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第四章
罪の代わり3
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カナトがアレストとドア側のリアムを交互に見て戸惑っていると突如人影が割り込んで、リアムのえり首をつかんで後ろに引っ張った。ブラッドである。
「ガキが!足だけ早いな!」
「離せ!」
「アレストさんよぉ、こんな気の荒いやつをそばに置きたがるのか?」
「とりあえず母親と別れて閉じ込めておいてくれ」
「はいよ」
ブラッドはリアムを脇に持ち変えると部屋を離れていった。
「アレスト様!アレスト様!!」
リアムの懇願にも似た呼びかけが廊下に響いてだんだんと聞こえなくなった。
カナトは少し震える手で反対側の腕をつかみ、ゆっくりと息を吸った。今この場で少し息苦しさを感じてしまったからだ。
「アレスト……」
「ん?」
「リアムと…クローリーさんってどうなるんだ?」
「そうだなぁ。こんな大事なことを黙ってしまったから、この場合はよくて奴隷行き、悪くて牢屋行きかな」
奴隷……牢屋?
「牢屋のほうが酷いのか?」
「まあ、父様の居場所を吐かない限り拷問に遭うだろう」
「拷問!?」
「そう。罪人へ拷問を行うのは当たり前だよ」
カナトはふるふると頭を振った。アレストの腕につかみかかって叫んだ。
「わかるわけないだろ!クローリーさんにアグラウの居場所がわかるわけないだろ!」
アレストは、しっ、と人差し指を口の前に持っていった。
「あまり大声で言わないほうがいい。危ないから」
「なあ、お願いだからあの2人許してやってくれよ!だって俺がーーうっ」
アレストはカナトの口をふさぐと優しい笑みで、まるでなだめるように柔らかい口調で言った。
「よく聞いて、例え今回のことがなくても、いずれはクローリーさんを殺すつもりだよ」
「………は?なんでだよ」
それ以上何も言わずに、アレストはカナトを抱き上げた。
「部屋に帰ろうか」
部屋を出ると、いつの間に来たのか外で控えていたシドが音もなく2人の後をついていった。
アレストの部屋についてからもカナトは懇願し続け、しかしそのたびにやんわりと断られる。
「あの親子は使い道がある。だからこのまま手放すはずがない。カナトならわかってくれると思ったけど」
「わかるわけないだろ!!お前今自分が何をやっているのかわかっているのか!」
「カナトも同じだろ?」
「俺も?」
「父様の世話をしているのはあの2人だ。父様に何かあれば責任を問われるのもあの2人に決まっている。本当に思いつかなかったのか?」
「本当だよ……こんなことになるなら」
なるならもっと他の方法を考えた。しかしそれを今言っても意味がない。だからと言ってアグラウの居場所は言えない。
何かいい方法はないかとカナトが頭を巡らせると突然体をベッドに押し倒された。
「アレスト!」
「カナト、まだ僕のことを愛しているか?」
「うん、愛している」
「同じだ。愛しているよ。誰よりも」
浅いキスを何回かされ、次第にそれが深いものへと変わっていった。
「うぅ……待って、まだ話が、うっ!」
カナトが肩を押し返してもキスは止まらず、耐えきれずにバシバシとたたくとやっと離してくれた。
「ごまかすな!確かにこの状況は俺の自業自得だけど、だからこそあの2人が被害者だってわかるはずだ!それに、アグラウをこのままお前のもとに置いたら……殺すつもりだろ?」
アレストはふっと笑ってベッド際に座り直した。カナトも起き上がってじっと返答を待った。
「その通りだ。殺すつもりだよ。よくわかったな」
「………」
「記憶を無くした期間にもこのことを知っている場面があったな。どこから知ったのか教えてくれないか?」
カナトが黙ったまま顔を背けていた。しかし、無言に負けてボソボソと言う。
「知りたいなら、クローリー親子を自由にしろ」
「それはダメだ」
間一髪に言われてカナトが怒りの表情を向ける。
「なんでだよ!やったのは俺なのに!」
「うん、そうだな。だからカナトが父様の居場所を教えてくれたらあの2人は助かるかもしれない」
「そ、それは……」
「ゆっくりと考えればいい。さっきも言ったように、どっちにしろクローリーさんには死んでもらう予定だから」
カナトが何か言う前にアレストは立ち上がった。
「それじゃあ、まだやることがあるから、先に休んでいて」
「待って!」
「夕方には帰ってくる」
それだけ言うとアレストは部屋を出ていってしまった。
話してもむだだと判断したカナトは、一瞬本気でアグラウの居場所を言おうかと思った。だがすぐにそれはダメだと頭を振る。
イグナスのところにいると知ればきっと怒る。そもそもあの2人雰囲気が嫌悪的だし。これ以上何かあるとアレストがバッドエンドを迎えてしまう。いや、バッドエンドどころかデッドエンドだ!
