🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第7部『Back-to-Back Battlefield(背中合わせの戦場)』

第79話『AHuman’s Place(人の在り処)』 A Part

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 ヴァロウズ10番目のレイががれたLeyレイthemendジメンドが空間を無視しながら人間より優れた存在ハイエルフのベランドナに襲い掛かる命かすむ危機。

 Fortezaフォルテザ市にせきを置くローダ・ロットレンの娘ヒビキが気付き、扉の候補者ローダ胸倉むなぐらつかみ揺らした慟哭どうこく

 ヒビキはこの世に生を受けるおり、大切な友人ベランドナの扱う精霊術の世話になった恩を忘れてなどいない。

 ベランドナ達が目的地──ラファンとフォルデノ王国の境界付近は此処Fortezaから数百kmは離れた人の意識感じ取るなど決してあり得ぬ距離感。

「──ねえヒビキ。貴女の言う事に間違いなんかないと思うけど如何どうして判るの?」

 母ルシアが膝をかが愛娘ヒビキと視線絡ませる優しくも素朴そぼくな疑問。

 ポンッポンッ……。

「ルシア……それには聞くに及ばない。何しろヒビキには世界中から他人の意識が飛び込んで来るのだから」

 夫ローダが妻と娘の肩をいとしさ込めた加減を以て軽く乗せた寄せた笑顔抱擁。まるで二人の気分を仲立ちする役割帯びた顔立ち。

「あっ……」

 ルシア、娘ヒビキの苦悩を思いやり緑煌めくエメラルドの瞳をわずかに曇らせヒビキへ手向たむけた。

 扉を拓いた父と鍵の役目を成す母の間に産み落とされた新人類ヒビキ。
 人同士の想いを繋げるべく心の壁を生まれながらに取り払った娘の痛みを思い彼女ルシアも心を痛めた。

 されどヒビキ──慈愛じあいあふれるママゆずりな緑の瞳。
 眼鏡の裏に映えた静かな豊かな笑みをたたえ、軽く首振る希望を両親へさずける。

「大丈夫だから……。此処数日の間、沢山流れ込む人の思いから、僕が欲しい好意だけを探し当てる事が出来る様になれたよ」

 新人類ヒビキ・ロットレン──。
 生まれていきなり16歳の多感な気分に甘え部屋に閉じこもる弱さにおびすがるだけではなかったのだと知れた。

 眠る時でさえただの夢なのか、他人の気分が土足で好きに上がり込む邪魔な相手なのか──まるで知れぬ嫌悪けんおに独りうなされ続けた。

 それでも好きな人の意識のみ必死に追い求めすがりつく処までなら泣きながらも至れた。

 未だ世界総ての思いを繋ぎ留める存在には流石に成れぬ。
 然しそれでも自身をたも人のHuman在り方Systemを構築出来たヒビキの気丈きじょうぶり。

 ローダとルシア──我が子ヒビキの強さに心打たれた笑顔を浮かべ夫婦同士、互いを見ながらほこりを抱く。
 自慢じまんの娘は己の力に決しておぼれずくじけず今出来る全てに努力を積み重ねた。

 それに比べひと時の平和に甘んじた自分達の魂をじる。生まれたてのヒビキから教えられた不屈ふくつの精神。
 いつの間にやら理屈を並べた大人にれた気分に恥ずべき粗雑そざつを感じた。

