俺の人生をめちゃくちゃにする人外サイコパス美形の魔性に、執着されています

フルーツ仙人

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番外 三十三 支配者とテオドールの悪夢編

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 夜のセントラルパーク。
 煉瓦を敷き詰めた歩道に、オレンジ色の街灯の光が、まっくらな背後と照らされた部分の境界線をくっきり作っている。
 傾いた月がぽつんと虚空に転がり、パークを見下ろしている様は、でたらめで間抜けな抽象画のようだった。
 以前もこんなことがあったのだ。
 あれは異世界でのことだった。父親の白スーツにやられたテオドールが、表皮の破れて、体液を流す水饅頭形態で、初めてダリオの前に現れた。正確には、バルコニーの隅の方で、隠れるようにして、ダリオの姿だけ見に来ていたらしいのだが、あえなくダリオに発見されて、正体まで看破されてしまったのである。
 街灯のポールを支えるスカートの土台に、じっと身を潜めるようにしているそいつの姿は、あの時のテオドールを彷彿とさせた。
 表皮は破れていない。ただ、赤と黒を混ぜたような水饅頭が萎れるようにしている。まるで、海中から取り出したクラゲや、しぼむ寸前の風船といった感じだ。言うならば、生物として餓死寸前といった具合だろうか。
 ダリオは基本、怪異を見かけたら無視する。
 しかし、弱り切って、初めて水饅頭の姿で隠れていたテオドールのことが頭に浮かび、逡巡したものの、放ってはおけまいと一歩近づいた。
 大丈夫か? と声をかけようとした瞬間だ。
 --バシ! 
 と音がして、死にかけたような水饅頭が、不可視の力に弾かれた。
 いつの間にか、ヒトデ型になった小さなテオドールが、ダリオと死にそうな水饅頭の間に現れ、見えない力でぶっ飛ばしたらしい。
 お、おいいぃいい、とダリオは本当に思った。
 警告なしにいきなりぶっ飛ばした!
 案外テオドールは実力行使をいきなりしたことは少ない。記憶にある限り皆無とは言わずとも、一応ダリオに一言告げてから行うことが多い。しかし、今のは無警告で問答無用に初手から排除である。
 びっくりするダリオの前で、ヒトデ型のテオドールは姿に似合わぬ低い美声で今更警告した。
「死にぞこないの支配者の分際で、僕のダリオさんに近づくな。残り僅かな命が尽きる前に消滅させてやろうか」
 ガチギレしているらしい。敬語どこに置いて来た、とダリオは本当に心底驚いた。いや、驚いている場合ではない。
「ちょ、ちょっと待て。死にぞこないって、残り少ない命って、死にかけてんのか? 死にかけてるなら、ストップストップストップ。そいつ、俺に危害加えてくる感じしねーけど、え、違うのか? 危害加える感じか?」
 というか、なんでヒトデ型で現れたんだ、また可愛いポーズ訓練でもしていたのか、とダリオはあさってなことを考えた。ダリオにはこういうところがある。
「……先だっての異常気象が最後の力の放出のようなもので、今はもう人間の赤ん坊よりも弱い存在です。ダリオさんに危害を加えようとしても、それこそ赤ん坊が成人男性を叩く程度のことしかできないでしょう」
 同情した口調ではなく、質問されたから淡々と事実を口にしていると言った感じで、ダリオは余計にそれダメなやつと思った。そもそもテオドールは妹のナディアですら、ダリオに危害を加えようとしたことも加味して、躊躇せずに消滅させようとしていたくらいなので、赤の他支配者(知人の可能性もあるが)なんぞの命などどうでもいいに決まっていた。
「おい、それ聞いて俺が、『なるほど。じゃあ消滅させても問題ないな』と賛成するわけねーだろ。ひとまず手当……できるのかわかんねーけど、安静にしてもらわねーと」
「手当……? 安静……?」
 ヒトデ型にも関わらず、テオドールのいつもの美しい青年姿が、怪訝そうな顔で、首を傾げている光景が目に浮かぶ。そのくらい理解不能な言葉を聞いたとばかりに、不審そうだった。
 お前らって、同胞を介抱するとかいう文化? 文化と言っていいのか、そういう発想ねーのか? とダリオは本当に思った。
 以前、父親の白スーツが、息子のテオドールをいたぶって半殺しにしていたのに、やられた本人は身内からの虐待について別になんとも思っていない様子だったので、ただただ弱肉強食世界なのかもしれない。その割に妹のナディアはテオドールを慕っている様子だったが、彼らは恩義に対して敏感なところもある。兄妹だからではなく、単にナディアのテオドール本人への好感度が高いだけなのかもしれなかった。
「あー……お前らの文化的にどうなのか分かんねーけど」
 ダリオは後頭部に片手を回し、少し考えるようにして、慎重に言葉を選んだ。
「つまり、お前と同じ種族のやつ? そういう存在が、目の前で死にそうなのを放置するのは、あまりやりたくない。俺の希望は、危害を加えられる可能性がないなら、手当なり安静にさせるなりしたい。テオ的にそれって禁忌か何かか? それとも許容範囲か? OK?」
 テオドールは、昔見せたような冷たい目でダリオを見ている気がした。まるで狂人のたわごとを聞いているかのような酷く冷ややかな目で、心の奥底まで見通して見定めるかのような。
「……理解できませんが、ならば僕が館まで転移させます」
 テオドールの方が譲歩した。しかし彼は一言釘を刺す。
「ただし、それが何か怪しい動きをしたら即座に消滅させます」
 ダリオはどう返事したらいいか分からなかった。テオドールがおかしいというわけではなく、怪異に対してその対処方法は別に間違っていないと思う。ダリオが同情心めいたものを寄せてしまうのも、以前酷く傷つけられた状態で現れたテオドールを重ねてしまったからだ。
 曖昧な返事をして、ダリオたちはテオドールによって館に転移させられた。


「手当も何も不可能でしょう。もう放っておいても死にます」
 ばっさり断言したテオドールに、ダリオはまあ最後になんか俺のところに現れた以上、尊重というかなんというか、静かな居場所の提供くらいは、と即席の寝台を用意してやった。
 以前、水饅頭のテオドール用に作ったベッドはさすがに使い回したら問題になりそうだったので止めておく。代わりに、籐の籠の中にタオルを敷き詰めて、テーブルに置くと、そっとその上に下ろした。寒さ暑さを感じるかもわからないけれども、更にタオルをかけてもいいか悩む。その側で、ヒトデ型のテオドールは、槍をもった門番兵士のように睨みつける所作で見張っている。シュールにも、ヒトデ型のテオドールは、憎々し気に吐き捨てた。
「そのままで十分かと」
「お、おう」
 テオドールは必要以上に冷たい気がする。過ぎた扱いだと言わんばかりだ。もちろん、ダリオはそれを非難するつもりもない。
「これは批判じゃねーんだが、お前ら支配者って基本的に仲が悪いのか? 敵対してんの?」
「敵対……?」
 テオドールは短い手足で、「?」とダリオを振り仰いだ。彼は頭上から降って来たダリオの質問に、また理解不能な言葉を聞かされたといった風に小首を傾げる動作をする。
「興味関心のない相手とは敵対しません」
「あ、そうなの……」
 今、お前が警戒心バリバリなのはなんなんだ? とダリオは分からな過ぎる。利害関係が絡んだ時には、排除に躊躇がないということなのだろうか。今回の利害と言うのはダリオのことだ。つまり、『花』が絡んだ時だけ、興味を持ったり、協力したり、排除したりするのだろうか。
「なんでこいつ、いや失礼か。この人? この支配者? 彼? 彼女? 分かんねーから彼とか、この人とか言わせてもらうが、彼はなんで俺の前に? 偶然か?」
