クロックワーカーの遺したモノ

杏珠

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一章 歪んだ生活

第十五話 選択の時間

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 日が登り始めた頃ラルカは着替えを終えてフィロの部屋の前まで来ていた。早朝の肌寒さが屋敷を包みこんでいる
「お兄様、もう起きてらっしゃいますか?」
「ん…ラルカか…鍵空いてるから入りなぁ…」
 起きてた…ちょっと早すぎたかと思ったけど…
「失礼します…ってお着替え中だったんですか!?通さないでくださいよぉ…」
「顔真っ赤にして振り返るまでが早いなw別に兄貴の裸見てもなんともねぇだろ」
 寝起きなのか髪もセットする前であくびをしながら着替えているフィロの姿があった
「ホント起きるの早いね~」
「お兄様も早いですよね…」
「そう?フシールはどうせまだ寝てんだろ。すぐ終わらせるから座って待ってて」
「はい」
 20分程で普段通りのフィロがやって来たがまだ少し眠そうな目をしていた
「はいコーヒー、ミルクと砂糖は入れてあるから。取り敢えず…ラルカが知ってる武器って何がある?」
「銃と刀、あとは弓…ですかね。食堂にも飾ってありましたよね。あれは何だか馴染みがありました」
「知り合いに弓使う人でもいたのかな?エトアルさんはあのタイプの弓じゃないからね…」
「エトアルさんも弓なんですね」
「うん。今度見せてもらえば?」
「頼んでみます!」
「取り敢えずこれ飲んだら武器庫行ってみるか…」
「二人共まだいる!?」
「お前…せめて着替えてから来いよ」
 飛び起きてからそのままフィロの部屋までやって来たのだろう…フシールが慌てながら入って来た
「良かったぁ…二人とも起きるの早いんだもん」
 お姉様…格好が…なんでお二人共執着心とかないんですかね…
「何かありましたか?」
「いや?ラルカちゃんの武器選ぶんなら私も居たいしね」
「取り敢えずフシールは準備してから武器庫に来い。後お前昔の服とかある?流石にラルカのドレスのまま試してくのはキツイだろ」
「そう…ですね。動きやすいとは言えませんし」
「あ~…多分残ってるかな?持ってくるわ」
「ありがとうございます」
「慌ただしい奴だな…取り敢えず俺達も行こうか」
「はい!」

 廊下の奥にある部屋の鍵をフィロが開けると中には数種類にも及ぶ様々な武器が並んでいた
「見たことないのがたくさんある…」
「人を殺せるようなものは基本何でもあるからな」
「ちっちゃいナイフ…?」
「それは短剣」
「これ盾ですよね」
「そうそう」
「凄い…」
 見たことないものが沢山…大きいのも小さいのも…でもなんというか…
「入ったことなかったもんなw何か気になるやつある?」
「ん~…どれも大きくて…私でも使えるんですかね?」
「試してみない事には分からないけど…取り敢えず何か振ってみるか」
「はい」
 近くの戸棚からフィロが取り出したのは小ぶりの斧だった
「これあくまで庭師の子供用だけど…まず持てる?」
「持つくらいなら出来ますけど…結構な重さありますね」
「取り敢えずその場で振ってみな?」
 ブォン!
「…ふはっwあ~ね」
「こ…これ頭クラクラしそうです…」
「ラルカの腕ごと遠心力で持ってかれそうになってたなw」
「手が痺れます…」
「この関係は無理だなぁw」
 武器って…こんな重いんだ…動かすと余計に…
「なるべく軽いのがいいかもね」
「お姉様!」
「服持ってきたよ~ラルカちゃん取り敢えず着替えてきな」
「はい」
 着替える為にラルカが自分の部屋に戻ると武器庫に残された二人は話し始めた
「ど~するかぁw」
「撃つ関係にいったら多分足持たないでしょ…」
「可愛いんだけどそれじゃ駄目だからなぁ…」
「少し特殊な方に行かないとかなぁ…」
「隠し持てる刃物は必須だな」
「体格的に長槍系も駄目だよね」
 各々でいくつか選んでいたら着替えを終えたラルカが武器庫に戻ってきた
「お、サイズ合った?」
「はい。おかしく…ないですか?」
 お姉様はよく着てるけど…ズボンなんて初めてだな…
「似合ってるよ。取り敢えず両手剣でもやってみるか?」
「わかりました…」
「これは完全に近接だから相手の懐に潜り込むようにしな~」
「取り敢えず俺相手で試そうか、本気で躱すから本気で殺しにかかりな」
「…はい!」
 しかし攻撃が当たるわけもなく最終的にはフィロが短剣を上空に弾いて終わった
「感覚は良いかもな」
「両手でも問題なく使えてるし」
「でも剣って結構手が痺れますね…」
 私じゃ…お兄様達みたいには難しいのかな…
「これから鍛えていかないとねぇw」
「でもラルカの力の割には一発が結構重い感じしたな…当たってたら多分俺手首落ちてたかもよ?」
「え!?」
「あ~…そういえばなんか空気がピリピリしたね…リーベリアさんと戦った時とおんなじ感じ!」
「ラルカは魔力を持ってるのかもな…」
「魔力…ですか?」
 でも魔力を持ってるのって…異種族か魔法使いだけだよね?
「うん。俺等は鍛錬して覇気を込めるけど魔力は使い方さえ分かればどの武器でも適応できるよ?」
「でも…よく分からなくって…」
「まぁ無意識でやってるだけでも凄いだろ」
 暫く各々が考え事をし始め黙り込んだ為、静かな沈黙が流れていた
「…あっ!」
「どうした?」
「ラルカちゃん手先器用なんだしさ【糸】とかどう?」
「糸…ですか?」
「あ~…隠密の奴等にたまにいたな」
 糸で戦う…?って…どうやって?
「糸を使って物を操ったりそれこそ糸で攻撃したり」
「人形劇って見たことあるか?」
「覚えてる限りだとないです…」
「まぁそれも糸で人形を操るんだよ」
 糸で…難しそうだな…
「私達も未知の分野だから色々試して覚えていかないとだけど…」
「星の図書館なら何かあるかもな」
「んじゃ今度鳥でも飛ばして持ってきてもらおうよ!」
「そうだな…」
「私でも…出来ますかね?」
「さぁ?」
「え…」
 出来ない…かな…私には
「最初は誰も出来ないさ。だから練習って言葉があるんだろ?きっと出来るようになる。それに魔力の扱い方が分かるようになれば自由自在に動かしたりも出来るかもよ?そんなん試してみるしかないじゃん」
「…はい!」

 後日エトアルが届けに来た本を読みながらラルカは糸を自在に動かす方法、そして魔力の扱い方を勉強し始めた。異質な彼女の人形劇戦い方はどの様な未来をもたらすのだろうか
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