黄泉津役所

浅井 ことは

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祭り

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朝、ガバッと起きて時間を見ると七時。

「母さん、闇之助帰ってきた?」

「朝からバタバタと。帰ってきてないわよ」

「連絡もないのか?」

「うん。親父仕事?」

「休日出勤なんだ。そんなに遅くはならないけど」

一応、『どこにいるんだよ馬鹿之助』と入れておく。

「じゃあ、行ってくる」

「おとーちゃん、いってらっしゃい」

「行ってきます。いい子にしてるんだぞ」

「うん!」

これだけの会話でるんるんしているオヤジを見て、仲良し家族っていいなぁと思っていると、二階から変な音がしたので駆け上がる。

「お兄ちゃんのにおいー」

「闇之助?返事くらい……」

部屋を見ると、所々に怪我をした闇之助。

「母さん、爺ちゃん!闇之助が!」

階段をおりていくと祖母まで二階に来て「とりあえずバスタオル!濡らしたタオルも!お爺さんは救急箱。丈史は猿田様に……」

「お兄ちゃん、お兄ちゃん、うぇぇん」

やば!座敷わらしを泣かせるなとか言われてたよ俺!

「うわぁぁぁん!おにいちゃぁぁん」

「桃ちゃん、大丈夫よ。ほら、いい子いい子」

「ごめん母さん、抱っこしてて!爺ちゃん、俺、八上さんに電話してくるから服お願い」

とりあえず電話をかけながら外を見ると車はある。

「もしもし、八上さん!」

車はあるが、直接二階の部屋に戻ってきて怪我していること、話しかけても返事がないことを伝える。

「とりあえず着替え。怪我してるところは任せるわ。すぐに行くから寝かせておいてね」

電話を切って上に行こうとしたら、窓から猿田さんが入ってくる。

靴を脱げ!

「朝早ようから桃の鳴き声がするで見に来たが……闇之助か?」

八上さんに電話はしたと伝え、一緒に二階へ来てもらう。

「これは……。桃よ、泣きやめい!」

「ううっ、ぐすっ」

「良いか?治れ治れと闇之助にいい子をしてやってくれんか?出来るの?」

「うん、お兄ちゃんいい子いい子する」

いたいのとんでけー!と桃ちゃんがしている横では、祖父が闇之助が大きすぎてベッドに乗せられないと言うと、指先一つで猿田さんが闇之助をベッドに寝かせてくれる。

「こやつ、何をしてきたんじゃ……」

「うわぁぁぁん、いたいのとんでけぇー!」

祖父母が見ておくと言ってくれたので下に降りると、玄関には八上さんと月読さん。

「お邪魔します。泣きやみそうですね」

「あ、少し声は小さくなったかな?」

「町中に鳴き声が聞こえてましたよ。ちょっと見させてくださいね」

また二階に行くのに、冷蔵庫からペットボトルの水を持っていく。

「これは……」

「普通の怪我ではないわ。月読様、桃ちゃんの力では治らないと思います」

「丈史君、闇龗の着替えを。役所に連れていきます」

「もももいくー!」

「また泣かれても困るから連れていくしかないの。運転は……」

「私が出来ます。いつもの市役所に行けばいいんですよね?」

「役所の裏の職員用駐車場分かりますか?」

「北側の……。車を玄関前に出します。私の車なら横に寝かせられますから」と祖父が出ていったのはいいが、後ろには仕事道具の山。

寝かせると言っても……「爺ちゃん毛布!」と走っていく。




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