下宿屋 東風荘 7

浅井 ことは

文字の大きさ
64 / 68
封印

.

しおりを挟む
海都のお祝いの最後に、自分の誕生日も祝ってもらい、雪翔も17歳かと何故かみんなにしみじみと言われてしまった。

そのあと夕食時間が終わり、祖父と周太郎たちに秋彪に玲も合流し、昔から居る下宿のメンバーが集まり宴会が始まる。

「来た時は小さくて弱々しくて、女の子みたいだと思ったけどな」と隆弘が言うと、堀内は「いつ熱出すのかと思ったら父親気分だったよ」と言い、賢司から言わせると「一番手のかからない子だった」など、まるでみんなの感想が父親のようになっていたが、可愛いとか女の子みたいだというのはもう撤回してくれと頼む。

「まだまだ子供だろ?」

秋彪に言われるも、秋彪も背の高さは自分とあまり変わらない。

「俺たちから祝いだ」と那智達三社から海都と二人お祝いをもらって、二人で開ける。

「あ、お揃いだよ!」

「ホントだ。ありがとうございます」

二人でお礼を言って数珠のブレスレットをはめる。

誕生石の方が雪翔で、学業の守りが海都だと言われ、大切にすると言って二人で笑っていると、祖父は航平から聞いて買ってきたと、海都に分厚い辞書をプレゼントしていた。

「あ!学校で使うやつだ、じっちゃんありがとう」

「海都、お前無くすなよ?それ、四年間使うからな?」

「うう、頑張る!」

「まぁ、よく遊んでよく学ぶといい」

祖父もみんなのことを大切にしてくれているので嬉しいと伝えると、「そうか?」と言いながらも日本酒を飲みながらご機嫌に頭を撫でてくる。

「俺ももう卒業だよ」と隆弘が言いながらも、コンビニのバイトはもう辞めて、昼は卒業まで法律事務所でバイトするんだとの報告が入った。

「忙しくなるんだね」

「どっちにしろ、もうそこでの就職は決まってるからな」

「僕も先生って呼ばないとね」

「それは辞めて!航平は余裕っぽいけど、実習は大変だぞ?」

「聞いてますけど、あと一年後なんで……」

「航平、一発で合格できなかったら、勘当だからな?」

「やったー!」

喜ぶな!と那智に突っ込まれつつも、夜遅くまで久しぶりに騒ぎ、片付けは明日にして今日はもう家に帰りましょうと言われて戻るが、人が多かったのに興奮したのか、侑弥は眠れないようで、四社の狐の眷属たちにも遊んでもらいながらご機嫌でおもちゃで遊んでいる。

「でじゃ。ここからが本題なんじゃが……冬弥よ、天狐共からこれを預かってきた」

祖父が手紙を冬弥に渡し、さっと中を確認した冬弥がため息をひとつつく。

「雪翔、明日から社を渡り歩いて封印作業です。全部で五箇所。四箇所は午前と午後で上手く行けば二日で終わります。残り1箇所は全員で行った方がいいでしょう」

「場所はわかってるんだよね?僕がどうやって封印するの?」

「行けば必ず体が反応するはずだと九堂が言ったそうです」

よく聞き出せたねというと、秋彪が「無理やり喋らせたんだよ」と想像のつくことを言ってくる。

「雪翔の力のことがあるので、私はすべてについて行きます。一番遠いところから行くので、父上と四郎、玲が最初の社。二番目に那智が三郎と待機していてください。父上たちと交代です。で、三番目が……私と那智。三郎はそのままいてくださいね。四番目が秋彪が待機。私と雪翔の三人でいいので、最後の五番目に向けてみなさんここに戻っていてください」

「僕、できるかな?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

あやかし家族 〜五人の兄と愛され末妹〜

南 鈴紀
キャラ文芸
 妖狩りにより両親を奪われ、囚われの身となった半妖の少女・鈴音は浄化の狐火を利用するだけの道具のように扱われていた。呪いにより成長は止まり、容姿も思考も幼いまま、感情が消え失せてもなおただ生かされるままに生きていた。  しかし妖保護部隊本部第一部隊との出会いにより、鈴音の止まっていた時間が動き出す。  掴みどころはないが頼れる氏神・雅仁、兄には厳しいが弟妹には優しい狼の妖・千里、人間嫌いだが人当たりの良い振りが得意な人間・遥杜、可愛いもの好きで元気いっぱいの猫又・鴇羽、大人しいが思いやりに溢れる猫又・瑠璃。  五人の兄と過ごす時間の中で、無いものだらけだった鈴音にもやがて大切なものが増えていく。  妖×家族の心温まる和風ファンタジー。

下宿屋 東風荘 2

浅井 ことは
キャラ文芸
※※※※※ 下宿屋を営み、趣味は料理と酒と言う変わり者の主。 毎日の夕餉を楽しみに下宿屋を営むも、千年祭の祭りで無事に鳥居を飛んだ冬弥。 しかし、飛んで仙になるだけだと思っていた冬弥はさらなる試練を受けるべく、空高く舞い上がったまま消えてしまった。 下宿屋は一体どうなるのか! そして必ず戻ってくると信じて待っている、残された雪翔の高校生活は___ ※※※※※ 下宿屋東風荘 第二弾。

レオナルド先生創世記

ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!

【完結】身代わり皇妃は処刑を逃れたい

マロン株式
恋愛
「おまえは前提条件が悪すぎる。皇妃になる前に、離縁してくれ。」 新婚初夜に皇太子に告げられた言葉。 1度目の人生で聖女を害した罪により皇妃となった妹が処刑された。 2度目の人生は妹の代わりに私が皇妃候補として王宮へ行く事になった。 そんな中での離縁の申し出に喜ぶテリアだったがー… 別サイトにて、コミックアラカルト漫画原作大賞最終候補28作品ノミネート

【完結】お父様の再婚相手は美人様

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 シャルルの父親が子連れと再婚した!  二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。  でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

多分、うちには猫がいる

灯倉日鈴(合歓鈴)
恋愛
傭兵のコウの家には、いつの間にか猫が住み着いていた。 姿は見えないけれど、多分、猫。 皿を洗ったり、洗濯をしたり、仕事を手伝ったり、ご近所さんと仲良くなったりしているけど、多分、猫。 無頓着な傭兵の青年と、謎の猫のステルス同居物語。 ※一話一話が非常に短いです。 ※不定期更新です。 ※他サイトにも投稿しています。

【完結】一番腹黒いのはだあれ?

やまぐちこはる
恋愛
■□■ 貧しいコイント子爵家のソンドールは、貴族学院には進学せず、騎士学校に通って若くして正騎士となった有望株である。 三歳でコイント家に養子に来たソンドールの生家はパートルム公爵家。 しかし、関わりを持たずに生きてきたため、自分が公爵家生まれだったことなどすっかり忘れていた。 ある日、実の父がソンドールに会いに来て、自分の出自を改めて知り、勝手なことを言う実父に憤りながらも、生家の騒動に巻き込まれていく。

処理中です...