ゴミ拾いで3体の夫ができた人間

那原涼

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裁判3

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アロンはジロリとした目で会場内を見渡した。

見れば見るほどイラつくな。

「少し外の空気吸ってくる」

そう言って立ち上がり、外に向かおうとした。

だが立ち上がって行こうとした瞬間、何かがアロンの行く手をふさがった。真っ先に目に入ってきたのは金髪である。

「アロンさん、お茶会以来ですわね」

ネロシカが珍しくこういった社交の場で1人でいた。

「お前も来たのかよ……」

「ええ、ユラさんの晴れ舞台ですしね」

その言葉にアロイスが鼻で笑い、ベンチから立ち上がるとアロンを自分の後ろに押した。

「なんだ、あの女の保護者のつもりか?」

「あら、あなたはここでゆったりして大丈夫かしら。お父様から交流してくるように言われたと思うけれど?」

「そう言うお前はどうなんだ?いつも引き連れている犬どもはお前に構ってくれないのか?」

「絢爛会のメンバーでしたら会場内にいるわ。私はあなたと違って人員関係は広いので、例え交流に疲れてここでお休みしても大丈夫なのよ?」

「はっ!皮肉のつもりか?僕は優秀だからな!例えーー」

「それで何かあった際、誰も助けてくれないと思うけれど。あなたは優秀だから助けは必要ないのでしょう」

「………っ、お前」

「ああ、そうだった。確かあちらにご婚約者の方がいらしていたわ。会いに行かれては?」

ネロシカの指差す方向にはこちらをひかえめに見つめている女性がいた。

アロイスの表情が変わり、苦虫を噛み潰したような顔をすると「余計な世話を!」と吐き捨ててその女性のもとへ向かった。

お茶会でネロシカのアロイスへの思いを聞いたばかりか、アロンは気まずげな顔で声をひそめて言った。

「いいのかよ、あれ。婚約者ってことは将来結婚する相手なんだろ?」

「ええ。私とアロイスでは結果など出ませんからね。私の祖父は自分の実の兄に恋をし、色々とやらかしてしまったのでね、それを知っている身としては結構対立することでこの気持ちを抑えているのです。なんせ、私は祖父とよく似ているらしいので」

ネロシカはアロンに近づき、小声にささやいた。

「ご安心ください。アロイスのお友達は私のお友達。絢爛会はあなたの味方ですよ」

「どういう意味だ、それ」

「ふふ。私は利益重視です。しかし、人間であるゆえ情に流されることもあります。アロイスがあんな女を見捨てろ、と言うのでね。身内贔屓としては見捨てなければいけません」

「言ってることめちゃくちゃだろ……」

「だってアロイスが可愛くて仕方ないんです。なるべくお願いを叶えてあげないと」

ふふと笑ってネロシカは離れた。

「あいつ、意外とやばいな」

「誰がやばいんだ」

突然近くで響いた声にアロンが驚いた声を出した。見やるとエルドが手を後ろに組みながら近づいてきていた。

「お前来ていいのかよ!」

「何かダメな理由があるのか?」

「い、いや……そういうわけじゃ」

「ユラのことなら心配しなくていい」

「何が心配しなくていいんだ?」

「彼女はエルヴィスと成婚することはない」

「は?いや、でも今ーー」

「エルヴィスが来た」

アロンはパッとエルドの視線先を振り向いた。

白いスーツ姿のエルヴィスがいつの間にか会場内におり、目を輝かせてアロンに手を振っていた。

しかしすぐに近くに寄ってきた人々と挨拶を交わし、こちらを見る余裕もなくなったようである。

「式が始まるまで私といよう、アロン」

「ああ……ここでおとなしくしろよ?ユラの前には出るな」

エルドは答えず、ただ小さく笑った。

「お前今笑ったか!?」

「いや、気にしないでくれ」

絶対笑っただろこいつ!

エルヴィスが現れてからしばらく経ち、やっと式が本格的に始まった。

最初に司会らしきアンドロイドが壇上で言葉を述べ、エルヴィスが会場内に集まった人々に感謝を伝えた。

そしてそのまま滞りなく進み、会場内の入り口のドアが開き、誰かが姿を現した。

父親に手を引かれて敷かれたじゅうたんの上を歩くユラである。

白いドレスにベールを被った姿は確かに美しい。

アロンは思わず自分と比べてしまった。

アロイスはユラがこの式と見合わないと言うけれど、せめて自分よりはよっぽど見合っている気がした。

アロンはなんだかこの場にいたたまれなくなり離れようとした。

だが離れようとしたところエルドに腕を引かれた。

「離せっ!」

「最後まで見てほしい」

「は?」

意味がわからなかったが、エルドの真剣な目にアロンはしぶしぶとその場に止まった。

しかし見ていてやはり気持ちのいいものではない。

ユラはエルヴィスと同じ壇上に立つとマイクを受け取り、感謝と今後の抱負らしき言葉を言った。

しかし、程なくすると言葉の質が変わった。

アロンは最初こそ顔をそらして聞き流していたが、突然自分の名前を呼ばれたことにギョッと目を向けた。

「ーーアロンさんはとてもいい方です。しかし私はやはり彼がエルヴィスさんの伴侶であることに納得がいきません。みなさん、モニターにご注目ください」

ユラが手のひらを向けた方向には空中に投影されたモニターがあった。

そこには自分の姿が映し出され、フェスティバルの日の喧嘩をしていた映像が流れ始めた。

それを見てアロンは頭から冷水を浴びせられたかのように血の気が引いていくのを感じた。

な、なんであんな映像が、こんなところで……。


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