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アレアの伴侶
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わたあめに夢中になっていたアロンはなぜか視線を感じ、見ればクロードが言葉にし難い表情で見つめてきていた。
「なんだよ……」
「わたあめ、美味しいか?」
「まあ、うまいな」
「それならよかった。これから食べたくなったらいつでも言ってくれ」
アロンにとってこれからなどないが、今は余計な反論はしないほうがいいと判断した。かと言ってうなずきもせずにただ顔をそらした。
アロンがそろそろトイレに行きたいと切り出そうとしたところ、突然クロードの端末が鳴り響いた。
クロードは端末を取り出して向こう側の人と何かを話し込むと、パッとアロンを連れて来た方向を戻っていった。それに焦ったのはアロンである。
「おい!どこに行くんだよ!」
タイミングがタイミングなだけに、アロンはてっきり自分の思惑がバレたのかと思っていた。だがそうではないようである。
「また別の機会に連れ出す。今は戻ろう」
「はあ!?なんでだ!」
「きみを付け狙う不届者がいるからだ」
「おい!待てよ!せめてトイレに行かせろ!」
だがアロンの言うことは聞き入ってもらえず、窓ガラスが黒張りの車に連れ戻された。
どこにどうやって帰ったのかもわからずじまいだったが、ただやけに車の速度が速い気がした。
またも部屋に閉じ込められたアロンは逃げる隙を逃したことに悔しさを感じた。
しかし先ほどみたいにあそこまで急いで戻ってきた様子を見るに何かあったのは間違いない。
アロンはベッドの上で腕を組みながら考えた。
逃げるにしてもまずはこの赤い紐と首輪をどうにかしなければいけない。首輪はまず置いておくにしても、紐は切らなければどこにもいけない。
なんならベッド周り2、3歩ほどの距離しか移動できない。
トイレに行きたいと嘘をついてもトイレには逃げる場所などなく、基本何をしてもこのベッドから離れることはない。
「どうしたらいいんだよ」
考えに考えて思い出したのが、先程クロードが通話していた時のことである。
かすかに電話の向こうから「軍用」という言葉を聞いた気がした。
軍用……軍用アンドロイド?俺を連れ戻したのは付け狙われているからと言ったけど、まさか付け狙っているっていうのはその軍用アンドロイドなのか?軍用アンドロイド……ライネスか!?
エルヴィス達はわからないが、確か自分はクラック達と軍部に行ってライネスと会う約束である。
ならば自分が来ないことと何かあったことはすでに知っているかもしれない。ライネスが知っているならエルヴィス達が知っている可能性も大きい。
ただ聞こえた軍用という言葉は軍用アンドロイドを指しているのかどうかわからず、かつ、自分を狙っているのがライネスかどうかもわからない。
どうやって確かめるかを悩んでいると、部屋を軽くノックされた。
「入れ!」
クロードが入ってくると真っ先に見えたのがベッドの上で腕を組みながらこちらをにらんでくるアロンの姿である。
「お前、俺に何か言うことないのか?」
「例えば?」
「俺を付け狙っているやつがいるらしいな。誰だ?」
「………」
「ごまかせると思うなよ!正直に言え!」
「きみの、名義上だけの軍用アンドロイドの夫だ」
クロードはやけに名義上という部分に重みを置いて言った。
「ライネスなのか!」
アロンの期待がこもり始めた目にクロードはただ冷淡な目で見返した。
「……そういう名前だったな」
「今どこにいる!」
「この屋敷にいる」
「本当か!?」
「ああ」
「会わせろ!」
「会わせると思うか?」
アロンが思わずぐっと言葉につまった。あまりにも素直に質問に答えてくれるからこのままいけば会わせてもらえるという感覚があったが、やはりそんな都合のいいことはなかった。
「どうすれば会わせてくれるんだ?」
クロードは小さく息を吐き出してアロンのそばに来た。赤い紐を手に取り、指で軽くこすりながら言う。
「きみはあの機械どもに心を奪われすぎている。あの者たちを特別だと考えすぎている」
「……何が言いたい?」
「ライネスは戦闘型アンドロイドだ。感情表現も力のコントロールも人間と接するには合わない。少しでも笑えば特別に感じ、必要以上に嬉しがる。……あの子もそうだった」
「母さんのことか?」
「………」
「母さんの伴侶がライネスなのか?」
クロードはわずかに目を伏せたが、次第にその目に怒りの色が濃くなってくる。
「あの者のせいで妹はそばから離れていった!それなのにあいつは妹を大事にしないばかりか、傷つけ、ほったらかしにし、守ることもできない!アレアはいったいアレのどこがそんなに好きなんだ!たった一度助けられただけのことで……!私の方が、私の方が………っ」
クロードは苦しげに胸もとを握りしめた。
「母さんとライネスは……本当にそんな関係なのか……?」
「ああ、忌々しいことにその通りだ!」
推測していたとはいえ、実際そうだと言われるとかなり衝撃的だった。
アロンはしばらく固まっていたが、クロードが離れようとするのを察して慌ててその腕をつかんだ。
「ライネスと会わせてくれ!」
クロードはじっと見つめたあと、つかんでくるアロンの手にそっと手をそえた。
「大丈夫。必ずきみをあの者達から救い出す」
そう言ってクロードは無理やりアロンの手をはがして部屋を出て行った。
