173 / 243
祭り
.
しおりを挟む
車の中に毛布を縦に折って敷き、いつでも乗れるように開けて、少し荷物を後ろに投げる。
「丈史、落ちなければいいんだ。お前足元に座ってやれ」
「分かった!」
すぐみんなが運び出してくれ、車に乗せたのはいいのだが、指先一つで闇之助を浮かせて二階から車に乗せる月読さんはとても強いんじゃないだろうか?
普段は非弱そうなのに!
「私と月読様は先に医務室に行くから!裏口に連れてきて!あ、桃ちゃんと猿田様もこっちに乗せてく!」
「はい!」
「丈史、着替え。中に手に握ってたのも入れてあるわ」
「うん。母さん、ごめん。行ってきます」
「家のことは心配ないわよ」
扉を閉めて祖父に裏側の駐輪場を過ぎたところで止めて貰う。
「ここは使われてない入口のはずだが……」
「ここから入るんだ。ちょっとみてくるね」
扉を開けるとマスクをした人が五人。
「闇龗神様をこちらの担架に移します」
車をあけて運ばれていくのをポカーンと見る祖父に、「俺行ってくるから。爺ちゃん大丈夫?」と手を顔の前で振る。
「おお、すまん。驚いた」
「少し休む?」
「大丈夫だ。行ってあげなさい」
ありがとうといって中に入り、医務室まで走っていく。
「あの、闇之助は?」
「今中に。ここから先は彼らの領域ですから」
「彼ら?」
誰だろう?と思いながら、長椅子で座っていると、ペットボトルを抱えた桃ちゃんと八上さん。
「もも、もう泣かないの」とお茶を一本くれる。
「ほれ、キャンディじゃ」
「俺にも?」子供じゃないのに。
「桃が、一緒に食べると我慢しておったぞ?」
「そっか」
包を開けて食べるとほんのりといちごの味。
「美味しいね」
「さんかくなの。イチゴ味!」
膝に座らせ、猿田さんに一体何があったのか分からないと手紙のことを話して、その相手に会いに行くと言っていたことを言うと、「喧嘩じゃ。神同士のな。力と力をぶつけ合ってできたんじゃろうが、少し悪い気が混じっておる。言うて闇之助は名前の通り闇深いと思われがちだが、そんなことは無い。同じ水の神の中でも澄んだ性質の神じゃ。相手は多分……」
「誰ですか?俺にも闇之助にも嫌がらせしたヤツ!」
「双子神って分かりますか?」
「月読さん、それ、闇之助が二人ってことですか?」
「神は一対とも双子とも、男女とも言われてまして、生まれによって違うのですが、闇之助には一緒に産まれた神がいます。人の文献では同一視されていたりもするようですが……」
「それ、兄弟って思ったらいいのかな?」
「まあ、そんな感じです。相手は多分、高龗神でしょう」
「会ったらぶん殴ってやる!」
「メッ!されるよ?」
「メッされても俺は文句は言う!」
「もも、けんかはきらい」
そう言われるとごめんねとしか言いようもなく、「処置が終わりました」と出てきたのはちっさい人!
「丈史、落ちなければいいんだ。お前足元に座ってやれ」
「分かった!」
すぐみんなが運び出してくれ、車に乗せたのはいいのだが、指先一つで闇之助を浮かせて二階から車に乗せる月読さんはとても強いんじゃないだろうか?
普段は非弱そうなのに!
