下宿屋 東風荘

浅井 ことは

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居候

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鳥居の真ん中から空へと向かって階段が書かれており、何故か途中から鳥居を囲んで螺旋階段のように書かれているのを指差すと、真っ直ぐだとハシゴみたいになるなぁ?って思ったからと子供らしい答えが返ってきた。

「真っ直ぐで大丈夫ですよ?脚をかけて飛びながら上へと進むので、支障はないです」

「僕、頑張ります」

「お願いしますね」

雪翔が社へ向かったのを見て、洗濯物をして干す。
みんな自分で洗うのだが、やはり男なのでシーツ類は出してもらうようにし、定期的にみんなの分を洗うようにしている。

「あの、私は何をすれば……」

「葉狐と桜狐の治療を受けてください。何もしないより治りは早いので」

「分かりました」

二匹を音々につけ、掃除など家事をこなすと大体10時は過ぎる。

「昼餉はお蕎麦でいいですかねぇ」

お昼に雪翔が帰ってきてすぐに蕎麦を茹で、狐蕎麦にする。

「狐がきつねそばって」

「揚げ好きなんです。気にしないでください、共食いでもないですし」

「音々さんはいつもご飯とかどうしてたんですか?」

「いつもは影の狐が用意してくれてたから」

「あそこ宮司さんいませんもんねぇ」

「たまに小さなお社だけの神社ってあるけど、お狐様がいない神社もあるんでしょ?」

「沢山ありますよ?ですがどれだけ小さくても、誰かは来るんですよねぇ。雪翔のお婆さんのように懐かしんで来てくれる方やご近所の方が。そうでないといい気が貰えませんからねぇ」

「え?人から貰うの?」

「勝手に私たちを呼ぶときに出してくれるんです。それが食事のようなものですかねぇ」

ご馳走さまでしたとお茶を飲みながら、昼から買い物に行くので音々には着いてきて欲しいと頼み、あまりの喜びようだったので、日用品店の夫婦に元気な顔を見せに行くだけだと念を押す。

全く……と思いながら、支度をして商店街へと向かう。

歩いてすぐ着くのに、あっちもこっちも見て回るので中々前に進まない。

「あのですねぇ、時間は限られてるので道草してる時間なんてないんです」

「でも珍しいものが沢山で」

「社生まれの社育ちはこうなるんですか」とため息をひとつつき、音々を放って先を急ぐ。

「待ってください......あ、わ、きゃぁぁぁ」

振り向くと豪快に転けており、その側を自転車が通りすぎる。

「あなたは疫病神ですか?」

「違います。疫病神なんかじゃありません」

「後一度でも同じことが起きたら下宿から出ていってもらいます。面倒事はお断りしているので」

「そんなぁ。冬弥様ぁ」

商店街に殆ど放置な状態で入り、呉服屋の主人に着物の出来具合を聞いてから、日用品店にはいる。
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