追おうとしたアロンは紐の短さに追うこともできず、「クソッ!」と叫んで足踏みをした。
「なんだよ……」
「わたあめ、美味しいか?」
「まあ、うまいな」
「それならよかった。これから食べたくなったらいつでも言ってくれ」
アロンにとってこれからなどないが、今は余計な反論はしないほうがいいと判断した。かと言ってうなずきもせずにただ顔をそらした。
アロンがそろそろトイレに行きたいと切り出そうとしたところ、突然クロードの端末が鳴り響いた。
クロードは端末を取り出して向こう側の人と何かを話し込むと、パッとアロンを連れて来た方向を戻っていった。それに焦ったのはアロンである。
「おい!どこに行くんだよ!」
タイミングがタイミングなだけに、アロンはてっきり自分の思惑がバレたのかと思っていた。だがそうではないようである。
「また別の機会に連れ出す。今は戻ろう」
「はあ!?なんでだ!」
「きみを付け狙う不届者がいるからだ」
「おい!待てよ!せめてトイレに行かせろ!」
だがアロンの言うことは聞き入ってもらえず、窓ガラスが黒張りの車に連れ戻された。
どこにどうやって帰ったのかもわからずじまいだったが、ただやけに車の速度が速い気がした。
またも部屋に閉じ込められたアロンは逃げる隙を逃したことに悔しさを感じた。
しかし先ほどみたいにあそこまで急いで戻ってきた様子を見るに何かあったのは間違いない。
アロンはベッドの上で腕を組みながら考えた。
逃げるにしてもまずはこの赤い紐と首輪をどうにかしなければいけない。首輪はまず置いておくにしても、紐は切らなければどこにもいけない。
なんならベッド周り2、3歩ほどの距離しか移動できない。
トイレに行きたいと嘘をついてもトイレには逃げる場所などなく、基本何をしてもこのベッドから離れることはない。
「どうしたらいいんだよ」
考えに考えて思い出したのが、先程クロードが通話していた時のことである。
かすかに電話の向こうから「軍用」という言葉を聞いた気がした。
軍用……軍用アンドロイド?俺を連れ戻したのは付け狙われているからと言ったけど、まさか付け狙っているっていうのはその軍用アンドロイドなのか?軍用アンドロイド……ライネスか!?
エルヴィス達はわからないが、確か自分はクラック達と軍部に行ってライネスと会う約束である。
ならば自分が来ないことと何かあったことはすでに知っているかもしれない。ライネスが知っているならエルヴィス達が知っている可能性も大きい。
ただ聞こえた軍用という言葉は軍用アンドロイドを指しているのかどうかわからず、かつ、自分を狙っているのがライネスかどうかもわからない。
どうやって確かめるかを悩んでいると、部屋を軽くノックされた。
「入れ!」
クロードが入ってくると真っ先に見えたのがベッドの上で腕を組みながらこちらをにらんでくるアロンの姿である。
「お前、俺に何か言うことないのか?」
「例えば?」
「俺を付け狙っているやつがいるらしいな。誰だ?」
「………」
「ごまかせると思うなよ!正直に言え!」
「きみの、名義上だけの軍用アンドロイドの夫だ」
クロードはやけに名義上という部分に重みを置いて言った。
「ライネスなのか!」
アロンの期待がこもり始めた目にクロードはただ冷淡な目で見返した。
「……そういう名前だったな」
「今どこにいる!」
「この屋敷にいる」
「本当か!?」
「ああ」
「会わせろ!」
「会わせると思うか?」
アロンが思わずぐっと言葉につまった。あまりにも素直に質問に答えてくれるからこのままいけば会わせてもらえるという感覚があったが、やはりそんな都合のいいことはなかった。
「どうすれば会わせてくれるんだ?」
クロードは小さく息を吐き出してアロンのそばに来た。赤い紐を手に取り、指で軽くこすりながら言う。
「きみはあの機械どもに心を奪われすぎている。あの者たちを特別だと考えすぎている」
「……何が言いたい?」
「ライネスは戦闘型アンドロイドだ。感情表現も力のコントロールも人間と接するには合わない。少しでも笑えば特別に感じ、必要以上に嬉しがる。……あの子もそうだった」
「母さんのことか?」
「………」
「母さんの伴侶がライネスなのか?」
クロードはわずかに目を伏せたが、次第にその目に怒りの色が濃くなってくる。
「あの者のせいで妹はそばから離れていった!それなのにあいつは妹を大事にしないばかりか、傷つけ、ほったらかしにし、守ることもできない!アレアはいったいアレのどこがそんなに好きなんだ!たった一度助けられただけのことで……!私の方が、私の方が………っ」
クロードは苦しげに胸もとを握りしめた。
「母さんとライネスは……本当にそんな関係なのか……?」
「ああ、忌々しいことにその通りだ!」
推測していたとはいえ、実際そうだと言われるとかなり衝撃的だった。
アロンはしばらく固まっていたが、クロードが離れようとするのを察して慌ててその腕をつかんだ。
「ライネスと会わせてくれ!」
クロードはじっと見つめたあと、つかんでくるアロンの手にそっと手をそえた。
「大丈夫。必ずきみをあの者達から救い出す」
そう言ってクロードは無理やりアロンの手をはがして部屋を出て行った。
追おうとしたアロンは紐の短さに追うこともできず、「クソッ!」と叫んで足踏みをした。
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