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その8
しおりを挟む「しかしサセコもソレされて平気ってどうなの」
鬱憤が下がった彼女達は、幹事さんに1杯のお水を与え、少し酔いを醒まさせました。
サセコちゃんにも同情したのか、冷静さを取り戻し、口調も少し穏やかに変わったようです。
内容はともかく、ようやく並べられたつまみを文字通り摘み出したので、私も自ら課した長いお預けを解放する事が出来ました。
「プライドの在り方がおかしいよね」
「言ってもね、オレも無理矢理ヤッたわけじゃないからね?
そうしねーと帰れない雰囲気だったんだって」
「ハイハイ。中村さんは何もしないで帰った後で、全く説得力ないから」
「っつーか中村すげーよ。
アレを振り切るなんて…マジでゲイ…
いや…そうでもおかしくねーくらいサセコの持ってき方がプロ超えてるって意味ね
彼女いた事もあったみたいだし」
「って言うか、中村さんってどういう人なの?」
その言葉に、なんとなく会話への集中力が増しました。
「あのまんまだよ。言葉足らずで付き合いも悪いけど…とにかく仕事は出来る
何て言うのかなぁ…ムダがないって感じ」
「アンタはムダしかないからね」
「あのね?ハンドルにも遊びは必要なわけ…」
「遊びとムダは違うから。ハンドルにムダがあったら事故るだけ」
「あぁ…それでオレは仕事でもプライベートでもやらかすのか…」
「分かってんじゃん」
「まーね。で、オレだけじゃないけど、そんな時に中村に話聞いてもらったりすると、どうにかしてくれたり、安心したりするんだよね…まあアレだよ
言わば中村は“頼れる保険”みたいな」
「褒めてんの?」
「もちろん。中村がいてくれるからムダの多いオレでも一応社会人としてやって来れてるわけだし」
「自ら中村さんの負担を減らそうとはしないわけ?」
「言ってもオレだって全然仕事出来ない訳じゃねーし
何もかも中村に頼ってる訳じゃないから。
オレと丁度いい距離は中村が保ってるんだろうな
相談してもオレ自身で解決出来る事に関しては、一切関与はして来ないよ」
「フーン。聞いてると、出来る男の典型って感じ」
「うん。格好良くて、すごいんだろうけど、何でか驚かない」
「何でかねー。モテるんだろうけどなぁ…
面白味に欠けるのか…真面目過ぎるのか…
むしろサセコとヤってたら、親近感出るんだけど…」
「仲間を増やそうとするんじゃない!」
話を聞きながら
私が持っている印象よりも中村さんがいい人なのかもしれないと思いました。
普段から中村さんを知る幹事さんが言っている事も何となく頷けたし、
土曜日に話した事もまさしく2ヶ月前のあの日は中村さんにとっても事故で、“事故処理の対応に来ました”と考えればそんな雰囲気でもあったかも…
と思いながら枝豆に手を伸ばした時
「あーそうか。小林さんと似てるのかも」
「え?私?」
「小林さんそんなに頼もしくはないけど…」
「どっちかって言うといろんな者に守られてる側でしょ?」
軽い毒を受けつつ、枝豆を掴もうとした手を引っ込めると
「仕事面じゃなくてさ、ほら、隙がない」
幹事さんは言いながら枝豆のお皿をこちらに寄せてくれました。
「あー、なんか分かるかも」
「いい意味で色気がないもんね」
「それ本当にいい意味…かな」
「サセコの真逆って事で言うといい意味でしょ?」
「待って。でも中村さんは色気はあるよ?」
「あ、そっか」
「さりげなくディスってますよね…」
「小林さんも男から見れば色気はあるよ
ただ何でか簡単には手を出せない
剣道で言えば、間合いに踏み込めないんだよね」
「それって本命って事じゃないの?」
「あー…それはヤる側の気持ちであって
おそらく小林さんはそこまでなかなか辿りつかせてくれない」
「ガードが固いって事?」
「多分本人はそのつもりはないだろうけど…どうなの?小林さん」
「………ガードしてるつもりはないですよ」
「じゃあオレとヤろっか」
「ヤらないです」
「おいバカ。小林さんじゃなくてもヤらねーから」
「何がガードが固いだよ。真面目に聞いて損したわ」
「えーじゃあ付き合って?」
「順番逆だから」
「剣道で滅多打ちにされてしまえ!」
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