下宿屋 東風荘

浅井 ことは

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居候

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「ふふっ、何だか夫婦みたいですね」

「何を馬鹿なことを言ってるんですか……皆さんを起こしてきてください。このボードを見たらわかる様になってますけど、朝に丸が振っていない子は起こさなくていいです。今日はみんな朝からの様ですから、全員の戸を叩けば出てくると思いますので」

分かりましたとみんなを呼びに行ってくれるのはいいが、パタパタと忙しなく、見ていて少し疲れる。

「冬弥様もお年ですか?」と水狐に言われ、そうかもしれませんねぇ。と返事を返す。

「冬弥様、海都君が起きないんですけど……」

「また漫画でも読んで夜更かししていたんでしょう」

「冬弥様のお部屋にも有りましたけど?」

「今、賢司から借りてるんですよ。面白いからと……でもあの話しは薬屋の店主そっくりなんですよねぇ……」

「何か?」

「いえ、起こしてきます」

鍵はついているが、掛けるものは誰もいないため、勝手に入って布団を引き剥がして起こす。

「寒いよー!」

「起きてください。遅刻しますよ!」

部屋はあんなに綺麗に片付いていたのに、またマンガが散乱していて、お菓子の袋まで机に放り投げてある。

「全く……帰ったら掃除ですよ?はい、顔洗って着替えてください。ご飯冷めますよ!」

「起きるよ……冬弥さん、段々とかぁちゃんみたいになって来てるよ?」

「起きないからでしょう?早くしないと卵焼き無くなりますよ?」

「それは嫌だ!」

やっと起きて支度をしてご飯を食べるものの、出かける時間ぎりぎりまでお代わりをして食べる姿は、朝から見ているだけでお腹がいっぱいになる。

「あ、今夜なんですけど誰か早く帰る人います?」

「僕、夕方には帰ってきます」

堀内が手を挙げてくれたので、今夜出かけることを告げ、戸締まりだけ頼むことにした。

ボードには2人がバイトと書いてあったので、裏から入ってくれるように頼み、膳を下げて洗い物を始める。

「いってきまーす!」

「気を付けるんですよ!」

「はーい」

毎日のやりとりだが、言われて見ると母親のようだなと思い、一人でつい笑ってしまう。

みんなが出掛けるのを見届け、雪翔を呼ぶ。

「宮司さんに、しめ縄をいつするのか聞いておいてください」

「分かりました。今日は御輿の手入れをするって言ってて、大工さんとか来るみたいです」

下宿の修理はすぐに済んだので良かったが、棟梁ももうかなりの歳だ。
腰でも悪くしないといいのだがと思い、どんな人が来ていたかも覚えてきて欲しいと頼む。

千年祭の社の修理や、関係した人達には多少良いことが起こるようにいつもしているが、今年は大きな祭りとなるので数も多いだろう……
面倒だな……と少し思い腕を組んでいると、一枚の紙を雪翔に見せられた。

「これ、鳥居の絵なんですけど、うっすらと見えたのも書いて、階段てこんな感じで上に進めるようにイメージすればいいのかな?って書いてみたんです」
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