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【続編②】クヌギという男①
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Side 空
夕食はクヌギさんと一緒にとることになっていた。
本当は一人でいたかったし、ご飯も一人で食べたかった。
実際に朝食や昼食はそうしている。
夕食もそうしようと思ったけど、思い直した。
クヌギさんの言う通り、僕はここから逃げ出す事は出来ない。
今までのように隙を見て逃げ出すような真似すら出来ないほど、磐石なセキュリティだった。
正直、打つ手はない。
それに逃げたところでどうせ捕まる。
僕の気持ちは、どうしようも無いほど弱っていた。
でも、せめて、情報を集めようと思った。
敵を知り己を知ればなんちゃらって言うし、まずは会話をして、少しでも多く情報を得ないと。
大きなテーブルで向かい合って、ステーキを嗜む。
赤ワインを片手に、クヌギさんは僕に向かって言った。
「空の存在は、裏の世界では有名だったんだよ。アイドル級の美少年がいる、ってな。オークションでは、誰もが喉から手が出る程、空を欲していた。それくらい、君は高嶺の花なんだよ。そんな君の妖艶な姿をSNSで見られるという事で、初回投稿から閲覧数は凄まじい勢いで伸びていたよ。」
クヌギさんは愉快そうに言った。
自分の体が限定的とはいえネットに晒されているなんて、恥ずかしくて堪らなかった。
「…僕の顔も載せているんでしょ?いつか僕の仲間が見つけてくれるって信じています。」
僕はクヌギさんに言った。
「空、わかっている筈だよ。君の友達にも裏社会に精通した者がいるようだけど、無駄さ。このSNS『フェアリーブラック』は会員制だし、いくつもの審査を通して、ようやく承認される。少しでも怪しい者は、途中で振るいにかけられるさ。だから、君の友達がこの『フェアリーブラック』から君の情報を得ることは100パーセント不可能だ。そもそも、このサイト自体、簡単に見つからないようにアクセス制限をしている。万が一、君の友達が、このサイトを見つけたところで、居場所を突き止められる訳でもない。どうしようもないさ。」
クヌギさんの説明に、悔しいけど言葉を失った。
夕食はクヌギさんと一緒にとることになっていた。
本当は一人でいたかったし、ご飯も一人で食べたかった。
実際に朝食や昼食はそうしている。
夕食もそうしようと思ったけど、思い直した。
クヌギさんの言う通り、僕はここから逃げ出す事は出来ない。
今までのように隙を見て逃げ出すような真似すら出来ないほど、磐石なセキュリティだった。
正直、打つ手はない。
それに逃げたところでどうせ捕まる。
僕の気持ちは、どうしようも無いほど弱っていた。
でも、せめて、情報を集めようと思った。
敵を知り己を知ればなんちゃらって言うし、まずは会話をして、少しでも多く情報を得ないと。
大きなテーブルで向かい合って、ステーキを嗜む。
赤ワインを片手に、クヌギさんは僕に向かって言った。
「空の存在は、裏の世界では有名だったんだよ。アイドル級の美少年がいる、ってな。オークションでは、誰もが喉から手が出る程、空を欲していた。それくらい、君は高嶺の花なんだよ。そんな君の妖艶な姿をSNSで見られるという事で、初回投稿から閲覧数は凄まじい勢いで伸びていたよ。」
クヌギさんは愉快そうに言った。
自分の体が限定的とはいえネットに晒されているなんて、恥ずかしくて堪らなかった。
「…僕の顔も載せているんでしょ?いつか僕の仲間が見つけてくれるって信じています。」
僕はクヌギさんに言った。
「空、わかっている筈だよ。君の友達にも裏社会に精通した者がいるようだけど、無駄さ。このSNS『フェアリーブラック』は会員制だし、いくつもの審査を通して、ようやく承認される。少しでも怪しい者は、途中で振るいにかけられるさ。だから、君の友達がこの『フェアリーブラック』から君の情報を得ることは100パーセント不可能だ。そもそも、このサイト自体、簡単に見つからないようにアクセス制限をしている。万が一、君の友達が、このサイトを見つけたところで、居場所を突き止められる訳でもない。どうしようもないさ。」
クヌギさんの説明に、悔しいけど言葉を失った。
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