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第一章
パーティー2
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しおり、お気に入り、エール、感想、本当にありがとうございます!完結を目指して頑張らせていただきます!
◇—————————————————————
カナトの自室に来ていたアレストはどこか放心状態でベッドに座っていた。
その向かいに椅子を置いてカナトが座っている。
「どうかしたのか?」
「僕に、兄弟がいるらしい」
「……っ!?」
長い沈黙が降りた。
カナトは恐るおそると口を開く。
「ど、どこから聞いたんだ?」
「さっき、父様と話した時に教えられた」
あのジジィ!!
「その話を聞いて、どう思ったんだ?」
カナトはごくりと固唾をのんで言葉を待った。
「わからない……今までずっと僕ひとりだから、いきなり兄弟がいると知らされてびっくりした、かな?」
「誰でもそうなるだろ!」
「僕より2つ年下らしい。……きみと同じ歳だ。でもあっちはもう成人しているらしい」
「そ、そうか」
ということは受けはもう17か。やっぱり今日のパーティーで間違いないんじゃないか!?
何を言えばいいのかわからずカナトは指先をぐるぐるからませた。
「成人の日に何か欲しいものはあるか?」
「俺?」
「ああ、なんでもいい」
「と、特に欲しいものはな……あ、んじゃあ、でっかいケーキでも欲しいかな!三段のやつ!」
「ははは!そうかそうか!わかった。……よし、もう大丈夫だ。下に戻ろう」
「もういいのか!?」
「ああ、カナトと話すとなんだかずいぶんと気が楽になった。もともとびっくりしただけだしな」
「そ、そうなのか……」
2人がふたたび一階に戻るとすでに招待客の大半が集まっていた。
カナトはキョロキョロと主人公らしい姿を探したがそれらしい姿は見当たらない。むしろ参加している大半の人はアグラウの知人で、若い人は数えられるほどである。もしこの中に主人公たちがいればすぐにわかるはずだ。
ここには若いお嬢さん方もいるが、カナトはチラチラと見られている気がした。しかし目を合わせるとパッとそらされる。
まさかまたあのサブタイトルが運命のなんとかっていう本の影響じゃねぇだろうな。
ジト目になりならが見てないふりをし、アレストと一歩距離を取る。
アレストはアレストでそんな視線に気づいてもものともせず、カナトに向かって、
「もうパーティー始まっているから、今からあいさつするんだ。あっちにマカロンあるから食べてきていいよ。マカロンの周りにきみの好きなおやつもたくさん配置させるようにしたんだ」
最後のほうはこそっと言う。
「でも……」
カナトは一つだけマカロンが異様に大量に置かれたテーブルとアレストを見比べた。
アレストが不思議そうにする。
「どうしたんだ?食べたがっていたんじゃなかったのか?」
「あ、いや……食べたいけど」
お前が心配なんだよ!
何か気付いたのかアレストはカナトの肩をポンポンたたきながら笑った。
「そ、そうか!ははははは!」
「何笑ってんだよ!」
「いや、きみって本当に心配性だなと思って。さっきの話は確かにびっくりしたが、さすがにそこまで心配させたとは思わなかった。安心しろ。なんともない」
「本当か?本当に行くぞ?」
「行ってこい」
渋々ながらカナトは離れたが、その後のステップは軽く、マカロン大量なテーブルに来ると後先構わず一個一口で食べた。
周りから注がれる、さらに熱くなった視線に気づきもせず、食べるのに夢中になる。
何事もなくパーティーは進められていく。
最初はそうだった。
しかし、使用人のひとりがアグラウに何かを耳打ちすると、アグラウはハッとし、使用人にうなずいた。
持ち場に帰った使用人は扉付近の使用人に耳打ちをした。すると、耳打ちされた使用人は姿勢をただし、それぞれ扉のそばに立つ。
誰かが扉の向こうから現れた。
カツンと足音を響かせたのは背が高く、紺色の上着を羽織った黒髪の男である。白い手袋をつけた手はもうひとり細っそりとした優しい面立ちの男の手を引いている。
2人がドアそばに立つと使用人は声を張り上げた。
「フェルサジア辺境伯およびご同伴の方がお見えになりました!」
全員の視線が振り返り、扉に集まる。
フェルサジアと聞いて、顔を埋もれさせてお菓子を食べていたカナトがバッと頭を上げた。
フェルサジアだと!?主人公攻めの苗字じゃねぇか!
視線の先には視界への侵入感が強い高い背の男と、薄水色の服を身にまとった優しげな男がいた。
まさしくこの世界の主人公攻めイグナス・フェルサジアと主人公受けユシル・リィン・ヴォルテローノである。
カナトはあまりの驚愕に固まり、つかんでいたマカロンがポロッと落ちてしまった。
本、物だ………。
友達と談笑していたアレストは振り返ってじっと2人を見つめた。フェルサジアという姓を知っていた。
この国の北と東の境に領地があり、広い情報網とすでに王国と匹敵する軍事力を蓄えているという噂を持っている男である。
同時に謎に包まれた男でもあり、基本社交の場には現れない。その男がなぜ今ここにいるのかアレストにはわからなかった。
同姓か?いや、それはあり得ない。それに、隣の男はいったい……。
アレストの中でいやな感じがふつふつと湧き上がる。
アグラウが2人に、おもに目は薄水色の服を着た男を見つめて近づく。その顔に浮かべている笑みを見たアレストはいやな感じがますます現実なものとして襲ってきたように感じた。
「ユシル……お前がユシルか」
「……はい」
ユシルと呼ばれた優しげな男は胸に手を当てて礼をした。
「よく生きていてくれた。辺境伯どの、ユシルの世話をしてくれたことに感謝する」
イグナスは口もとを吊り上げて笑った。親しみも不快も与えない笑みである。
「お初にお目にかかります。伯爵。今日はお招きいただきありがとうございます。ユシルのことに関してはお礼いりません。私がしたくてやったことです。それより、こうしてユシルを家族に合わせることができてよかったです」
全員静かに聞いていたため、その会話はよく聞こえる。家族という言葉に少しざわめきが起きた。
アレストは体の芯が凍えるのを感じ、きつく拳を握りしめた。
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カナトの自室に来ていたアレストはどこか放心状態でベッドに座っていた。
その向かいに椅子を置いてカナトが座っている。
「どうかしたのか?」
「僕に、兄弟がいるらしい」
「……っ!?」
長い沈黙が降りた。
カナトは恐るおそると口を開く。
「ど、どこから聞いたんだ?」
「さっき、父様と話した時に教えられた」
あのジジィ!!
「その話を聞いて、どう思ったんだ?」
カナトはごくりと固唾をのんで言葉を待った。
「わからない……今までずっと僕ひとりだから、いきなり兄弟がいると知らされてびっくりした、かな?」
「誰でもそうなるだろ!」
「僕より2つ年下らしい。……きみと同じ歳だ。でもあっちはもう成人しているらしい」
「そ、そうか」
ということは受けはもう17か。やっぱり今日のパーティーで間違いないんじゃないか!?
何を言えばいいのかわからずカナトは指先をぐるぐるからませた。
「成人の日に何か欲しいものはあるか?」
「俺?」
「ああ、なんでもいい」
「と、特に欲しいものはな……あ、んじゃあ、でっかいケーキでも欲しいかな!三段のやつ!」
「ははは!そうかそうか!わかった。……よし、もう大丈夫だ。下に戻ろう」
「もういいのか!?」
「ああ、カナトと話すとなんだかずいぶんと気が楽になった。もともとびっくりしただけだしな」
「そ、そうなのか……」
2人がふたたび一階に戻るとすでに招待客の大半が集まっていた。
カナトはキョロキョロと主人公らしい姿を探したがそれらしい姿は見当たらない。むしろ参加している大半の人はアグラウの知人で、若い人は数えられるほどである。もしこの中に主人公たちがいればすぐにわかるはずだ。
ここには若いお嬢さん方もいるが、カナトはチラチラと見られている気がした。しかし目を合わせるとパッとそらされる。
まさかまたあのサブタイトルが運命のなんとかっていう本の影響じゃねぇだろうな。
ジト目になりならが見てないふりをし、アレストと一歩距離を取る。
アレストはアレストでそんな視線に気づいてもものともせず、カナトに向かって、
「もうパーティー始まっているから、今からあいさつするんだ。あっちにマカロンあるから食べてきていいよ。マカロンの周りにきみの好きなおやつもたくさん配置させるようにしたんだ」
最後のほうはこそっと言う。
「でも……」
カナトは一つだけマカロンが異様に大量に置かれたテーブルとアレストを見比べた。
アレストが不思議そうにする。
「どうしたんだ?食べたがっていたんじゃなかったのか?」
「あ、いや……食べたいけど」
お前が心配なんだよ!
何か気付いたのかアレストはカナトの肩をポンポンたたきながら笑った。
「そ、そうか!ははははは!」
「何笑ってんだよ!」
「いや、きみって本当に心配性だなと思って。さっきの話は確かにびっくりしたが、さすがにそこまで心配させたとは思わなかった。安心しろ。なんともない」
「本当か?本当に行くぞ?」
「行ってこい」
渋々ながらカナトは離れたが、その後のステップは軽く、マカロン大量なテーブルに来ると後先構わず一個一口で食べた。
周りから注がれる、さらに熱くなった視線に気づきもせず、食べるのに夢中になる。
何事もなくパーティーは進められていく。
最初はそうだった。
しかし、使用人のひとりがアグラウに何かを耳打ちすると、アグラウはハッとし、使用人にうなずいた。
持ち場に帰った使用人は扉付近の使用人に耳打ちをした。すると、耳打ちされた使用人は姿勢をただし、それぞれ扉のそばに立つ。
誰かが扉の向こうから現れた。
カツンと足音を響かせたのは背が高く、紺色の上着を羽織った黒髪の男である。白い手袋をつけた手はもうひとり細っそりとした優しい面立ちの男の手を引いている。
2人がドアそばに立つと使用人は声を張り上げた。
「フェルサジア辺境伯およびご同伴の方がお見えになりました!」
全員の視線が振り返り、扉に集まる。
フェルサジアと聞いて、顔を埋もれさせてお菓子を食べていたカナトがバッと頭を上げた。
フェルサジアだと!?主人公攻めの苗字じゃねぇか!
視線の先には視界への侵入感が強い高い背の男と、薄水色の服を身にまとった優しげな男がいた。
まさしくこの世界の主人公攻めイグナス・フェルサジアと主人公受けユシル・リィン・ヴォルテローノである。
カナトはあまりの驚愕に固まり、つかんでいたマカロンがポロッと落ちてしまった。
本、物だ………。
友達と談笑していたアレストは振り返ってじっと2人を見つめた。フェルサジアという姓を知っていた。
この国の北と東の境に領地があり、広い情報網とすでに王国と匹敵する軍事力を蓄えているという噂を持っている男である。
同時に謎に包まれた男でもあり、基本社交の場には現れない。その男がなぜ今ここにいるのかアレストにはわからなかった。
同姓か?いや、それはあり得ない。それに、隣の男はいったい……。
アレストの中でいやな感じがふつふつと湧き上がる。
アグラウが2人に、おもに目は薄水色の服を着た男を見つめて近づく。その顔に浮かべている笑みを見たアレストはいやな感じがますます現実なものとして襲ってきたように感じた。
「ユシル……お前がユシルか」
「……はい」
ユシルと呼ばれた優しげな男は胸に手を当てて礼をした。
「よく生きていてくれた。辺境伯どの、ユシルの世話をしてくれたことに感謝する」
イグナスは口もとを吊り上げて笑った。親しみも不快も与えない笑みである。
「お初にお目にかかります。伯爵。今日はお招きいただきありがとうございます。ユシルのことに関してはお礼いりません。私がしたくてやったことです。それより、こうしてユシルを家族に合わせることができてよかったです」
全員静かに聞いていたため、その会話はよく聞こえる。家族という言葉に少しざわめきが起きた。
アレストは体の芯が凍えるのを感じ、きつく拳を握りしめた。
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