ゴミ拾いで3体の夫ができた人間

那原涼

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何かの異変3

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アロンが伝言を伝えた一方で、暴走したアンドロイドの対応に追われていたライネスは片手にアンドロイドの頭を握りながら舌打ちをした。

「チッ………なんなんだ、この数は」

握りしめた頭を前へ放り投げるように手放すと、倒れた地面には他にも動かなくなったアンドロイドが多く横たわっていた。

機種型は職務型から伴侶型まで幅広い。だが唯一、戦闘型のなかで軍用アンドロイドと支配階級のアンドロイドはいない。

このアンドロイドの暴走がハッキングによるものならあまりにも大作業である。ハッカー集団か大人数のテロ行為と考えてもいいだろう。もしくはーー

「ウイルス系か?」

ライネスはザッと倒れたアンドロイド達を見ていく。

出身工場を調べる必要がある。もしかすると工場で使われる部品やシステムに何か問題があるのかもしれない。

全部同じ工場出身か、もしくは同じ場所から部品の導入をしているなら可能性として疑うことができる。

ライネスが思案深く考えていたところへ部下のひとりが駆け寄ってきた。

「少佐、ダロス少佐から伝言を預かりました」

ライネスの通信機は暴走したアンドロイドを押さえ込む最中に壊されてしまっているため、こうして他のひとから言伝をもらうしかない。

「なんだ」

「アロンさんがグレイシーが何かするかもしれないので気をつけてほしいとのことです」

アロンの名前にぴくりと眉が跳ねたが、その後に続いたグレイシーの名前に思わず固まった。そしてハッと笑う。

「どこまでもしつこいヤツだな」

「それと、少佐。こちら新しい通信機になります」

ライネスは耳にセットしていた壊れた通信機と新しく持ってこられた通信機を交換すると部下は去っていき、その場に残ったライネスは回収作業をしている部下達を眺めながら通信機を手のなかで転がした。

「………グレイシー」

新旧の恨みがあるこの人物に対してライネスはただ酷い嫌悪感を持っていた。

「お前だけは楽に死なせない」

とはいえ、今のグレイシーは人格、意識をデータ保存された存在であるため、死という生き物のための言葉はもう似合わない。

ライネスは通信機を耳にセットし直すとちょうど連絡が入ってきた。

要約すると、暴走アンドロイドが集団発生で新たに向かわなければいけなかった。

この場の清掃は他の者に任せてライネスは部下を連れて新たな目的地に向かった。
















軍部にて。

約束の夜になってもライネスは戻ってこなかった。

アロンはベッドの上で足を組みながらドアをにらんでいたが、いく待っても誰もこない。

長いに袖に覆われた手で頭をなで、誰かを捕まえて状況を聞こうかどうか迷っていた。理由として誰も教えてくれないからである。

ライネスが心配でいてもたってもいられないたびに部屋を出て誰かに聞くのだが、ライネスが何をしているのかのみ教えられ、具体的な状況は現場機密などといって部外者のアロンには教えてくれない。

しかも何をしているのかについては基本、暴走アンドロイドの対処をしている、に一貫してそれ以上の詳しいことは何もない。

アロンは廊下で待とうと床に降りた。その際、着てきたワンピースをミッと踏みつけた。

現在アロンはライネスのものだというシャツを着ている。

しかしそのシャツだけでだいぶ大きく、足首まで届いていた。袖が長くて手が出せず、持ってこられたズボンなどはけるものじゃなかった。

そのためアロンはズボンのベルトを抜いて腰につけてワンピースのようにシャツを着るしかなかった。

この軍部でアロンのサイズに見合う小ささのものがなかったため、伴侶であるライネスの衣服を持ってこられたらしい。

結局女の子ぽい服になってしまったが、クロードに着せられたものじゃないというだけで着心地が格段に上がった。

アロンは踏みつけたワンピースを一瞥してペッと遠くに蹴ってから廊下に出た。

だが、出てすぐ向かってきたアンドロイドに部屋に入るよう言われた。

「外でライネスを待ちたいんだけど、ダメか?」

「ダメだ」

「でも心配なんだ!」

「外と部屋のなかで待つのにそれほど大差はない。部屋のなかで待つと安全だ」

「いや、でも!」

まだ何か言いたいアロンに、相手は何を思ったのか、ポケットから個包装のあめ玉を取り出して渡した。

アロンは渡されたあめとアンドロイドを交互に見つめながら不可解な顔をした。

「なんだ?」

「それを渡すから、部屋のなかで待ってくれ」

そう言ってアロンの肩を人差し指でずいずい後ろに押し、ドアを強引に閉めようとする。

「あ、おい!待て!」

だが相手は聞く耳を持たず、ドアは無情に閉まった。




その晩、ライネスは帰ってこなかった。



アロンは翌日、その翌日もずっと待ち続けた。1週間過ぎてもライネスは帰ってこなかった。

アロンは部屋を出るたびに見つかると部屋のなかに戻され、ついに耐えきれずにたまたま見つけたダロスを捕まえて脅した。

「ライネスの状況教えないと目の前で飛び降りるぞ!!」

そう言って窓のない廊下を指差す。

ダロスはしばらく沈黙したあと、ただ静かに言った。

「わかった。時間を見つけてライネスを連れてくる」

「え?ライネス戻ってきたのか?」

「ああ」

「じゃあ、なんで俺に会いにこないんだ?」

「少し事情が複雑だ。とりあえず部屋のなかで待ってほしい」

「わかった……ライネスは、無事なんだよな?」

「………失礼する」

回答を断られたことでアロンは思わず固まった。

ライネスに何かあったのか?

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