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居候
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予定よりも早くトラックが着き、荷物を降ろしていく。
絨毯の色はラベンダー。
どんな部屋になるのだろうと思いながら、お昼の支度に取り掛かる。
炊飯器に米を入れ、水の量は米の分量より少しだけ少なく合わせて入れコンソメと塩コショウを入れて味を見る。
少し濃いぐらいにして、バターを大さじ1ほど入れて混ぜてから、冷凍のミックスベジタブルと海老、マッシュルームを入れスイッチを押す。
炊飯器二つ分。
二升分を炊くので子供6人の胃袋の大きさに最初は驚かされたが、もうそれも慣れてしまった。
ミックスベジタブルはとうもろこしを買った時に、人参やサヤエンドウを剥いて茹でて冷凍しておくと使い勝手がいいが、今は安く買えるのでつい頼ってしまう万能なものだと思っている。
ご飯が炊けたら終わりだが、1人の時や残った時に冷凍しておいたものは、少し炒めた方が美味しい。
なのでエビピラフではあるが、炊飯器でするのでピラフと呼んでいいのか少し微妙だ。
「あ、堀内君。みんな呼んできてくれないかい?」
「良いですよ」
みんなが集まったところで、引越しの片付けをみんなに頼む。
「一人でもできるだろうけど、早く終わらせてあげた方がいいと思ってねぇ」
「俺手伝ってくるよ。この前片付けてもらったし」そう言うとみんなで行っても仕方ないからと、隆弘と海都の二人が手伝うことになり、今年卒業のこの引越しも近かったので他のものは、そちらのダンボール詰めを手伝ってもらうことにした。
引越しの時期が近付くと下宿屋も賑やかになる。
「さて、今のうちに買い物に行きましょうかねぇ」
こんなときに商店街が近いと助かると思い、陶器屋に行き、茶碗に汁椀、湯呑みに箸と選び、絨毯に合わせて薄い紫色に桜の絵が書いてあるセットを買うことにした。
取り皿だけは共有だが、入る子のイメージに合わせて毎回買いに来ている。
「新しい子かい?」と店主が話しかけてくる。
「ええ、高校一年生になる子です」
「前の子は何色だったかねぇ?」
「たまに高校生の海都がお使いにここまで来るんですが、その子のはお茶碗が大きいものを買いましたね。白のしっかりとした、薄茶で渦の書いてある……」
「あぁ、覚えてるよ。セットにはならなかったけど、同じ作品のを買ってもらって。みんな色が違ったよね?」
「私の趣味になるんですけどね。家族のように暮らしてますから自然と」
「これでいいのかい?」
「もうひとり増えるかもしれないのでその時はまた来ます」
お会計をし、雪翔が高校に受かるのは分かっていたので、魚屋によって鯛を中心にお刺身を明日届けてもらえるように頼み、ついでにと酒屋にも寄って定期的に買っているビールの追加と、日本酒にジュースを頼んで帰宅する。
「ただいま。みんなどうしたんだい?」
「お腹空いた……」
時間を見るとお昼は回っており、申し訳ないと炊飯器の中を確認する。
杓文字で混ぜ、お皿によそってみんなに取りに来てもらう。
その間に軽く茶碗などを洗って拭き、雪翔に渡す。
「今日からみんなが家族だから、困ったことがあればみんなに頼るといいよ」
「ありがとうございます」
「あ、俺の時地味だったのに!」
「海都は量だったでしょう?割れにくいものを選んだんですよ?」
「俺のも長く持ってるもんな」等と言いながらも食事を始める。
「もう片付けは終ったんですか?」
「俺、布団のシーツセットしただけ。毛布とか布団新品だったから、ベッドに置いただけだな……」
「俺も押し入れに突っ張り棒つけて、引越しの箱からそのまま服掛けただけかも」
「じゃあ、終わってないんじゃ……」
「それが終わったの。俺の時一日かかったのに」
「漫画が多かったですからねぇ。ほかの皆さんもパズルとか、模型とかたくさんで驚いたものです」
「それに荷物少ないんだよ。トラック来た時は多そうだったんだけど」
「あの、遅くなったんですけど、これ母から皆さんにと……」と菓子折を渡してくるが、人数が多いと聞いたからか、3箱大きな菓子折が出された。
「ありがとうございます。みなさん、ちゃんと分けてくださいね?」
