俺の隣はもちろん優斗さん。
「あ、これ美味しかったよ!」
マナーのなってない俺は箸で料理指したりしながら食って、俺的一番メインの肉が一人用の網の上で焼けるのをいまかいまかと待つ。
「……肉ばっかり見すぎだろ」
呆れたような松原の声が聞こえてきて口を尖らせる。
「育ちざかりだからいーんだよ!」
……ってなんか前も似たようなこと言った気がするなーって思ってたら優斗さんが俺の耳元に顔を近づけてきた。
「俺のも食べていいよ」
「え。いーよ」
「全部じゃないよ、一切れ」
「あ、ああ」
「体力つけないと……だしね?」
「……」
言うだけ言って優斗さんはまた普通に食べだすけど――……。
「どうしたの、捺くん? 顔赤いよ?」
って実優ちゃんが俺を見てきて首を激しく振った。
「なんでもない! なんか美味しすぎてテンション上がり過ぎたみたい」
ちょっと声上擦りながらなんとか切り抜けた。
――やっぱ優斗さんってさりげなくSだよな。
しみじみ思いながら肉の焼け具合を確かめる。
上等そうな肉だし、きっとミディアムレアくらいでいいのかな。
「もう食っていいかな?」
「大丈夫だと思うよ」
一応優斗さんに訊いてみてから肉を食った。
うまくって頬が緩みまくる。
「おいしそう。私も食べよーっと」
視界に実優ちゃんが肉に手を伸ばすのが映って。
それで肉を箸で取ろうとしてうまくとれずに、もう一回取ろうとして手を滑らせたのが見えた。
あ、って呟きかけた瞬間、
「あつっ」
熱い網に指を触れさせてしまった実優ちゃんが手を引っ込めた。
大丈夫、って言おうとした瞬間、
「実優!」
って、その手を取ったのは優斗さん。
松原よりも早く反応した優斗さんに俺は驚いて――。
実優ちゃんは「平気だよ。ちょっと触っただけだもん」って笑うけど優斗さんは眉間にしわを寄せてる。
「たいしたことはないだろうが、氷貰ってくるな」
松原がぽんと実優ちゃんの頭を軽く叩いて部屋を出ていった。
優斗さんと松原はお酒だったけど未成年の俺と実優ちゃんはジュースで、氷がたくさん入っていたからそのグラスを優斗さんは実優ちゃんの指にあててあげていた。
「大丈夫?」
そう実優ちゃんに言ったけど――正直大げさだなって、思った俺は冷たいヤツ?
「平気だよ! ほんとにちょっとだけ触っただけだもん。ゆーにーちゃん、大丈夫だよ。ありがとう」
実優ちゃんがそっと優斗さんの手を握って笑う。
「……実優はそそっかしすぎるから、ちゃんと気をつけるんだよ」
「そそっかしくないもん。でも、はーい。気をつけます」
ごめんね、って笑顔のままの実優ちゃんに優斗さんもようやく目を細めて実優ちゃんから手を離すと座りなおした。
そのあとすぐに松原が戻ってきてビニール袋に入った氷を実優ちゃんに渡して、また軽く頭を小突いていた。
「お前はそそっかしいんだよ。気をつけろ」
「……それいまゆーにーちゃんからも言われたばっかり。そそっかしくないよ、私!」
「いーや、そそっかしい。というか、いつもぼーっとしてるせいだ」
「ぼーっとしてないもん!」
いつのまにか松原と実優ちゃんがコントみたいな言い合いをはじめて、それに優斗さんが吹き出す。
ふっと部屋の空気が緩んだ気がしたのは、俺自身の問題なのかな。
「とにかく気をつけるように」
笑いながら優斗さんが肉を実優ちゃんのお皿に取ってあげていた。
それを見て、視線を前に向けて、松原と目があった。
俺のことを見透かすような眼差しに固まってしまう。
だけど松原は少し口角を上げると――俺の肉を取った。
「……」
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「ってめぇ! なにしてんだよ、くそじじー!!!」
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