黄泉津役所

研修期間

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「この席に座って待っててくれる？」

「はい」

大宜都さんに河童君が食べられそうなおやつはないかと聞くと、「まさか、きゅうりって思ってないだろうね」と言われドキッとする。

だって、色んなキーホルダーとかぬいぐるみではきゅうりがセットになってるじゃあないか！

大宜都さんが出してくれたのは普通のバームクーヘンにオレンジジュース。
しかもスイカ付き。

なんでスイカなんだろう？

お盆を持ってどうぞと渡し、自分の分もテーブルに置くと、「お金……」と言われるので、「大丈夫だよ。きっとお駄賃だと思うから」と食べてというと、スイカを見てニコニコ。

「スイカ好きなの？」

「大好きです！この、ふわふわのは？」

「バームクーヘンていうお菓子だよ」

いただきますと食べた河童君は、「あまーい、美味しい。兄ちゃんと三郎にも食べさせてあげたかったですぅー」とちまちま。

すぐ大宜都さんに言いに行くと、四つ包んでくれたのでお土産に持っていくといいと渡すと、「わぁーい！ありがとうございます」とペコペコ。

その度にお皿が見えてまじまじと見てしまう。

「ふぅ、美味しかったですーぅ」

「俺も久しぶりに和菓子以外食べた感じ。誰か迎えに来るのかな？」

「はい。おかあちゃ……母が」

「お母さんでいいよ。迎えに来てくれるの？」

「市役所にお手紙を持っていって渡したら、えっと……おかあちゃんが迎えに来てくれるって」

「そうなんだね。さっきから気になってたんだけど……」と自分の頭をつつくと、「おさら？」と言うので、うんうんと頷く。

「外に出る時には僕たち子供は帽子を被って……ああああぁぁ！ぼ、帽子がなあーい！お兄ちゃん、受付で僕……」

「案内のところに来た時には被ってなかったよ？来る時は帽子被ってた？」

「もちろんですー！僕たち子供は、大人みたいに上手に隠せないから、いつも帽子をかぶってて……」

「何色で、どんな帽子かわかるかな？」