賢司に隆弘、海都くらいしか食べないが、たまに和菓子だと堀内も飛びつく。
「あ、開けるのは食事が終わってからです」
絨毯の色はラベンダー。
どんな部屋になるのだろうと思いながら、お昼の支度に取り掛かる。
炊飯器に米を入れ、水の量は米の分量より少しだけ少なく合わせて入れコンソメと塩コショウを入れて味を見る。
少し濃いぐらいにして、バターを大さじ1ほど入れて混ぜてから、冷凍のミックスベジタブルと海老、マッシュルームを入れスイッチを押す。
炊飯器二つ分。
二升分を炊くので子供6人の胃袋の大きさに最初は驚かされたが、もうそれも慣れてしまった。
ミックスベジタブルはとうもろこしを買った時に、人参やサヤエンドウを剥いて茹でて冷凍しておくと使い勝手がいいが、今は安く買えるのでつい頼ってしまう万能なものだと思っている。
ご飯が炊けたら終わりだが、1人の時や残った時に冷凍しておいたものは、少し炒めた方が美味しい。
なのでエビピラフではあるが、炊飯器でするのでピラフと呼んでいいのか少し微妙だ。
「あ、堀内君。みんな呼んできてくれないかい?」
「良いですよ」
みんなが集まったところで、引越しの片付けをみんなに頼む。
「一人でもできるだろうけど、早く終わらせてあげた方がいいと思ってねぇ」
「俺手伝ってくるよ。この前片付けてもらったし」そう言うとみんなで行っても仕方ないからと、隆弘と海都の二人が手伝うことになり、今年卒業のこの引越しも近かったので他のものは、そちらのダンボール詰めを手伝ってもらうことにした。
引越しの時期が近付くと下宿屋も賑やかになる。
「さて、今のうちに買い物に行きましょうかねぇ」
こんなときに商店街が近いと助かると思い、陶器屋に行き、茶碗に汁椀、湯呑みに箸と選び、絨毯に合わせて薄い紫色に桜の絵が書いてあるセットを買うことにした。
取り皿だけは共有だが、入る子のイメージに合わせて毎回買いに来ている。
「新しい子かい?」と店主が話しかけてくる。
「ええ、高校一年生になる子です」
「前の子は何色だったかねぇ?」
「たまに高校生の海都がお使いにここまで来るんですが、その子のはお茶碗が大きいものを買いましたね。白のしっかりとした、薄茶で渦の書いてある……」
「あぁ、覚えてるよ。セットにはならなかったけど、同じ作品のを買ってもらって。みんな色が違ったよね?」
「私の趣味になるんですけどね。家族のように暮らしてますから自然と」
「これでいいのかい?」
「もうひとり増えるかもしれないのでその時はまた来ます」
お会計をし、雪翔が高校に受かるのは分かっていたので、魚屋によって鯛を中心にお刺身を明日届けてもらえるように頼み、ついでにと酒屋にも寄って定期的に買っているビールの追加と、日本酒にジュースを頼んで帰宅する。
「ただいま。みんなどうしたんだい?」
「お腹空いた……」
時間を見るとお昼は回っており、申し訳ないと炊飯器の中を確認する。
杓文字で混ぜ、お皿によそってみんなに取りに来てもらう。
その間に軽く茶碗などを洗って拭き、雪翔に渡す。
「今日からみんなが家族だから、困ったことがあればみんなに頼るといいよ」
「ありがとうございます」
「あ、俺の時地味だったのに!」
「海都は量だったでしょう?割れにくいものを選んだんですよ?」
「俺のも長く持ってるもんな」等と言いながらも食事を始める。
「もう片付けは終ったんですか?」
「俺、布団のシーツセットしただけ。毛布とか布団新品だったから、ベッドに置いただけだな……」
「俺も押し入れに突っ張り棒つけて、引越しの箱からそのまま服掛けただけかも」
「じゃあ、終わってないんじゃ……」
「それが終わったの。俺の時一日かかったのに」
「漫画が多かったですからねぇ。ほかの皆さんもパズルとか、模型とかたくさんで驚いたものです」
「それに荷物少ないんだよ。トラック来た時は多そうだったんだけど」
「あの、遅くなったんですけど、これ母から皆さんにと……」と菓子折を渡してくるが、人数が多いと聞いたからか、3箱大きな菓子折が出された。
「ありがとうございます。みなさん、ちゃんと分けてくださいね?」
賢司に隆弘、海都くらいしか食べないが、たまに和菓子だと堀内も飛びつく。
「あ、開けるのは食事が終わってからです」
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