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南中心街から秋へ
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冬弥と栞から少し離れたところに立って、背後からはいつでも支えられるようにと重次が立つ。
「行くよ?」
右足を半歩。左足を半歩とほんの少しずつ足を動かして前に進む。
動きとしてはロボットのようだが、前よりも大分と関節が動いているので、足もちゃんと前に出る。
冬弥と栞までの距離は三人がけソファ一つ分しかなかったが、ゆっくりでも歩けたことをとっても喜んでくれた。
「栞さん、僕リハビリもちゃんとやってるからね?膝が思うようにまだ曲がらなくてへんな歩き方だけど、支えてもらわずに歩けた!僕頑張るね」
「雪翔君……」
「よく頑張りましたね。後は膝ですか……」
「うん、立つとうまく曲がらないというか、まだ踏ん張れないっていうか……」
「今これだけ歩けたんです。大丈夫、必ず良くなります」
薬を飲んだならもう寝なさいと言われて、久しぶりに自分の布団に入ると、放ったらかしにしていて怒っていたのか、翡翠が布団の中に入ってくる。
「もう、真ん中はダメだってば!しーちゃんもだよ!僕の寝る場所が……」
そんなことを言いつつ眠りに落ち、朝は翡翠の鳴き声で起こされる。
「ひーたんの!ひーたんの!ひーたんの!」
「うるさーーーい!何?朝から!翡翠なんで泣いてんの?」
「ひーたんの……いちごぉぉぉ」
「あのですね、ひーちゃんが寒いからお洋服を着ると言って出してきたこのイチゴ柄のモコモコのお洋服が破れてしまったんですー」
「どこかに引っ掛けたの?」
「ほんの少しですが大きくなったようで。その、丸い方に……お袖を通したら、ビリっと」
「翡翠が何でもかんでも食べてるからじゃん。もう小さいってことだよね?」
「はいー。たぶん栞様でももうお直しは無理だとおもいますー」
「ひーちゃん、今日病院の帰りに、お洋服屋さんに連れて行ってあげる。同じお洋服あると思うよ?前に行った時にも沢山かかってたから」
「ひーたんの?」
「え、うん。だから、少し大きいの買って、栞さんに直してもらおう」
「あ、あいっ!」
「だからもう泣いちゃダメ。分かった?」
「あいっ……」
そう言いながらもいちごの洋服を抱きしめているので、栞のところに連れていき、事情を話す。
「そうねぇ。二つくらい大きいの買ってきたら?今は寒いから手足はいつも隠してるし、長めでもいいと思うけど」
「二つだと大きすぎない?」
「だって……これのひと回り上だと多分お腹周りがパンパンよ?」と小声で教えてくれる。
ある程度は直してくれるというので、大きいのを買ってくるといい、古いいちごの洋服は、栞がいちご型の小さなクッションにしてくれると言うので、翡翠もいちご型に喜んで大人しく渡していた。
朝ごはんは下宿で食べると言って、病院の準備をしてから行くと、やっと帰ってきたとみんなからお土産を渡される。
「海都君、旅行いってたの?」
「うん、珍しくみんな揃うからって、父ちゃんのお兄さん一家と、じいちゃん達も一緒に。俺が高校最後だからだって」
お土産を見ると明らかに言ったであろう場所がわかる、マーライオン。
置物だが、真ん中に小さな時計がついている。
「ありがとう。海外行ったんだ」
「飛行機はやっぱり慣れないけど、たくさん食べてきた!」
「俺たちからはこれな」
もらったクッキーの箱には、長野と書いてあったので、二人で温泉に行ったの?と聞くと「スキーだよ」と教えてくれた。
「寒いのにスキー?」
「だからだろ?スノボもしたけど、旅館の飯と温泉は最高だった」
「可愛い子もいたしな」
「二人とも目的が……」
「いいのいいの。それよりさ、航平が那智さんの家からまだ帰ってこないんだよ」
「どこか行ってるのかな?」