「私と月読様は先に医務室に行くから!裏口に連れてきて!あ、桃ちゃんと猿田様もこっちに乗せてく!」
「はい!」
「丈史、着替え。中に手に握ってたのも入れてあるわ」
「うん。母さん、ごめん。行ってきます」
「家のことは心配ないわよ」
扉を閉めて祖父に裏側の駐輪場を過ぎたところで止めて貰う。
「ここは使われてない入口のはずだが……」
「ここから入るんだ。ちょっとみてくるね」
扉を開けるとマスクをした人が五人。
「闇龗神様をこちらの担架に移します」
車をあけて運ばれていくのをポカーンと見る祖父に、「俺行ってくるから。爺ちゃん大丈夫?」と手を顔の前で振る。
「おお、すまん。驚いた」
「少し休む?」
「大丈夫だ。行ってあげなさい」
ありがとうといって中に入り、医務室まで走っていく。
「あの、闇之助は?」
「今中に。ここから先は彼らの領域ですから」
「彼ら?」
誰だろう?と思いながら、長椅子で座っていると、ペットボトルを抱えた桃ちゃんと八上さん。
「もも、もう泣かないの」とお茶を一本くれる。
「ほれ、キャンディじゃ」
「俺にも?」子供じゃないのに。
「桃が、一緒に食べると我慢しておったぞ?」
「そっか」
包を開けて食べるとほんのりといちごの味。
「美味しいね」
「さんかくなの。イチゴ味!」
膝に座らせ、猿田さんに一体何があったのか分からないと手紙のことを話して、その相手に会いに行くと言っていたことを言うと、「喧嘩じゃ。神同士のな。力と力をぶつけ合ってできたんじゃろうが、少し悪い気が混じっておる。言うて闇之助は名前の通り闇深いと思われがちだが、そんなことは無い。同じ水の神の中でも澄んだ性質の神じゃ。相手は多分……」
「誰ですか?俺にも闇之助にも嫌がらせしたヤツ!」
「双子神って分かりますか?」
「月読さん、それ、闇之助が二人ってことですか?」
「神は一対とも双子とも、男女とも言われてまして、生まれによって違うのですが、闇之助には一緒に産まれた神がいます。人の文献では同一視されていたりもするようですが……」
「それ、兄弟って思ったらいいのかな?」
「まあ、そんな感じです。相手は多分、高龗神でしょう」
「会ったらぶん殴ってやる!」
「メッ!されるよ?」
「メッされても俺は文句は言う!」
「もも、けんかはきらい」
そう言われるとごめんねとしか言いようもなく、「処置が終わりました」と出てきたのはちっさい人!
22
あなたにおすすめの小説
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
7番目のシャルル、狂った王国にうまれて【少年期編完結】
しんの(C.Clarté)
歴史・時代
15世紀、狂王と淫妃の間に生まれた10番目の子が王位を継ぐとは誰も予想しなかった。兄王子の連続死で、不遇な王子は14歳で王太子となり、没落する王国を背負って死と血にまみれた運命をたどる。「恩人ジャンヌ・ダルクを見捨てた暗愚」と貶される一方で、「建国以来、戦乱の絶えなかった王国にはじめて平和と正義と秩序をもたらした名君」と評価されるフランス王シャルル七世の少年時代の物語。
歴史に残された記述と、筆者が受け継いだ記憶をもとに脚色したフィクションです。
【カクヨムコン7中間選考通過】【アルファポリス第7回歴史・時代小説大賞、読者投票4位】【講談社レジェンド賞最終選考作】
※表紙絵は離雨RIU(@re_hirame)様からいただいたファンアートを使わせていただいてます。
※重複投稿しています。
カクヨム:https://kakuyomu.jp/works/16816927859447599614
小説家になろう:https://ncode.syosetu.com/n9199ey/
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
アブナイお殿様-月野家江戸屋敷騒動顛末-(R15版)
三矢由巳
歴史・時代
時は江戸、老中水野忠邦が失脚した頃のこと。
佳穂(かほ)は江戸の望月藩月野家上屋敷の奥方様に仕える中臈。
幼い頃に会った千代という少女に憧れ、奥での一生奉公を望んでいた。
ところが、若殿様が急死し事態は一変、分家から養子に入った慶温(よしはる)こと又四郎に侍ることに。
又四郎はずっと前にも会ったことがあると言うが、佳穂には心当たりがない。
海外の事情や英吉利語を教える又四郎に翻弄されるも、惹かれていく佳穂。
一方、二人の周辺では次々に不可解な事件が起きる。
事件の真相を追うのは又四郎や屋敷の人々、そしてスタンダードプードルのシロ。
果たして、佳穂は又四郎と結ばれるのか。
シロの鼻が真実を追い詰める!
別サイトで発表した作品のR15版です。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった
海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。
ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。
そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。
主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。
ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。
それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。
ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる