灯火

松石 愛弓

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「火魔法、随分 上達されたのですね。フィーリアさんが作ってくださった炎のストーブやカイロのお陰で暖かく冬を過ごせていると大勢の方から感謝されました。
 割れガラスで費用をかけずに大量に作って配って、大変だったでしょう。両親もとても喜んでいるんです」
 ロナルドさんの優しい笑顔に ズキュンと胸を撃ち抜かれる。
 この思い出だけで お腹一杯です。
 体力の限界まで頑張って よかった!

「ロナルドさんのお陰で、私の人生は変わりました。火魔法に出会えて学ぶ機会を与えていただき、炎のストーブを作ることにもやりがいがあって、とても幸せな気持ちで作っているんです。
 サンダー家に居た頃、料理、掃除、洗濯、庭の手入れ、雑用も、1日中、何でもしましたが、一生懸命やっても酷いことを言われるだけでした。あのままサンダー家に居たら心身共に潰されていた。
 火魔法が使えるようになって、人から感謝されるようになって、そんな日々を与えてくれたロナルドさんに感謝しきれないほど感謝しています」

 辛い日々を思い出すと 涙が零れそうになってきて 俯くと、
「私と出会ったことは フィーリアさんにとって転機だったかもしれない。
 でも、何もしないで療養できる状況だったのにもかかわらず、モーリスに火魔法を習い、火魔法の炎を作るのを手伝い、ストーブを欲しがっている施設へ寄付し続けたのは、フィーリアさんの努力と真心です。貴方が自分の力で運命を切り開いたのです。
 サンダー家での思い出は辛いことばかりだったけど、もう大丈夫だから。思い出して泣かなくていいんですよ」

 ロナルドさんは 庭園の赤い薔薇を1本、ハサミで切ると 私に渡してくれた。
「赤い色は 人の心を元気にしてくれる色だそうです」
 王子様のようなロナルドさんは 薔薇が似合い過ぎる。
 こんなに御褒美が続いていいのかしら。
 心臓が撃ち抜かれっぱなしで 風穴が開きそう。

 この薔薇、一生大事にしよう。
 この状態を保つには 冷凍保存?
 氷属性の魔法使いさんを探してなんとか永久保存できるようにお願いできればいいのだけど。

「火災を鎮めたことも 両親もとても喜んでいて。もちろん私もですが」
「そんな・・うまくいくか自信はなかったのですが やってみようと思いまして。お役に立ててよかったです」
 ロナルドさんからいただいた薔薇を 愛おしく思いながら眺めていると、
「それで・・これからの事なのですが・・」
 ロナルドさんが 私のをじっと見つめた。

 
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