「すれ違いでいったから、聞いてないんだ。冬弥さんも那智さんの所って言うだけだから。ラストくらいみんなで飲み会したかったんだけどな」
「行くよ?」
右足を半歩。左足を半歩とほんの少しずつ足を動かして前に進む。
動きとしてはロボットのようだが、前よりも大分と関節が動いているので、足もちゃんと前に出る。
冬弥と栞までの距離は三人がけソファ一つ分しかなかったが、ゆっくりでも歩けたことをとっても喜んでくれた。
「栞さん、僕リハビリもちゃんとやってるからね?膝が思うようにまだ曲がらなくてへんな歩き方だけど、支えてもらわずに歩けた!僕頑張るね」
「雪翔君……」
「よく頑張りましたね。後は膝ですか……」
「うん、立つとうまく曲がらないというか、まだ踏ん張れないっていうか……」
「今これだけ歩けたんです。大丈夫、必ず良くなります」
薬を飲んだならもう寝なさいと言われて、久しぶりに自分の布団に入ると、放ったらかしにしていて怒っていたのか、翡翠が布団の中に入ってくる。
「もう、真ん中はダメだってば!しーちゃんもだよ!僕の寝る場所が……」
そんなことを言いつつ眠りに落ち、朝は翡翠の鳴き声で起こされる。
「ひーたんの!ひーたんの!ひーたんの!」
「うるさーーーい!何?朝から!翡翠なんで泣いてんの?」
「ひーたんの……いちごぉぉぉ」
「あのですね、ひーちゃんが寒いからお洋服を着ると言って出してきたこのイチゴ柄のモコモコのお洋服が破れてしまったんですー」
「どこかに引っ掛けたの?」
「ほんの少しですが大きくなったようで。その、丸い方に……お袖を通したら、ビリっと」
「翡翠が何でもかんでも食べてるからじゃん。もう小さいってことだよね?」
「はいー。たぶん栞様でももうお直しは無理だとおもいますー」
「ひーちゃん、今日病院の帰りに、お洋服屋さんに連れて行ってあげる。同じお洋服あると思うよ?前に行った時にも沢山かかってたから」
「ひーたんの?」
「え、うん。だから、少し大きいの買って、栞さんに直してもらおう」
「あ、あいっ!」
「だからもう泣いちゃダメ。分かった?」
「あいっ……」
そう言いながらもいちごの洋服を抱きしめているので、栞のところに連れていき、事情を話す。
「そうねぇ。二つくらい大きいの買ってきたら?今は寒いから手足はいつも隠してるし、長めでもいいと思うけど」
「二つだと大きすぎない?」
「だって……これのひと回り上だと多分お腹周りがパンパンよ?」と小声で教えてくれる。
ある程度は直してくれるというので、大きいのを買ってくるといい、古いいちごの洋服は、栞がいちご型の小さなクッションにしてくれると言うので、翡翠もいちご型に喜んで大人しく渡していた。
朝ごはんは下宿で食べると言って、病院の準備をしてから行くと、やっと帰ってきたとみんなからお土産を渡される。
「海都君、旅行いってたの?」
「うん、珍しくみんな揃うからって、父ちゃんのお兄さん一家と、じいちゃん達も一緒に。俺が高校最後だからだって」
お土産を見ると明らかに言ったであろう場所がわかる、マーライオン。
置物だが、真ん中に小さな時計がついている。
「ありがとう。海外行ったんだ」
「飛行機はやっぱり慣れないけど、たくさん食べてきた!」
「俺たちからはこれな」
もらったクッキーの箱には、長野と書いてあったので、二人で温泉に行ったの?と聞くと「スキーだよ」と教えてくれた。
「寒いのにスキー?」
「だからだろ?スノボもしたけど、旅館の飯と温泉は最高だった」
「可愛い子もいたしな」
「二人とも目的が……」
「いいのいいの。それよりさ、航平が那智さんの家からまだ帰ってこないんだよ」
「どこか行ってるのかな?」
「すれ違いでいったから、聞いてないんだ。冬弥さんも那智さんの所って言うだけだから。ラストくらいみんなで飲み会したかったんだけどな」
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