私のナカ【R18】

RiTa

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本当の私

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バスルームのドアが開く音が聞こえて
うっすら意識を戻した時
縛られた腕や絡まった衣服は解かれ
シーツをかけられた状態でベットの上に寝かされていました

シャワーを浴びてタオルを腰に巻いた彼がそれに気付いたようで

「シャワー使えば?」

返事も出来ないほど体力がない自分が
ベトベトな身体をそちらに動かしベットから立ち上がるとガクンと膝から崩れかけ
それが分かっていたような彼の腕に助けられました

「大丈夫?」

「すみません」

身体を支えられてバスルームに運ばれて

「必要な時は声かけて」

そう言って綺麗に折りたたまれた私の衣服を置いて
バスルームから出て行く彼を見送り

しゃがみ込んで身体中洗っていると
腕や脚に痣が出来ていて
ドッと疲れを感じました

その間にも彼が気付いていない事にだけは
神さまに感謝しようと思いながら

ぼんやりする頭で

(きっと彼はこんなセックスがしたくてあのアプリを利用しているんだ
恋人や知り合いとなんて出来る訳がないじゃないか
知らない女である事が重要なんだ
会社でも顔を合わせずにいる事は可能で
万が一会ってしまったとしても
知らん顔していれば大丈夫)

と分析と自己解決をして
身支度を整えヨタヨタとバスルームから出ると

歩く事が不自由な私を気使い送ってくれると言う彼に

アパートから1番近いコンビニまでお願いすることにしたのです





彼の車で帰宅途中

「小林さんってMRの彼氏いなかったっけ?」

あまりの衝撃に声も出ませんでした

コイツは知っていたのです

私が同僚だと言う事も
私の名前も元彼の職種までも

思考が停止した私は

「別れました」

強めにそう答えていました

「へー」

興味なさそうな返答に心の中で

(だったら聞くなよ)

と怒りにも近い気持ちが芽生えた時

「って言うか、普通今言います?」

心の声が口から漏れていました

「あぁ…別れてたとは知らなくて、悪かった?」

「イヤ、そういう事じゃなくて
気付いてるなら最初に言うべきでしょ?
しかも彼氏いると思ってたなら尚更ヤッちゃダメだから!」

あまりの事に敬語も忘れて食いかかるように訴えると

こちらの熱量とは対照的に冷静なトーンで

「知らない人だったら、あれだけ拒否されたら流石に帰すよね
オレが聞いたとはいえ
既に彼氏と別れてるヤツが、いない彼氏をこの場で引き合いに出すなよ」

会話が成立しなそうな状況に
これ以上何を言っても八つ当たりのようになってしまう気がして

イラつきながらも
もう喋らないという選択をすると


「って言うか、今日小林さんが来たのも驚いたけど
そんなに気が強かった事の方が、すげぇ意外」

それは私も初めて知りました

今まで人に対してこんな複雑な感情を持った事も
酷い言葉を放った事もないからです



なぜって、みんな優しかったから




「セックスの時はドMなのにな?」

「中村さん、1回死んでもらえます?」

その車内の会話こそナカもソトもない

私の本当だったに違いありません



途切れた会話にソイツがやっと空気を読んで
多少の反省でもしているのだろうと思っていたら




「じゃ、生き還った時知らせるから
下の名前とスマホの番号教えといて」

「バカなの?」






その後のことは、また別のお話…



別小説【小林さんと中村さん】に続く→
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