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アカリとフシギなタマゴ編
30色 アカリの試練5
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「つまらない話だけど、すこし聞いてもらってもいいかな?」
わたしが静かに頷くのを確認すると、廊下を歩きながらクロロンは話はじめた。
「ぼくはね、実は《トモダチ》って言葉が《怖かった》んだ」
「え?」
クロロンの言葉にわたしは眼を見開いて驚く。
「むかしね、トモダチ《だった》人がいてね。 よくその人と遊んでいたんだ。 はじめはその子もぼくのことをトモダチと思ってくれていて、もちろん、ぼくもトモダチだと思っていたんだ」
クロロンは「でもね」とつけたすとすこし顔を暗くした。
「ある時からね、その子はぼくに暴言を吐いたり殴るようになったんだ」
「!」
「そして、その時からなぜかぼくはクラスの人たちからムシされるようになっちゃたんだ」
……それって
「それって、いじめ!?」
わたしの言葉にクロロンはカラダをビクリとさせるけど、慌てて訂正する。
「違うと思うな……たぶん……しらないうちにぼくがみんなの嫌がることをやっちゃったんだ……」
また、あの眼だ……いつも明るくて、すごいやさしいクロロンだけど、たまにすごい哀しそうな眼をするんだ……。
そして、わたしは思い出した、なぜかクロロンのことを変な眼、うまくいえないけど《悪意》ある眼でみる人がたまにいた。 今に思えば気づいてない感じだったけど、たぶん、クロロンは《気づいていないフリ》をしていたんだ……。
「ご、ごめん! クロロン! 今まで気づかなくて!」
わたしは深く頭を下げてあやまる。 それをみたクロロンは慌てて手を振る。
「ち、違うよこっちこそごめんね。 急に変なことを言っちゃって」
逆にあやまらせてしまった。
「それにいわれたんだ。 『お前が悪い』『ゴミ虫』『クズ』ってだから、ぼくが《悪いんだ》」
胸がイタイ……。
「そして、ある日ね。 その子が夜、ぼくの家にきてね。 こういったんだ。 親の使っちゃいけないお金を使っちゃって道中で落としたって嘘をついてきたから、お金かしてよってね。 そして、彼は最後にこうつけたしたんだ。 『俺たち《友達》だろ?』って」
わたしがよく口にする言葉。
「その時ぼくの中でナニかが《壊れる》感覚がしたんだ。 トモダチってなんだろう? って《これが友情?迷う心情》って感じだね」
わたしの一番 《好き》な言葉がクロロンを一番 《傷つけていた》言葉なんて……。 涙が出そうだった、でも、一番泣きたいのはクロロンのはずだ。
でも…………でも!
「クロロン!」
「え!?」
わたしはクロロンの手を握る。
「ごめんねクロロン! わたしの言葉がクロロンを苦しめていたなら本当にごめんね! だけど、これだけは信じて! わたしは本当にクロロンやみんなのことをかけがえのない《大切なトモダチ》だと思ってるし、みんなとの思い出も《タカラモノ》だと思ってるよ! だから、ひとりで悩まないでわたしたちがいるから!」
握る手に強く思いを込める。 手はすこし震えていたかもしれないけど、本当の言葉、《想い》を伝える。
今、目の前のクロロンが『ニセモノ』なはずないよ! だって、こんなに『あたたかい』んだから!
わたしは涙を堪えながら、クロロンのキレイな瞳をみつめ、クロロンもみつめ返す。
「ありがとう」
クロロンは優しく微笑んだ。
「さすがいろのさんだね。 こっちこそ変なことをいってごめんね。 逆にぼくはいろのさんの言葉に救われていたんだ」
「え?」
わたしの手をみながら、クロロンは言葉を続ける。
「いろのさんの言葉って、いつもすごいまっすぐで、力強くて、ぼくは尊敬していて、本当に感謝をしていたんだ。 だから」
クロロンはまっすぐわたしをみつめる。
「本当にありがとう」
いつもの明るくて優しくて屈託のない笑顔でクロロンは微笑んだ。
手を放して、クロロンは窓の外を眺めながらいう。
「さて、ぼくのつまらない話に付き合ってくれた、いろのさんにお礼をしないとね」
クロロンはわたしにカケラを手渡した。
「これって」
「そう! 見事にいろのさんはぼくの試練をクリアしたのです!」
「クロロンの試練って?」
「それは内緒かな」
クロロンは口元に指を立てていう。
「いじわるしちゃってごめんね。 でも、なんとなく、内緒にしておきたいんだ」
今まではみんなの試練の内容を察して教えてくれていた感じだけど、自分の試練の内容は内緒にしたいってことは……。
「もしかして、わたし自身に気づいてほしいってことかな?」
「そうだね。 まあ、いろのさんならすぐに気づいてくれると思うけどね」
「じゃあ、わたしも気づいても教えてあげないね」
「えー!? いろのさんいじわるだなぁ~」
「おたがいさまだね」
お互い笑いあう。
「それじゃあ、ぼくの役目はここまでだね」
「うん、ありがとう」