部屋の中でぐるぐる回っていたカナトはやがて決心したように顔を上げた。
言うしかない!
決心してからもあれこれ考えて決心が揺らぎそうになったが、おやつの時間にシドが入ってきた。
機会とばかりにカナトは持ってきたもらったおやつのクッキーを差し出した。
「はい、どーぞ!」
「……何が」
「だから、俺のおやつあげるから代わりにアレストを呼んで来てくれないか?」
「お前が行けばいいだろ」
「ダメだ!心の準備が整ってない!」
「心の準備?………アレストに求婚するつもりなのか?」
「なわけないだろ!あ、いやでもそれもいいな」
「冗談だ。アレストに伝えてくる」
そう言ってシドはお皿からクッキーを一枚だけ取って部屋を出ていった。
そのあいだにカナトは言いたいことをなんとかまとめようと紙とペンを探した。
カナトは自分がこの世界の人間ではないことを話そうと考え、可能ならばクローリー親子を助けるための交渉材料にしようとした。問題はアレストが信じ、そして応じてくれるかどうかである。
だがカナトには自信がある。なんとなくアレストなら自分のお願いを聞き入ってくれる気がした。今までと同じように。
「ガキが!足だけ早いな!」
「離せ!」
「アレストさんよぉ、こんな気の荒いやつをそばに置きたがるのか?」
「とりあえず母親と別れて閉じ込めておいてくれ」
「はいよ」
ブラッドはリアムを脇に持ち変えると部屋を離れていった。
「アレスト様!アレスト様!!」
リアムの懇願にも似た呼びかけが廊下に響いてだんだんと聞こえなくなった。
カナトは少し震える手で反対側の腕をつかみ、ゆっくりと息を吸った。今この場で少し息苦しさを感じてしまったからだ。
「アレスト……」
「ん?」
「リアムと…クローリーさんってどうなるんだ?」
「そうだなぁ。こんな大事なことを黙ってしまったから、この場合はよくて奴隷行き、悪くて牢屋行きかな」
奴隷……牢屋?
「牢屋のほうが酷いのか?」
「まあ、父様の居場所を吐かない限り拷問に遭うだろう」
「拷問!?」
「そう。罪人へ拷問を行うのは当たり前だよ」
カナトはふるふると頭を振った。アレストの腕につかみかかって叫んだ。
「わかるわけないだろ!クローリーさんにアグラウの居場所がわかるわけないだろ!」
アレストは、しっ、と人差し指を口の前に持っていった。
「あまり大声で言わないほうがいい。危ないから」
「なあ、お願いだからあの2人許してやってくれよ!だって俺がーーうっ」
アレストはカナトの口をふさぐと優しい笑みで、まるでなだめるように柔らかい口調で言った。
「よく聞いて、例え今回のことがなくても、いずれはクローリーさんを殺すつもりだよ」
「………は?なんでだよ」
それ以上何も言わずに、アレストはカナトを抱き上げた。
「部屋に帰ろうか」
部屋を出ると、いつの間に来たのか外で控えていたシドが音もなく2人の後をついていった。
アレストの部屋についてからもカナトは懇願し続け、しかしそのたびにやんわりと断られる。
「あの親子は使い道がある。だからこのまま手放すはずがない。カナトならわかってくれると思ったけど」
「わかるわけないだろ!!お前今自分が何をやっているのかわかっているのか!」
「カナトも同じだろ?」
「俺も?」
「父様の世話をしているのはあの2人だ。父様に何かあれば責任を問われるのもあの2人に決まっている。本当に思いつかなかったのか?」
「本当だよ……こんなことになるなら」
なるならもっと他の方法を考えた。しかしそれを今言っても意味がない。だからと言ってアグラウの居場所は言えない。
何かいい方法はないかとカナトが頭を巡らせると突然体をベッドに押し倒された。
「アレスト!」
「カナト、まだ僕のことを愛しているか?」
「うん、愛している」
「同じだ。愛しているよ。誰よりも」
浅いキスを何回かされ、次第にそれが深いものへと変わっていった。
「うぅ……待って、まだ話が、うっ!」
カナトが肩を押し返してもキスは止まらず、耐えきれずにバシバシとたたくとやっと離してくれた。
「ごまかすな!確かにこの状況は俺の自業自得だけど、だからこそあの2人が被害者だってわかるはずだ!それに、アグラウをこのままお前のもとに置いたら……殺すつもりだろ?」
アレストはふっと笑ってベッド際に座り直した。カナトも起き上がってじっと返答を待った。
「その通りだ。殺すつもりだよ。よくわかったな」
「………」
「記憶を無くした期間にもこのことを知っている場面があったな。どこから知ったのか教えてくれないか?」
カナトが黙ったまま顔を背けていた。しかし、無言に負けてボソボソと言う。
「知りたいなら、クローリー親子を自由にしろ」
「それはダメだ」
間一髪に言われてカナトが怒りの表情を向ける。
「なんでだよ!やったのは俺なのに!」
「うん、そうだな。だからカナトが父様の居場所を教えてくれたらあの2人は助かるかもしれない」
「そ、それは……」
「ゆっくりと考えればいい。さっきも言ったように、どっちにしろクローリーさんには死んでもらう予定だから」
カナトが何か言う前にアレストは立ち上がった。
「それじゃあ、まだやることがあるから、先に休んでいて」
「待って!」
「夕方には帰ってくる」
それだけ言うとアレストは部屋を出ていってしまった。
話してもむだだと判断したカナトは、一瞬本気でアグラウの居場所を言おうかと思った。だがすぐにそれはダメだと頭を振る。
イグナスのところにいると知ればきっと怒る。そもそもあの2人雰囲気が嫌悪的だし。これ以上何かあるとアレストがバッドエンドを迎えてしまう。いや、バッドエンドどころかデッドエンドだ!
部屋の中でぐるぐる回っていたカナトはやがて決心したように顔を上げた。
言うしかない!
決心してからもあれこれ考えて決心が揺らぎそうになったが、おやつの時間にシドが入ってきた。
機会とばかりにカナトは持ってきたもらったおやつのクッキーを差し出した。
「はい、どーぞ!」
「……何が」
「だから、俺のおやつあげるから代わりにアレストを呼んで来てくれないか?」
「お前が行けばいいだろ」
「ダメだ!心の準備が整ってない!」
「心の準備?………アレストに求婚するつもりなのか?」
「なわけないだろ!あ、いやでもそれもいいな」
「冗談だ。アレストに伝えてくる」
そう言ってシドはお皿からクッキーを一枚だけ取って部屋を出ていった。
そのあいだにカナトは言いたいことをなんとかまとめようと紙とペンを探した。
カナトは自分がこの世界の人間ではないことを話そうと考え、可能ならばクローリー親子を助けるための交渉材料にしようとした。問題はアレストが信じ、そして応じてくれるかどうかである。
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