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第四章
檻
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ユシルはなかなかショックから立ち直れないカナトをとにかくほめた。
「大丈夫だよ!カッコいいよ!長い尾とか、背中の黒と茶色の模様とか!」
「……本当か?」
ぎゅっと眉間を寄せて泣きそうな顔で見られ、ユシルは思わず可愛いと口に出かかった。
「か……カナトはいつでもカッコいいよ」
「そうだよな!よしっ、これから何する?」
「そうだね。せっかくだから、このまま邸宅へ戻ろう。カナトは意識体の姿を偽物に見られてないから、警戒されないと思う。なんとかイグナスの意識を取り戻して対策を練りたいけど……」
問題は兄さんだと、ユシルは思った。アレストはきっと自分の言葉に耳を貸さない。それどころかイグナスにも敵意を持っているはずだ。唯一言葉を聞いてもらえるなら相手はおそらく……ユシルは不思議そうにこちらを見るカナトに視線を移した。
「カナトは兄さんのことどう思っているの?」
「大好きだぜ!」
「……そっか。カナトは兄さんと仲良いもんね」
そう言われてカナトはどこかうれしそうに胸を張って笑った。
ユシルは少しうらやましく思いながら、邸宅へ戻ってからすることを話した。カナトでも覚えれるように、なるべくわかりやすくまとめることを意識する。
しかし、最初こそ真剣に聞いていたカナトはしばらくすると困り顔になった。
「カナト…その、大丈夫?」
「あー……うん!大丈夫!任せろ!」
ユシルはなぜか漠然とした不安を感じた。
その時、ガサッと音がしてユシルはカナトを引っ張って岩陰に隠れた。
すると、目以外を布で包んだ男が洞窟の入り口に入ってきた。その人を見た瞬間カナトは、あっと声を出しそうになる。
入ってきた男はムカデである。
目だけ見える状態だが、その目の冷たさはムソクのそれと違って見えた。
やっぱりムソクとムカデは違う人物なのか?
ムカデの目が横たわって眠るカナトの本体に向けられた。そして黙って近づき、呼吸、脈、骨折や傷などの有無を確認をすると周りを見て、落ちたクロスタイと留め具を取って本体を抱き上げて連れ去った。
「俺、連れて行かれたんだけど……」
「たぶん大丈夫。あの人、敵意は感じられなかった」
「そ、そうか?」
それにしてもなぜムカデがここにいるのかがカナトは気になった。まさかアレストの命令で探しに来てくれたのかと思い、カナトの心がジーンと感動する。
「あの人について行こう」
「ついて行くのか!?」
「うん。あの人から兄さんのにおいがする。たぶん兄さんの友達かもしれない。だからついていけばそのまま兄さんと会えるかもしれないよ」
すげぇ嗅覚だな。
ただその言うことは一理ある。何よりムカデはアレストの暗殺者である。男の特徴とユシルが言うにおいだけで、目出し男はムカデだと断言できる。カナトはとりあえずうなずいて一緒についていった。
道中、でこぼこな道と枝、石などの障害物を避けたり飛び越えたりしていると、飛行に特化しているカナトはすでに息も絶え絶えになった。
ダメだ!!この足遅すぎる!
翼をばたつかせてもバランス取れるだけで疲れは取れない。飛びたいと思うも飛び方はわからない。
まだハムスターのほうがよかった……。
ヘロヘロになりながらなんとかユシルに追いつくと、なぜかユシルは見上げながら固まっている。その視線をたどったいくと、感情のこもってない冷たい目と合った。
ムカデはずっとついてくる2匹の小さい生き物に目を細めた。
気配は感じたが、まさか鳥とネズミだとは思わなかった。偶然なのか、それとも訓練された動物なのかはわからない。
訓練された場合、何か特定のものを認知して、それを飼い主に何かしらの形で報告することはある。例えばハトを利用して手紙を飛ばしたりするのが例である。なので小動物だからと言って油断はできない。
そこへさらに誰かが近づいてくる。
「何かあったのか」
ムカデが声の主に振り向いた。
「鳥とネズミがずっとついてくる」
「は?」
もう1人の人物がムカデを回ってカナトたちの前に姿を現した。
その人物を見てカナトはさらに驚く。
シドだ!!傷だらけで連れ帰ってから一度も顔を合わしてないあのシドだ!!なんでこいつムカデと一緒にいるんだよ!
シドはどこか人に陰湿なイメージを与える目している。カナトが見間違えるはずがなかった。その目がカナトとユシルを見て、それぞれ片手ずつでつかみ上げた。
「お前、ハムスターとこんな知能の低そうな顔をした鳥を訓練できると思ったのか?」
誰が知能の低そうな顔をしているって言ってんだゴラァ!!
叫び出しそうなカナトに気づいたユシルが慌てて覆い被さった。
「見ろ。無邪気にじゃれているだろ」
「………油断はするな」
「大丈夫。あの人が好きそうだ……」
「あの人?」
ムカデの疑問にシドがうっと頭を押さえた。
「……なんでもない。ただの独り言だ。行こう」
2人の気がそれているあいだにユシルはカナトに向かって口もとで指を立てた。カナトもさっきしゃべれることを悟られそうになったことで反省している。こくこくうなずいておとなしく運ばれることにした。
途中、ムカデはカナトの体を連れてどこかに行ってしまい、カナトが慌ててついて行こうとした。しかしシドは逃げようとしたと勘違いし、カナトとユシルを檻に入れてしまった。
え?と2匹が顔を見合わせる。予想外の事態だ。
シドがこの場からいなくなるとカナトは慌てた様子でユシルに詰め寄った。
「ど、どどどどうしよう!!閉じ込められた!」
ユシルはガシガシと錠をかじっていたが、鉄製に歯も立たない。
「……ダメだ。あの目出しの人、鋭いね」
「あー……そうだな!」
まあ暗殺者だしな!
「なんだかクモと似ている気がする」
「そ、そうかな……?」
「気がするだけだよ。でも、ここって……」
カナトも周りを見た。連れてこられたのは暗い一室である。周りは石造りの壁に木製のドアと窓の木格子がある。
「なんだか、一般的な人の家には見えないね。むしろ隠れ家に見える」
「なるほどな!ぐぬぬっ!抜けねぇ!」
カナトは必死に檻の鉄格子のあいだから体を外にねじ込もうとしたができなかった。
そして運悪くシドが帰ってきた。
頭だけ外に出しているカナトの頭をデコピンで弾き返し、手に持った何かを檻の中にパサパサとまいた。すべてパンクズらしきものである。
「飯だ」
それだけ言ってまた部屋から消える。
パンクズだらけになった2匹はぶるぶると体を震わせて落とした。そらでもまた体のあちこちについている。
「あいつ、ぜってー小動物飼ったことないだろ」
「もしかしたら、あの人は本当に私たちを飼っているつもりかもしれない」
「え?」
「もしかしたらの話だけど、このままこの檻の中で生活するかもしれない」
「ほえ?」
「最悪な場合、二度とイグナスや兄さんのもとに帰れなくなる」
「なん、だと……!?」
カナトが翼を広げてあわあわとし出した。
「やばいだろ!それめちゃくちゃやばいだろ!!どうするんだよ!!」
「檻の鍵はさっきの人が持っているみたいだから、なんとか隙を見て盗むしかない!」
シドって一応暗殺者だし、できるのか?そんなことが。
カナトはへたっと座り込んでしまった。
「大丈夫だよ!カッコいいよ!長い尾とか、背中の黒と茶色の模様とか!」
「……本当か?」
ぎゅっと眉間を寄せて泣きそうな顔で見られ、ユシルは思わず可愛いと口に出かかった。
「か……カナトはいつでもカッコいいよ」
「そうだよな!よしっ、これから何する?」
「そうだね。せっかくだから、このまま邸宅へ戻ろう。カナトは意識体の姿を偽物に見られてないから、警戒されないと思う。なんとかイグナスの意識を取り戻して対策を練りたいけど……」
問題は兄さんだと、ユシルは思った。アレストはきっと自分の言葉に耳を貸さない。それどころかイグナスにも敵意を持っているはずだ。唯一言葉を聞いてもらえるなら相手はおそらく……ユシルは不思議そうにこちらを見るカナトに視線を移した。
「カナトは兄さんのことどう思っているの?」
「大好きだぜ!」
「……そっか。カナトは兄さんと仲良いもんね」
そう言われてカナトはどこかうれしそうに胸を張って笑った。
ユシルは少しうらやましく思いながら、邸宅へ戻ってからすることを話した。カナトでも覚えれるように、なるべくわかりやすくまとめることを意識する。
しかし、最初こそ真剣に聞いていたカナトはしばらくすると困り顔になった。
「カナト…その、大丈夫?」
「あー……うん!大丈夫!任せろ!」
ユシルはなぜか漠然とした不安を感じた。
その時、ガサッと音がしてユシルはカナトを引っ張って岩陰に隠れた。
すると、目以外を布で包んだ男が洞窟の入り口に入ってきた。その人を見た瞬間カナトは、あっと声を出しそうになる。
入ってきた男はムカデである。
目だけ見える状態だが、その目の冷たさはムソクのそれと違って見えた。
やっぱりムソクとムカデは違う人物なのか?
ムカデの目が横たわって眠るカナトの本体に向けられた。そして黙って近づき、呼吸、脈、骨折や傷などの有無を確認をすると周りを見て、落ちたクロスタイと留め具を取って本体を抱き上げて連れ去った。
「俺、連れて行かれたんだけど……」
「たぶん大丈夫。あの人、敵意は感じられなかった」
「そ、そうか?」
それにしてもなぜムカデがここにいるのかがカナトは気になった。まさかアレストの命令で探しに来てくれたのかと思い、カナトの心がジーンと感動する。
「あの人について行こう」
「ついて行くのか!?」
「うん。あの人から兄さんのにおいがする。たぶん兄さんの友達かもしれない。だからついていけばそのまま兄さんと会えるかもしれないよ」
すげぇ嗅覚だな。
ただその言うことは一理ある。何よりムカデはアレストの暗殺者である。男の特徴とユシルが言うにおいだけで、目出し男はムカデだと断言できる。カナトはとりあえずうなずいて一緒についていった。
道中、でこぼこな道と枝、石などの障害物を避けたり飛び越えたりしていると、飛行に特化しているカナトはすでに息も絶え絶えになった。
ダメだ!!この足遅すぎる!
翼をばたつかせてもバランス取れるだけで疲れは取れない。飛びたいと思うも飛び方はわからない。
まだハムスターのほうがよかった……。
ヘロヘロになりながらなんとかユシルに追いつくと、なぜかユシルは見上げながら固まっている。その視線をたどったいくと、感情のこもってない冷たい目と合った。
ムカデはずっとついてくる2匹の小さい生き物に目を細めた。
気配は感じたが、まさか鳥とネズミだとは思わなかった。偶然なのか、それとも訓練された動物なのかはわからない。
訓練された場合、何か特定のものを認知して、それを飼い主に何かしらの形で報告することはある。例えばハトを利用して手紙を飛ばしたりするのが例である。なので小動物だからと言って油断はできない。
そこへさらに誰かが近づいてくる。
「何かあったのか」
ムカデが声の主に振り向いた。
「鳥とネズミがずっとついてくる」
「は?」
もう1人の人物がムカデを回ってカナトたちの前に姿を現した。
その人物を見てカナトはさらに驚く。
シドだ!!傷だらけで連れ帰ってから一度も顔を合わしてないあのシドだ!!なんでこいつムカデと一緒にいるんだよ!
シドはどこか人に陰湿なイメージを与える目している。カナトが見間違えるはずがなかった。その目がカナトとユシルを見て、それぞれ片手ずつでつかみ上げた。
「お前、ハムスターとこんな知能の低そうな顔をした鳥を訓練できると思ったのか?」
誰が知能の低そうな顔をしているって言ってんだゴラァ!!
叫び出しそうなカナトに気づいたユシルが慌てて覆い被さった。
「見ろ。無邪気にじゃれているだろ」
「………油断はするな」
「大丈夫。あの人が好きそうだ……」
「あの人?」
ムカデの疑問にシドがうっと頭を押さえた。
「……なんでもない。ただの独り言だ。行こう」
2人の気がそれているあいだにユシルはカナトに向かって口もとで指を立てた。カナトもさっきしゃべれることを悟られそうになったことで反省している。こくこくうなずいておとなしく運ばれることにした。
途中、ムカデはカナトの体を連れてどこかに行ってしまい、カナトが慌ててついて行こうとした。しかしシドは逃げようとしたと勘違いし、カナトとユシルを檻に入れてしまった。
え?と2匹が顔を見合わせる。予想外の事態だ。
シドがこの場からいなくなるとカナトは慌てた様子でユシルに詰め寄った。
「ど、どどどどうしよう!!閉じ込められた!」
ユシルはガシガシと錠をかじっていたが、鉄製に歯も立たない。
「……ダメだ。あの目出しの人、鋭いね」
「あー……そうだな!」
まあ暗殺者だしな!
「なんだかクモと似ている気がする」
「そ、そうかな……?」
「気がするだけだよ。でも、ここって……」
カナトも周りを見た。連れてこられたのは暗い一室である。周りは石造りの壁に木製のドアと窓の木格子がある。
「なんだか、一般的な人の家には見えないね。むしろ隠れ家に見える」
「なるほどな!ぐぬぬっ!抜けねぇ!」
カナトは必死に檻の鉄格子のあいだから体を外にねじ込もうとしたができなかった。
そして運悪くシドが帰ってきた。
頭だけ外に出しているカナトの頭をデコピンで弾き返し、手に持った何かを檻の中にパサパサとまいた。すべてパンクズらしきものである。
「飯だ」
それだけ言ってまた部屋から消える。
パンクズだらけになった2匹はぶるぶると体を震わせて落とした。そらでもまた体のあちこちについている。
「あいつ、ぜってー小動物飼ったことないだろ」
「もしかしたら、あの人は本当に私たちを飼っているつもりかもしれない」
「え?」
「もしかしたらの話だけど、このままこの檻の中で生活するかもしれない」
「ほえ?」
「最悪な場合、二度とイグナスや兄さんのもとに帰れなくなる」
「なん、だと……!?」
カナトが翼を広げてあわあわとし出した。
「やばいだろ!それめちゃくちゃやばいだろ!!どうするんだよ!!」
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