 兎も角ともかくそんな最中、友人ベランドナが抱いた身の危うさを感じ取ったヒビキ奇跡の形。

「ヒビキ……よく頑張ったな」

 4つしか離れていないパッパローダからやはり母譲りの金髪をでられたヒビキの恥ずかしさ初々しいさ。歳の近しき父にめられつい顔を赤らめた。

「そ、そんな事より早くの力を貸してよ!」

 赤面しつつ鬼気ききせまるヒビキの訴えが続いた。
 余程の事柄に違いないのだが父ローダは独りくだらぬ思いを今更ルシアへ耳打ち。

「──こんな時に済まない。何故俺だけなんだ?」

 緑の瞳を丸く見開き呆気あっけに取られたママルシアしばらく時間が止まった気分。
 次にくびれた腹を押さえ不謹慎ふきんしんにも我慢がまんかなわず思わず吹いた。

「そっ…それはねパッパ貴方がとっても可愛いからよ」

 少し涙混じりなルシアのわらい過ぎ。
 笑い飛ばされた──真顔と腕組みで返すローダの不満。

 聞き届けてしまったヒビキ、羞恥しゅうち転じ怒りで染めた赤ら顔。それ程彼女の大切なお友達ベランドナ切迫せっぱくしていた。

「だ・か・ら・急いでいるだってばッ! パッパの創造力が今すぐ必要なの!」

 腰に手を当て怒り心頭なヒビキ。随分ずいぶんハッキリとベランドナの状態が見えている様だ。

 ローダの想像を創造へ変え得る力。すみやかに力を貸して欲しいヒビキの在り様にローダの父性が突き動かされた。

「判った、やろう今すぐ。ヒビキの示す先に居るベランドナへ俺の力を注ぐんだな?」

 不愛想ぶあいそうだが真面目な顔に戻ったいつものローダ。
 数百km離れたこの場から直接助けに向かうのではなく、ベランドナが窮地きゅうちを切り抜けられる能力を自分が与えるのだと決めつけた扉の候補者。

 ギュッ。

「それはちょっと違うんだなぁ……」

 悪戯いたずらじみたほどける笑顔のぞかすヒビキ。
 男友達の様な父ローダの手を握りめたヒビキのひらめき。手を繋いでローダの脳裏に見せる伝えるベランドナの様子。

「味方はベランドナ独りじゃないな。敵は……レイか!?」

 ローダ、黒いまぶたを閉じた裏側に映るかつ共闘きょうとう果たしたレイが今回の。先ずそこから目を開かぬ瞠目驚き
 ルシアと共にバルタバザル旧インド領から来た外敵ルヴァエルを迎え撃った頼もしきレイが敵へした認めたくなき焦燥しょうそう

 さらにベランドナの背中を見知らぬ兵士が護っているのも見えた。
 知りはしないが見覚えある白の鎧。ジェリド・アルベェラータの手の者、おのずと知れた。

「もぅ独り……。多分僕と同じ位の男の子。彼も決して弱い訳じゃないけどレイが余りにも強過ぎて何も出来そうにないの」

 ヒビキの云う通り手をこまねいている少年のいきどおりを感じられたローダ。されどこの少年を一体どう扱うつもりか。

 ヒビキの意中いちゅううかがえずにいたローダのいきどおり。そして迂闊うかつにも『僕と同じ位の男の子』のくだりを聞き遂げ僅かにまゆしかめた。

 そんな父娘の不可思議な共闘ぶりをはしから見ていたルシア。
 この宿に住んで以来、二人の触れ合う様をロクに見れなかったのだ。

 急を要するとは云え、仲睦なかむつまじい二人の姿を久し振りに見られた喜びに駆られ思わず笑顔がこぼれた。

 妻ルシアの幸せを知りつつも今は置き去りにしてベランドナ達の支援に尽力じんりょくしなければならぬローダとヒビキ。

『レイ──如何どうしても戦うしかないのか』

 ローダ、これは大変久しいな独り言。
 過去、ルシアも幾度いくどか聞き届けたローダの葛藤かっとうが勝手にあふれ出す心音心の声

 今にして思えば心の叫びが自ずととどろく娘ヒビキの能力。
 父ローダが心の扉を拓いた後にしょうじた認識力にんしきりょくの拡大に似ていた。

 姿形こそ父に似た様相がない感じに思えたヒビキ。
 ローダの面影おもかげ──着実に引き継がれていた。
 ヒビキの装い新たな覚醒と再び手を取り合った扉の候補者ローダ。二人のロットレン──一体何を成そうと云うのか。
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