下宿屋 東風荘 7

浅井 ことは

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後始末と聞いて、九堂がどうなったのか聞くと、すぐに記憶などが消されこっちに戻されて、ひと通りの生活ができるまでは、そこも記憶の操作はするが、城にいる専門の役人か見張りについているという。

「とっとと終わらせたいんだろ?」

「いつ行くの……?」

「もう少し調べてからだな。後はお前の体調次第だ」

「うん……」

「ほらほら、落ち込まない!今日は楽しみましょう」

買い物もどんどん進んでいき、今日の分とは別にあと二日分は買わないとと三人がカートを押して大量に食材を買い、下宿に戻ったのは昼過ぎだったので、そこから冬弥は仕込みに入りますからと厨房に行ってしまった。

「お爺ちゃん!」

「おお、雪翔。買い物はどうだった?」

「楽しかったよ。僕、もっと後だと思ってたからビックリしちゃった」

「一緒に住めればいいんじゃがのぅ」

「京弥さんが跡を継いだらこっちに来たらいいのに」

「長居はできても帰らねばな。まだ、これでも顔が聞くんじゃよ」

「そっか、残念。でも、僕も休みには行くから」

「そうじゃ、これを持ってなさい」と航平の分と二つ札をくれる。

「これって……」

「二人とも良く聞いておいて欲しいんじゃが、その札で、雪翔も航平も好きな時に一人でも狐の国に来れる。門番にそれを見せたらいい。何処に行くにも持っていなさい。こちらで言う、免許証みたいなもんじゃ。ただ、裏書が城と儂の連名となっておる。絶対に失くすでないぞ?」

「うん、わかった。誰かに使われないようにってことだよね?」

「そういう事じゃ。航平も遠慮せずにいつでも来なさい」

那智と喧嘩した時でも構わんぞ?と那智に聞こえるように言いながら、航平と二人頭を撫でられ、「さてと、那智よ。早速じゃが地図を出してくれんか」

と、大人組は話をするから子供は遊んできなさいと追い出されたので、下宿の厨房に行って、うどんを作って二人でたべる。

「わかめ入れすぎだよ」

簡単なうどんをと言いながら、増えるわかめを思ったよりも多く入れてしまい、表面がわかめで埋まってうどんが見えず、それでも完食してから二人で仕込みの手伝いをする。

「航平まで珍しいですねぇ」

「今日は何もすることがなかったんで」

「ねえねえ、オムバーグ早く!」

「じゃあ、玉ねぎをみじん切りにしてください。航平はとにかくレタスを洗って手で適当な大きさにちぎってから、きゅうりを斜め切りにしてから細切りに、ラディッシュは薄く。それが終ったら全部ボウルに入れちゃってください」

大量の玉ねぎを微塵切りにしてボウルに入れて、ハンバーグを俵型にして焼いていけと言われ、スチームオーブンの中に入れて焼く。

その間に冬弥が煮物を作り出したので、航平とじゃがいもを剥き、茹でてから潰す。

「腕がー!」

「今日は多いですから。キュウリとハム、玉ねぎはもう下ごしらえしてあるので、いつものようにフレンチドレッシングとマヨネーズであえて、塩コショウして下さい」

半分はそのまま出すといい、残りをどうするのかと聞くと、軽く茹でて水気を切ったレタスの中に入れて、長いまま茹でたニラでポテトサラダを包んでてるてる坊主のように作ってくれと言われ、航平と大量に作る。

レタスの中にポテトサラダ。巾着のようにきゅっと絞ってニラで……なんとか巻き付けて止める。

この作業が地味に難しい。

「ニラがちぎれちゃう」

できた唐揚げの周りに、輪になるように置いていき、間をプチトマトとパプリカで飾っていき、煮物も大鉢三つに分けて入れて運ぶ。

「そろそろ刺身が届くので、航平受け取ったら並べてくださいね」

「後はオムバーグだけですか?」

「ええ、今から玉子焼きを30枚焼きます」

「多くない?」

「食べる人いますよねぇ?」

「海都君だ」

「彼のぶんは二つでいいですかねぇ?飲む人はつまみもいりますし、最後にポテトフライをあげたら一旦終わりです」

黙々と三人で卵を焼き、お皿に敷いてから焼きあがったハンバーグを乗せて、オムレツ型にしてトマトソースをかける。

「これがオムバーグ?」

「ええ、簡単でしょう?」

「ピザバーグでも良かったなぁ」

それは今度と言われ、今回はすべてテーブルに運び、なんとか終了と思っていたら、那智が漬物がない!と後ろから声をかけてきた。
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