35 / 73
居候
.
しおりを挟む
「おはよう……冬弥さん、雪翔がいないんだけど」
「あぁ、神社の掃き掃除に行ってますよ。朝餉には一度帰ってきます」
「そうなんだ……なんか……焦げ臭くない?」
竈からはモクモクと煙が上がり、卵は焦げ、台所はいつの間にか火事の一歩手前状態だった。
「音々さん?もしかしてですが?」
「母のを見ていたので出来ると思ったんです」
「海都、みんなを起こしてきて下さい。音々さんは片付けを手伝ってください」
「はい……」
玉子を冷蔵庫から出して人数分焼き、サラダやウインナーなどを乗せてワンプレートにし、パンを焼いてもらうのに机に置きに行く。
「これも慣れです。朝餉は私と同じお膳でいいですか?」
「はい。あの、この洋服なんですけど……」
「どうかしました?」
「地味……」
「でしょうね。あなたの見た目はまだ20そこそこですからねぇ。後で買い物に誰か付き添わせます」
「でも、お金もってなくて」
「良いですよ?その代わり働いてもらいますけど」
「花嫁修業ですね?」
「違います」
雪翔が帰宅し、みんなで朝餉を食べるも、女の人がいるだけで華やかな雰囲気に変わる。
「隆弘か賢司どちらか今日空いていませんか?」
「俺1日休みだけど」
「じゃあ、申し訳ないんですが、ショッピングモールに彼女を連れていってくれませんか?洋服など買いたいそうなので」
「良いけど、冬弥さんは?」
「野暮用がありまして……彼女は音々さんと言います。しばらくの間ここに居るので、必要なものを揃えて来てください」とお金を入れた封筒を渡す。
「雪翔は昼から部屋を作るのを手伝ってください」
「音々さん、使い回しの家具で申し訳ないのですけど、丁度一部屋空いていますのでそこを使ってください」
「ありがとうございます」
「では、私はお先に。このまま商店街へ行ってきます」
「日用品店?」
「報告もかねてですけどね」
そのまま下宿をでて、桜子に音々についているようにと言い、商店街までの道を歩く。
着いてすぐはまだ店もしまっているところも多いが、日用品店はいつも早い。
「おはようございます」
「はーい、あら、おはようございます」
「彼女が目が覚めたのでご報告にと思いまして」
「それは良かった。主人呼んできますね」
奥の自宅に入ったと思ったら店主が慌ただしく出てくる。
「どこの娘さんかわかったのかい?」
「ええ、事情は聞きました。私の知り合いから下宿を頼って行くように言われてきたと。それで、しばらくの間預かることになりました」
「下宿でかい?」
「ええ、丁度一部屋空いたものですからそこを使ってもらおうと思いまして」
「大丈夫かね?男所帯で……」
「みんなも理解してますし、家はお風呂は銭湯ですから変な心配もないと思います」
「何かあったら言ってくれよ?」
「ありがとうございます」
「あぁ、神社の掃き掃除に行ってますよ。朝餉には一度帰ってきます」
「そうなんだ……なんか……焦げ臭くない?」
竈からはモクモクと煙が上がり、卵は焦げ、台所はいつの間にか火事の一歩手前状態だった。
「音々さん?もしかしてですが?」
「母のを見ていたので出来ると思ったんです」
「海都、みんなを起こしてきて下さい。音々さんは片付けを手伝ってください」
「はい……」
玉子を冷蔵庫から出して人数分焼き、サラダやウインナーなどを乗せてワンプレートにし、パンを焼いてもらうのに机に置きに行く。
「これも慣れです。朝餉は私と同じお膳でいいですか?」
「はい。あの、この洋服なんですけど……」
「どうかしました?」
「地味……」
「でしょうね。あなたの見た目はまだ20そこそこですからねぇ。後で買い物に誰か付き添わせます」
「でも、お金もってなくて」
「良いですよ?その代わり働いてもらいますけど」
「花嫁修業ですね?」
「違います」
雪翔が帰宅し、みんなで朝餉を食べるも、女の人がいるだけで華やかな雰囲気に変わる。
「隆弘か賢司どちらか今日空いていませんか?」
「俺1日休みだけど」
「じゃあ、申し訳ないんですが、ショッピングモールに彼女を連れていってくれませんか?洋服など買いたいそうなので」
「良いけど、冬弥さんは?」
「野暮用がありまして……彼女は音々さんと言います。しばらくの間ここに居るので、必要なものを揃えて来てください」とお金を入れた封筒を渡す。
「雪翔は昼から部屋を作るのを手伝ってください」
「音々さん、使い回しの家具で申し訳ないのですけど、丁度一部屋空いていますのでそこを使ってください」
「ありがとうございます」
「では、私はお先に。このまま商店街へ行ってきます」
「日用品店?」
「報告もかねてですけどね」
そのまま下宿をでて、桜子に音々についているようにと言い、商店街までの道を歩く。
着いてすぐはまだ店もしまっているところも多いが、日用品店はいつも早い。
「おはようございます」
「はーい、あら、おはようございます」
「彼女が目が覚めたのでご報告にと思いまして」
「それは良かった。主人呼んできますね」
奥の自宅に入ったと思ったら店主が慌ただしく出てくる。
「どこの娘さんかわかったのかい?」
「ええ、事情は聞きました。私の知り合いから下宿を頼って行くように言われてきたと。それで、しばらくの間預かることになりました」
「下宿でかい?」
「ええ、丁度一部屋空いたものですからそこを使ってもらおうと思いまして」
「大丈夫かね?男所帯で……」
「みんなも理解してますし、家はお風呂は銭湯ですから変な心配もないと思います」
「何かあったら言ってくれよ?」
「ありがとうございます」
0
あなたにおすすめの小説
下宿屋 東風荘 5
浅井 ことは
キャラ文芸
☆.。.:*°☆.。.:*°☆.。.:*°☆.。.:*゜☆.。.:*゚☆
下宿屋を営む天狐の養子となった雪翔。
車椅子生活を送りながらも、みんなに助けられながらリハビリを続け、少しだけ掴まりながら歩けるようにまでなった。
そんな雪翔と新しい下宿屋で再開した幼馴染の航平。
彼にも何かの能力が?
そんな幼馴染に狐の養子になったことを気づかれ、一緒に狐の国に行くが、そこで思わぬハプニングが__
雪翔にのんびり学生生活は戻ってくるのか!?
☆.。.:*°☆.。.:*°☆.。.:*°☆.。.:*☆.。.:*゚☆
イラストの無断使用は固くお断りさせて頂いております。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる