下宿屋 東風荘 7

浅井 ことは

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南中心街から秋へ

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「雪翔よ、ジイジとて心配なんだよ。それだけはわかっておくれ」

「うん、ごめんね……」

頭を軽く撫でられ、祖父が夏樹に行くぞと声をかけ、役人の駐在する小屋のような家の中に入っていき、こちらも出発しようと言うこととなって荷馬車に乗る。

「では出発します」

「うん」

ゆっくりと動き出しすぐにトンネルに入ったので、ランプの明かりをつけて針に新しい札を巻いて四隅に刺し、前の部分は重次に渡して刺してもらう。

「これでよし!トンネルの中は明かりがないんだね」

「止められるところにはランプがついてます。多くても四台ほど左右に停める所があるのですが、まだまだ先ですね」

「この馬車もランプ二つで見にくくない?」

「そうでもないですよ?」

御者台に行ってもいいと言うので、紫狐に手伝ってもらって座ると、思っていたよりも前が見えている。

「こんなふうに見えるんだね」

「手綱持ってみますか?」

「いいの?」

「一本道ですし、桔花も賢い子なので大丈夫ですよ」

綱を握り、桔花に「真っ直ぐだからね?」と言って持っていると、尻尾が一度だけ揺れたので、分かったと言われているみたいでなんだか嬉しくなり、止められる場所まで持たせてもらうことにした。

「あ、明かりだ!」

「綱を……」

重次に変わってもらい、ゆっくりと速度を落として見てみるが、あいにく止める場所はなく、仕方なく次の場所まで進むことにした。

「どのくらい続くの?」

「ここは長いと思います。少し曲がったりもしてますから、一日で抜けれたらいいのですけど」

「だよね……反対側もいっぱいだし、交互にある感じなのかな?」

「そうです。混みあわないようにしてあるんだと思いますが、やはり遠回りしてしまったので今夜は止まらずに進むことになるかもしれません」

「寒くありませんか?」

「うん。ひざ掛けしてるから。ねえ、ジイジはどんな人なの?」

今更だと分かりつつも、突然飛びかかってくるちょっと変な祖父という以外は普通のお爺ちゃんで、祖母は何故かフリフリの服を着せたがる乙女チックなおばあちゃんという印象しかない。

「そうですね……那智様と夏樹様をご覧になってわかると思いますが、案外放任主義と言いますか……」

「そうなの?」

「ええ、奥方様も自分のことは自分でしなさいと言われる方ですし、お館……いえ、旦那様と言った方が区別がつくので、旦那様と言い換えますが、旦那様も教育以外の事は自分で責任をもってしなさいといった方です。なので、お二人が島に行くのもお止めになりません」

「僕には飛びかかってくるのに……」

「お二方は、女の子が欲しかったようでして、坊っちゃまはその……男の子にしては可愛らしいお顔立ちなので……」

「それなんだけど、僕、学校でも小動物みたいとか言われるんだよ?可愛いとか。カッコイイって言われたいのに」
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