「こちらこそありがとう、帰ったら《あっち》のぼくにもよろしくね」
「またね」
「また」そう一言だけ返すと、クロロンは笑顔で消えていった。
わたしが静かに頷くのを確認すると、廊下を歩きながらクロロンは話はじめた。
「ぼくはね、実は《トモダチ》って言葉が《怖かった》んだ」
「え?」
クロロンの言葉にわたしは眼を見開いて驚く。
「むかしね、トモダチ《だった》人がいてね。 よくその人と遊んでいたんだ。 はじめはその子もぼくのことをトモダチと思ってくれていて、もちろん、ぼくもトモダチだと思っていたんだ」
クロロンは「でもね」とつけたすとすこし顔を暗くした。
「ある時からね、その子はぼくに暴言を吐いたり殴るようになったんだ」
「!」
「そして、その時からなぜかぼくはクラスの人たちからムシされるようになっちゃたんだ」
……それって
「それって、いじめ!?」
わたしの言葉にクロロンはカラダをビクリとさせるけど、慌てて訂正する。
「違うと思うな……たぶん……しらないうちにぼくがみんなの嫌がることをやっちゃったんだ……」
また、あの眼だ……いつも明るくて、すごいやさしいクロロンだけど、たまにすごい哀しそうな眼をするんだ……。
そして、わたしは思い出した、なぜかクロロンのことを変な眼、うまくいえないけど《悪意》ある眼でみる人がたまにいた。 今に思えば気づいてない感じだったけど、たぶん、クロロンは《気づいていないフリ》をしていたんだ……。
「ご、ごめん! クロロン! 今まで気づかなくて!」
わたしは深く頭を下げてあやまる。 それをみたクロロンは慌てて手を振る。
「ち、違うよこっちこそごめんね。 急に変なことを言っちゃって」
逆にあやまらせてしまった。
「それにいわれたんだ。 『お前が悪い』『ゴミ虫』『クズ』ってだから、ぼくが《悪いんだ》」
胸がイタイ……。
「そして、ある日ね。 その子が夜、ぼくの家にきてね。 こういったんだ。 親の使っちゃいけないお金を使っちゃって道中で落としたって嘘をついてきたから、お金かしてよってね。 そして、彼は最後にこうつけたしたんだ。 『俺たち《友達》だろ?』って」
わたしがよく口にする言葉。
「その時ぼくの中でナニかが《壊れる》感覚がしたんだ。 トモダチってなんだろう? って《これが友情?迷う心情》って感じだね」
わたしの一番 《好き》な言葉がクロロンを一番 《傷つけていた》言葉なんて……。 涙が出そうだった、でも、一番泣きたいのはクロロンのはずだ。
でも…………でも!
「クロロン!」
「え!?」
わたしはクロロンの手を握る。
「ごめんねクロロン! わたしの言葉がクロロンを苦しめていたなら本当にごめんね! だけど、これだけは信じて! わたしは本当にクロロンやみんなのことをかけがえのない《大切なトモダチ》だと思ってるし、みんなとの思い出も《タカラモノ》だと思ってるよ! だから、ひとりで悩まないでわたしたちがいるから!」
握る手に強く思いを込める。 手はすこし震えていたかもしれないけど、本当の言葉、《想い》を伝える。
今、目の前のクロロンが『ニセモノ』なはずないよ! だって、こんなに『あたたかい』んだから!
わたしは涙を堪えながら、クロロンのキレイな瞳をみつめ、クロロンもみつめ返す。
「ありがとう」
クロロンは優しく微笑んだ。
「さすがいろのさんだね。 こっちこそ変なことをいってごめんね。 逆にぼくはいろのさんの言葉に救われていたんだ」
「え?」
わたしの手をみながら、クロロンは言葉を続ける。
「いろのさんの言葉って、いつもすごいまっすぐで、力強くて、ぼくは尊敬していて、本当に感謝をしていたんだ。 だから」
クロロンはまっすぐわたしをみつめる。
「本当にありがとう」
いつもの明るくて優しくて屈託のない笑顔でクロロンは微笑んだ。
手を放して、クロロンは窓の外を眺めながらいう。
「さて、ぼくのつまらない話に付き合ってくれた、いろのさんにお礼をしないとね」
クロロンはわたしにカケラを手渡した。
「これって」
「そう! 見事にいろのさんはぼくの試練をクリアしたのです!」
「クロロンの試練って?」
「それは内緒かな」
クロロンは口元に指を立てていう。
「いじわるしちゃってごめんね。 でも、なんとなく、内緒にしておきたいんだ」
今まではみんなの試練の内容を察して教えてくれていた感じだけど、自分の試練の内容は内緒にしたいってことは……。
「もしかして、わたし自身に気づいてほしいってことかな?」
「そうだね。 まあ、いろのさんならすぐに気づいてくれると思うけどね」
「じゃあ、わたしも気づいても教えてあげないね」
「えー!? いろのさんいじわるだなぁ~」
「おたがいさまだね」
お互い笑いあう。
「それじゃあ、ぼくの役目はここまでだね」
「うん、ありがとう」
「こちらこそありがとう、帰ったら《あっち》のぼくにもよろしくね」
「またね」
「また」そう一言だけ返すと、クロロンは笑顔で消えていった。
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