八百万の学校 其の弐

浅井 ことは

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奈良へ__

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「ここからは?」

「タクシーというので宿に行こうと思うが、昼がまだだったの」

「あ、そう言えば。でも、宿に食事つけてないから、夜はどこかで食べようと思ってて……今食べたら夜はいらないんじゃないかな?」

「俺は腹が減ったぞ?」

「俺もだよ!でも、夜食べられなくなったら嫌じゃん」

「仕方がない。一先ず宿へと行こうか」

道真さんの後を追って、タクシーを拾って宿まで行きチェックインすると、なぜだか同じ部屋、そして食事付きとなっていたので、何かしたんだなと部屋について聞くと、「車から見ていたが、ここは山の中腹。買い物もままならんぞ?」と言われ、それでかと納得するも、なるべく術は使わないでもらいたいとお願いをして、風呂へと行く。

「おおー!広い!」

頭と体を洗ってゆっくり浸かり、一面ガラス張りの窓から外を見るとほぼ全体が見渡せ、東大寺と五重塔もしっかりと見える。
夕暮れになったらもっと綺麗なんだろうなと思いながら部屋に戻り、祖父に電話を入れる。

『もしもし、爺ちゃん?』

『無事に着いたか?』

『うん、今宿についてお風呂はいった。道真さんが食事付きにしてくれたんだけど……』

『何か買うところはなかったのか?』

『山の中だよ?』

『すまんな、そこしか空いてなかったから。それより、純平と連絡が取れんのだ。翔平、掛けてみてくれんか?』

『あ、俺も聞きたかったんだよ。昨日も電話繋がらなかったし。どうしたんだろう』

『分かった。私も何度か掛けてみるとしよう。明日私達は夜に大国様の神社へ行くことになったが、翔平、迦具土君がいるからと言って気を抜いてはダメだぞ?』

『分かってる』

何かあれば連絡をして欲しいと頼んで電話を切り、兄に電話をかけるがやはり留守電のまま。

「迦具土、兄貴とやっぱ連絡取れないんだけど」

「爺さん達もか?」

「そう。何かあったのかな?まさか一人で法隆寺行ってないよね?」

「それは無いだろ?行ってどうにかなるものでもないし」

「だよなー」

部屋に戻ると食事の用意がされ、懐石料理のようだが、黒いお椀の蓋を開けると中にはカブか何かの味噌でんらくのようなものが入っていた。

「なんだろうこれ」

そばに置いてあった紙を見ると、『柿の味噌田楽』と書いてあり、作り方も書いてあったので祖母に渡そうと写メを撮ってから紙を鞄の中に入れる。

食事を堪能してから布団を敷いてもらい、「ご家族でで観光ですか?お爺さん孝行ですねぇ」と言われ、道真さんがお爺ちゃん、迦具土と俺が兄弟だと仲居さんに勘違いされてるようで、つい、ポカーンとしてしまった。

確かに見えない訳では無いが、平安時代のお爺ちゃんて何代前だよ!

「どうぞごゆっくり」

仲居さんが部屋を出たので、明日どうやっていくのかを教えてもらうために地図を出す。

「ここからまた興福寺までタクシーとやらで行く。その後にこの建物の裏。人も少ないのは確認してあるから、そこから法隆寺まで飛ぶ。法隆寺に着いたら、周りから一周して中に入り、どこに何があるのかを覚えてもらうんだが……流石にずっとここにいる訳にも行かないと思うのじゃが……」

「何か問題でも?」

「翔平よ、お主、お昼ご飯とかはどうするつもりじゃ?」

「あ……二日目の宿にも荷物おきに行かないと」

「朝、預かってもらおう。一度見て回ったら、食事をして一度宿に戻ろう。そこで大国様達と合流する予定なんだが……テチと言うやつを知っておるか?」

「え、うん」

「もしかしたら連れてくるかもしれんのぅ」
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