 そんな偶然ある? とダリオも信じていない。死にかけというとおり、先ほどからぴくりとも動かないし、会話もできそうにない。
「最期の力を振り絞って、ダリオさんの前に現れたようですね」
 テオドールは再度睨みつけるようにした。
「そのまま独りで勝手に消滅すればいいものを、死ぬ直前になって、どうしても未練があったのでしょう。愚かな選択をした分際で……やはり今からでも放り出しませんか? 僕ならすぐに爆散させられます」
「放り出す提案から、息吸うように爆散提案にすり替えるの止めろ。それより、どういうことだ? お前事情めちゃくちゃ分かってるだろ。俺にもちゃんと説明しろ」
 表情がわからないヒトデ形態なのに、物凄く嫌そうだった。テオドールは嫌だと思ったら、梃子でも動かないところがある。ダリオがいい加減なことを言うと、納得せずにつめてくるのも以前から変わらない。
 しかし今回は、ダリオの要求に一理あると思ったのか、渋々ながら口を開いた。
「珍しくもありません。自分の『花』を殺したり、魂だけ確保したり、あるいは肉体ごと捕獲したり……方法はさまざまですが、結局のところ自分に同化させて、花が摩耗して消滅するまで使い潰した連中の末路のひとつです」
「あー……前、少し聞いたことあるな」
 お前の父ちゃんが嫌がらせのために言ってたわ……とダリオはそこについては口をつぐんだ。
「自ら『花』を使い潰しておきながら、その後は時空を道連れに多次元ブラックホールともいうような存在になってしまう支配者もいれば、このようにからっぽになって消滅してしまう支配者もいます。独りで消滅すればいいものを、死ぬ間際になって、疑問が尽きずに、身勝手にもこの次元に現れたのでしょう」
 テオドールの分かりにくい話を、ダリオは整理吟味して確認した。
「つまり、自分の花をDVして殺しておきながら、自己憐憫極まって拡大自殺する奴もいりゃあ、静かに餓死する奴もいるって感じか?」
「はい。そのようなものかと」
「そうか。ありがとう。んで、死ぬ間際に、疑問? なんでこうなったとか、もっとうまくやれたんじゃねーかとか自問自答が尽きなくて、俺らのところに現れた? という理解でいいのか?」
「およそそのとおりかと。僕の知るところではありませんが」
 テオドールの知ったこっちゃねえといった発言に、それは……ええ……とダリオも言うべき言葉が見つからない。
「……もう喋る力もねえのかな。人間が最期に告解するようなもんだとも理解したが、俺らに尋ねたいことあったんじゃねえのかな」
「僕にというより、ダリオさんに、つまり『花』に尋ねたかったのでしょう。僕の前ではなく、ダリオさんの前に現れたのは偶然ではありません」
 テオドールからの補足に、ダリオは再度後頭部に手をやって、頭を掻いた。
「あくまでこういうこと聞きたかったのか? って推測だし、それにしたって最後に説教なんか聞きたいもんかね……」
「最期になって、わからないまま消滅するのがよほど恐ろしかったのでしょう。僕からすれば自業自得ですし、目障りです」
 パークで感じたテオドールの冷淡さは、ダリオにというより、同胞の支配者に向けられていたのかもしれない。あるいは自分自身にか。
「うーん……なあ、この人、彼となんとか会話できねえかな?」
「答えてやる必要がありますか?」
「まあ、俺が彼の『花』だったら」
 言いかけたダリオに、テオドールがショックを受けたような、人間で言うと目を見開いて凝視してくるようなけはいがあった。
「仮定だ仮定。ねーから。ええと、まあそうだったら、許せねーと思うけど、結局俺は赤の他人だからさ。ただ、俺がこの人、彼と会話したい。俺も俺で勝手に知りたいんだよな。この人がどういう気持ちなのか」
 テオドールは沈黙した後に、嘆息するような仕草をして、「少しだけ、会話できるように力添えします」と告げた。
「悪いな」
 ダリオはそう言って、少しの間だけ、支配者と話をすることにした。


 結論から言って、ほとんど会話にならなかった。
 テオドールが力添えするにも、もう器がそのわずかな力さえ受け入れられないほどに弱っていた。
 ただ、『vぶんぴm@pんb』と最初よく分からない言語が伝わって来たのをテオドールがチューニングし、『なぜ』『花』『どうして』『疑問』『知』『要求』『知』『要求』といった単語のようなものが繰り返され、ダリオはなるべく説教めいた話にならぬように自分たちのことを説明した。
 でも、もう今更過ぎんだろうな、とは思う。この人の『花』にとって、今更過ぎる。ダリオは結局、眠るように消滅するまでほとんど会話らしい会話もできぬ支配者相手に、自分の聞きたかったことは何も聞くことができなかった。
 分かったのは、『花』を失った支配者がどうなるのかということの一例に過ぎなかった。
 もうこの人は消滅する。
 最期に自分の元を訪れて、生前の行いを得て勝手とはいえ後悔したのか、どうなのか。どうすればよかったのかと尋ねる存在に、相手の人格や意思を踏みにじって、上手く行くはずがないということを、ストレートに伝えることはできなかった。
 彼の『花』は、一体どのような目に遭わされたのだろう。無理やり取り込まれて同化して、死ぬに死ねず、恐ろしく長い時間を過ごすことを強いられたのか。魂を摩耗して消滅することでようやく逃れたのだろうか。
 それって、今回事務所で依頼を受けた『入院先同室の女性自認肉体男性から強姦された生得的女性』の件と何が違うんだろう。一番心身が弱っている状態で抵抗もままならず、自分の身体を暴漢に好き勝手にされ、屈辱と恐怖と怒りと絶望に見舞われた被害者と、ほんとうに何が違うんだ? もっと悪い。人間同士ですら弱者が強者に報復するのは難しい。まして、人間が支配者に一矢報いることなど不可能で、裁判も何もないし、加害者に三発銃弾を食らわしてやることもできない。
 理不尽なレイプだ。しかも繰り返され続け、果てもない。最悪の拷問だ。
 あんたがしたのはそういうことじゃねーの? とは。
 この死に向かう支配者のためというより、それを聞いているテオドールの前で、ダリオは口が裂けても言えなかった。 
 テオドールは、本当はそうしたいんじゃねーか。したくないのと同じくらいしてーんじゃねーのかな。そう思う。
 初めて二人の間で寿命問題の認識齟齬が発覚した時、彼の隠していた食欲を知ってしまったダリオに、悲鳴を上げるようにして、「違う、ちがう!」と叫んだ彼を知っている。
 たべないです、ぼくはだりおさんをたべないです、と恐慌状態にたくさんのテオドールの声がダリオに注がれた。一種のパニック状態だったと思う。
 わかってるよ、わかってる。あの時ダリオはそう答えた。
 したいことと、実際にそれをするか否かの間には大きくて深い河がある。しないでい続けることは、テオドールの強固な鉄の意思だ。
 ただ、人間だったら、自分がしたくてもできないことをしている相手に、憎しみを向けることがある。だからテオドールは死にかけの支配者に憎々し気だったのかもしれないし、いや、本当にその蛮行を軽蔑しているのかもしれない。 
 あるいは両方なのかも。
 聞かねーとわかんねーやつ。
 でもこれ、無理やり堀り起こしていいやつじゃねーだろ、とも思う。
 やがて、夢から覚めるように、ぱちん、と弾けて消えてしまった支配者を見送り、ダリオはテオドールに声をかけて彼を抱き上げた。
「一緒に寝よう」
 テオドールは眠らない。
 支配者は眠らない。
 人間と支配者は違うから。
 しかし、ダリオはそう言って、一緒にシャワーを浴びて、一緒のベッドでおやすみなさいをした。
 重くまぶたが降りてくる時に、あれ、でも、と思ったが、何が「あれ」で何が「でも」なのか、もうダリオは考えることができなかった。
 
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