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しおりを挟む「フィリオ様とピンキーをお連れしました」
ピンキーは怒った顔をしていて、旦那様はボーーッとした様子で目の焦点が合っていません。
王子様はふたりを部屋に通すと跪かせ、冷たい口調で言いました。
「フィリオにかけた魅了の魔法を解けと言ったはずだが?」
ピンキーはツンとそっぽを向いて、「いやです」と答えました。
「なぜ、こんなことをした?」
王子様は自白魔法をかけながら、ピンキーに話しかけます。
「だって・・・。私の勤めている宝石店に自筆のデザイン画をたくさん抱えてやってきて、奥さんに似合うネックレスをデザインしてくれって、奥さんの写真を見せて幸せそうにデレデレしたのよ! なんだか騙しやすそうな世間知らずな感じがしたし、彼はイケメンで裕福な伯爵家の跡取りだし、彼の子供を産んで裕福な愛人生活を満喫したいと思ったの! 男の子を産めば、私が正妻になれるかもしれない。だから彼に魅了の魔法をかけた。でも、完全にはかからなかった。あともう少しってところで、『マリア…』って言いながら抵抗するみたいに泣くんだもの。何度やっても同じ。もう疲れたし、諦めたわよ。彼を返せばいいんでしょ!」
面倒くさそうにフィリオを見下すピンキー。
彼女のそんな態度に、王子様が叱責しました。
「ふざけるな! 人の夫を横取りしようとした女が逆切れとは!
フィリオを元に戻すくらい、おまえを使わずとも出来るが、元に戻そうという良心がおまえにあるのか見ていただけだ! おまえに良心の欠片も無いことは、よ~く分かった! 2度とフィリオに近づくことは許さん!
王子の権限により、おまえを断罪する!
家財没収と修道院行きを命じる! 生涯、修道女として清く正しく生き、奉仕活動で社会に貢献し、心を磨くのだ!」
突然の王子様の断罪に衝撃を受け、よろめくピンキー。
「え~~~~っ?! あなた王子? もっと早く言ってよ~~っ! 修道院って、女ばっかりの所でしょ? 無一文にされたうえに、一生イケメンと付き合えないなんて~! 女に走ってやる~!」
「無垢な修道女に手を出すな~っ!バチ当たりがっ! 修道院の基本は、色即是空だ!」
「無理~~~っ!」
「おまえたち、早くこの女を連れてゆくのだ!」
「「「「「御意!」」」」」
護衛騎士たちはピンキーを取り囲みました。
「いやあぁぁぁ~ん! 護衛騎士さんたちイケメン♪ 見逃して?」
「「「「「見逃せるかっ!!」」」」」
すったもんだしながらピンキーは修道院へと送られたのでした。
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