カラーメモリー『Re・MAKECOLAR』

たぬきち

文字の大きさ
30 / 124
アカリとフシギなタマゴ編

30色 アカリの試練5

しおりを挟む
「つまらない話だけど、すこし聞いてもらってもいいかな?」

 わたしが静かに頷くのを確認すると、廊下を歩きながらクロロンは話はじめた。

「ぼくはね、実は《トモダチ》って言葉が《怖かった》んだ」
「え?」

 クロロンの言葉にわたしは眼を見開いて驚く。

「むかしね、トモダチ《だった》人がいてね。 よくその人と遊んでいたんだ。 はじめはその子もぼくのことをトモダチと思ってくれていて、もちろん、ぼくもトモダチだと思っていたんだ」

 クロロンは「でもね」とつけたすとすこし顔を暗くした。

「ある時からね、その子はぼくに暴言を吐いたり殴るようになったんだ」
「!」
「そして、その時からなぜかぼくはクラスの人たちからムシされるようになっちゃたんだ」

 ……それって

「それって、いじめ!?」

 わたしの言葉にクロロンはカラダをビクリとさせるけど、慌てて訂正する。

「違うと思うな……たぶん……しらないうちにぼくがみんなの嫌がることをやっちゃったんだ……」

 また、あの眼だ……いつも明るくて、すごいやさしいクロロンだけど、たまにすごい哀しそうな眼をするんだ……。

 そして、わたしは思い出した、なぜかクロロンのことを変な眼、うまくいえないけど《悪意》ある眼でみる人がたまにいた。 今に思えば気づいてない感じだったけど、たぶん、クロロンは《気づいていないフリ》をしていたんだ……。

「ご、ごめん! クロロン! 今まで気づかなくて!」

 わたしは深く頭を下げてあやまる。 それをみたクロロンは慌てて手を振る。

「ち、違うよこっちこそごめんね。 急に変なことを言っちゃって」

 逆にあやまらせてしまった。

「それにいわれたんだ。 『お前が悪い』『ゴミ虫』『クズ』ってだから、ぼくが《悪いんだ》」

 胸がイタイ……。

「そして、ある日ね。 その子が夜、ぼくの家にきてね。 こういったんだ。 親の使っちゃいけないお金を使っちゃって道中で落としたって嘘をついてきたから、お金かしてよってね。 そして、彼は最後にこうつけたしたんだ。 『俺たち《友達》だろ?』って」

 わたしがよく口にする言葉。

「その時ぼくの中でナニかが《壊れる》感覚がしたんだ。 トモダチってなんだろう? って《これが友情?迷う心情》って感じだね」

 わたしの一番 《好き》な言葉がクロロンを一番 《傷つけていた》言葉なんて……。 涙が出そうだった、でも、一番泣きたいのはクロロンのはずだ。

 でも…………でも!

「クロロン!」
「え!?」

 わたしはクロロンの手を握る。

「ごめんねクロロン! わたしの言葉がクロロンを苦しめていたなら本当にごめんね! だけど、これだけは信じて! わたしは本当にクロロンやみんなのことをかけがえのない《大切なトモダチ》だと思ってるし、みんなとの思い出も《タカラモノ》だと思ってるよ! だから、ひとりで悩まないでわたしたちがいるから!」

 握る手に強く思いを込める。 手はすこし震えていたかもしれないけど、本当の言葉、《想い》を伝える。


 今、目の前のクロロンが『ニセモノ』なはずないよ! だって、こんなに『あたたかい』んだから!

 わたしは涙を堪えながら、クロロンのキレイな瞳をみつめ、クロロンもみつめ返す。

「ありがとう」

 クロロンは優しく微笑んだ。

「さすがいろのさんだね。 こっちこそ変なことをいってごめんね。 逆にぼくはいろのさんの言葉に救われていたんだ」
「え?」

 わたしの手をみながら、クロロンは言葉を続ける。

「いろのさんの言葉って、いつもすごいまっすぐで、力強くて、ぼくは尊敬していて、本当に感謝をしていたんだ。 だから」

 クロロンはまっすぐわたしをみつめる。

「本当にありがとう」

 いつもの明るくて優しくて屈託のない笑顔でクロロンは微笑んだ。

 手を放して、クロロンは窓の外を眺めながらいう。
 
「さて、ぼくのつまらない話に付き合ってくれた、いろのさんにお礼をしないとね」

 クロロンはわたしにカケラを手渡した。

「これって」
「そう! 見事にいろのさんはぼくの試練をクリアしたのです!」
「クロロンの試練って?」
「それは内緒かな」

 クロロンは口元に指を立てていう。

「いじわるしちゃってごめんね。 でも、なんとなく、内緒にしておきたいんだ」

 今まではみんなの試練の内容を察して教えてくれていた感じだけど、自分の試練の内容は内緒にしたいってことは……。

「もしかして、わたし自身に気づいてほしいってことかな?」
「そうだね。 まあ、いろのさんならすぐに気づいてくれると思うけどね」
「じゃあ、わたしも気づいても教えてあげないね」
「えー!? いろのさんいじわるだなぁ~」
「おたがいさまだね」

 お互い笑いあう。

「それじゃあ、ぼくの役目はここまでだね」
「うん、ありがとう」
「こちらこそありがとう、帰ったら《あっち》のぼくにもよろしくね」
「またね」

「また」そう一言だけ返すと、クロロンは笑顔で消えていった。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

【完結】テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

【完結】転生したら断罪イベントの真っ最中。聖女の嘘を暴いたら、王太子が真っ青になりました

丸顔ちゃん。
恋愛
王太子は私――エリシアに婚約破棄を宣言し、 隣では甘ったるい声の“聖女”が「こわかったんですぅ♡」と泣き真似をしている。 だが私は知っている。 原作では、この聖女こそが禁術で王太子の魔力を吸い取り、 私に冤罪を着せて処刑へ追い込んだ張本人だ。 優しい家族を守るためにも、同じ結末は絶対に許さない。 私は転生者としての知識を武器に、 聖女の嘘と禁術の証拠を次々に暴き、 王太子の依存と愚かさを白日の下に晒す。 「婚約は……こちらから願い下げです」 土下座する王太子も、泣き叫ぶ聖女も、もう関係ない。 私は新しい未来を選ぶ。

ボクは転生者!塩だけの世界で料理&領地開拓!

あんり
ファンタジー
20歳で事故に遭った下門快斗は、目を覚ますと――― “塩しか存在しない世界”に転生していた。 前世の記憶を持ったまま生まれ変わった少年、カイト・ブラウン・マーシュ。 塩だけの世界に少しずつ調味料を足し、沖縄風の料理を作り、仲間たちと笑い合い、小さな領地を発展させていく日々。 家族に愛され、周囲に愛され、穏やかに育っていく―― はずだった。 5歳の誕生日。 王都でカイトを待っていたのは、 300年前の“稀人”との遺物、 王太子妃を巡る陰謀、 そして王家を揺るがす思惑。 これは、ただのスローライフでは終わらない。 食は人を変え、 人は国を変え、 やがて世界の均衡さえ動かしていく。 グルメ×領地発展×国家ドラマ 愛に包まれて育った少年が 世界の“調和”を変えてしまう物語。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

世紀末ゾンビ世界でスローライフ【解説付】

しおじろう
SF
時は世紀末、地球は宇宙人襲来を受け 壊滅状態となった。 地球外からもたされたのは破壊のみならず、 ゾンビウイルスが蔓延した。 1人のおとぼけハク青年は、それでも のんびり性格は変わらない、疲れようが 疲れまいがのほほん生活 いつか貴方の生きるバイブルになるかも 知れない貴重なサバイバル術!

暗黒家族の令嬢は悪役ではないので、婿入り復讐計画を受け付けません

星琴千咲
恋愛
~完結まで毎日連続更新中~ 2025.2.14 ネオページ様の第三回NSP賞で佳作賞を受賞していただきました! ********* 【冷酷毒舌の暗黒令嬢×復讐のために花畑脳を演じる御曹司】  悪役だと誤解された暗黒家族の令嬢は、「婿入り復讐計画」の攻略ターゲットにされた!? ********* この作品はネオページ様にて第三回NSP賞で佳作賞を受賞した作品です。 転載規約より転載します。 最新話は以下のリンクからご覧いただけます↓↓↓ https://www.neopage.com/book/31155360615734100 ********* *********  リカはとある暗黒家族の継承人、冷酷毒舌で融通が利かない。重要な家族任務を執行する途中で友人たちに裏切られて、家から追放されそうになった。  イズルは神農財団の御曹司。彼の家族は暗黒家族の秘密を知ったせいで全員が殺された。イズル一人だけが異能力のおかげで魔の手から逃れた。  復讐するために、イズルは暗黒家族のライバル組織と手を組んだ。  その組織が提案したのは、なんと、イズルがリカの夫になって、暗黒家族内部に侵入するという屈辱な「悪役令嬢の婿入り計画」だった。  リカの信頼を得るために、イズルは小馬鹿なCEOに扮して、リカと馬の合わない同居生活を始める。  思わなかったのは、リカは彼が想像した悪役令嬢ではなく、彼からの好意に全く動じない石頭だった……

処理中です...