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冬の日のホットココア
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彼は僕の事をじっと凝視する。
客が珍しいのか、僕が変な顔をしていたのか、理由は分からないけどとにかく彼はただ僕を見ていた。
思わず僕も彼の顔を見返す。
彼は、色んな感情が同居したような何とも言えない複雑な表情を浮かべていた。
不思議だった。
花屋の店員と思しきこの人とは初対面なのに、僕は懐かしさのようなものを全身の細胞で感じた。
「あの…」
数秒見つめ合った後に、我に返った僕は声を出してみた。
「あ、すいません。」
その人はハッとした様子で申し訳なさそうに謝った。
柔らかくて聞き心地の良い声だった。
少しの沈黙が流れ、2人の間を冬の冷たい風が吹き抜けるのを感じた。
「あの、良かったらお花見ていきませんか?」
彼は本来の花屋の店員としての自分を取り戻した様子で言った。
「あ、えーと、はい…。」
つい流れでそう返事をしてしまった僕を、彼は「では、どうぞ」と言って中に案内してくれた。
連れられて入ったその小さな花屋の中には所狭しと様々な種類の花々が並べられていた。
その色鮮やかな空間はまるで別の世界に来たような、それでいてどこかノスタルジックな、不思議な感覚に陥らせてくれた。
「花、好きですか?」
お兄さんは、優しい口調で僕に尋ねた。
「花、好きです。」
少し緊張しながら、僕はそう答えた。
すると、お兄さんは笑顔を浮かべた。
その笑顔はとても優しくて温かくて、例えるなら冬の日のホットココアのようだった。
客が珍しいのか、僕が変な顔をしていたのか、理由は分からないけどとにかく彼はただ僕を見ていた。
思わず僕も彼の顔を見返す。
彼は、色んな感情が同居したような何とも言えない複雑な表情を浮かべていた。
不思議だった。
花屋の店員と思しきこの人とは初対面なのに、僕は懐かしさのようなものを全身の細胞で感じた。
「あの…」
数秒見つめ合った後に、我に返った僕は声を出してみた。
「あ、すいません。」
その人はハッとした様子で申し訳なさそうに謝った。
柔らかくて聞き心地の良い声だった。
少しの沈黙が流れ、2人の間を冬の冷たい風が吹き抜けるのを感じた。
「あの、良かったらお花見ていきませんか?」
彼は本来の花屋の店員としての自分を取り戻した様子で言った。
「あ、えーと、はい…。」
つい流れでそう返事をしてしまった僕を、彼は「では、どうぞ」と言って中に案内してくれた。
連れられて入ったその小さな花屋の中には所狭しと様々な種類の花々が並べられていた。
その色鮮やかな空間はまるで別の世界に来たような、それでいてどこかノスタルジックな、不思議な感覚に陥らせてくれた。
「花、好きですか?」
お兄さんは、優しい口調で僕に尋ねた。
「花、好きです。」
少し緊張しながら、僕はそう答えた。
すると、お兄さんは笑顔を浮かべた。
その笑顔はとても優しくて温かくて、例えるなら冬の日のホットココアのようだった。
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