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第1章
【9話】終わらない悪夢※
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あの日を境にして、表向きは変わらないのに敦志の周りは一変していた。例えば、着替えの時に視線を感じる、とかだ。
まさか男の自分が、性的な対象として見られるなんて考えもしなかった。居心地の悪さは否めない。
「中西、今日残れよ」
一週間が過ぎた頃、いよいよ我慢出来なくなってきたのか声をかけられた。
部活が終わり着替える人でごった返すロッカールームで、敦志も着替えて帰ろうとしていた。
今にもリュックを手にして帰ろうと思ったその時、笹山に声をかけられたのだ。敦志はすぐに意味を理解した。
「き…今日はっ」
「嫌とは、言わないよな?」
写メ、小声でそう囁きニヤニヤと敦志の反応をみてくる。当然、否応なしにあの時の出来事が脳裏を過ぎる。
敦志はバラされる恐怖と、これからされることを考え身を少し震わせた。逃げることなど出来ない。
―――悪夢はまだ続いていた。
レギュラーや2、3年が次々に帰っていき練習後のボールの片づけやグラウンドの整備などをしていた。1年生たちも1人、また1人と帰っていく。
敦志はそれをただ、羨ましく見つめていた。
「お前で最後か?」
「あ、はい最後っす」
「早く帰れよ?」
「はいっ」
最後の1人らしい1年生は慌てて着替えはじめた。
もはや人気のない部室を見渡すと敦志の他には笹山、外村、上岡、奥野の4人だけだった。
「松島さんは?」
「あー…帰るって」
「ちゃんと言ったんっすか?笹山さん」
「言ったってっ…あいつ気まぐれなんだよ」
ばつが悪そうに頭を掻く笹山。丁度その時、お先に失礼しますと最後の1人が部室を出ていった。
「さてと、ぼちぼちヤるか」
重苦しい空気をまるで無視して笹山がご機嫌に言ったが敦志は目線を上げることが出来なかった 。
「なんだよお前ら、ヤる気ねぇな」
「いや、だって男っすよ?」
「…男だから良いんだろうが」
「自分だってこの前ヤッたじゃないですか~」
「そんなやなら見てれば?」
「まぁいい…中西、来い」
三人に散々言われ、うなだれる上岡を尻目に笹山が敦志を呼んだ。再び、来いって!と苛立った口調に弾かれたように、外村に制服をグッと引っ張られ、敦志はよろけるように笹山の前まで連れて行かれた。これで良いか?と言いたげに笹山を見上げると
「よし、跪け」
満足げに頷き、笹山はその場に跪くように指示した。
そこはコンクリートの床、部員たちがグラウンドの土のついたままのスパイクで行き来するものだから砂で汚れていた。そのような場所に跪くことを無意識に躊躇してしまい、敦志は棒立ちになったまま薄汚れたコンクリートを見つめていた。
「跪けって言ってんだよっ」
肩に手を置かれたかと思うと下へと強い力で押され、耐えきれずに敦志は膝をついた。不安げな瞳で笹山を見上げると、笹山はたまんねぇなと呟きつつベルトをゆるめ、ジッパーを下ろしていく。目の前に現れた醜悪なそれに敦志は驚いたように目を見開いた。
「お前、フェラ出来んだろ?しろ」
男が男の陰茎をしゃぶる。それも何人もの視線に晒されてだ。なかなか出来ることではないのは確かだった。
敦志は真っ白になった頭で微動だに出来ずにただ見つめ返していた。
「いくらなんでも、ナニするかぐらいは知ってんだろ」
「それは…」
知識としては知っている。松島にしてもらったようにすれば良いのだろうが、自分に出来るとは到底思えなかった。それ以上答えることができずに敦志は俯いてしまった。
「あーっ…お前には言っても無駄だな」
苛立たしげに後ろ髪を掻くと笹山は敦志に近づきその髪を掴んだ。
「やめっ…」
何をされるか分かった敦志が嫌がり、笹山の陰茎は敦志の頬についた。不快な存在に敦志の顔が歪むが尚も陰茎を口元に持って行こうとする笹山と避けようとする敦志
しばらく一進一退の攻防を繰り返していたが
―――バシッ
突然敦志は、反動で少し横を向いてしまう程度の強さで笹山に頭を叩かれた。驚き怯んだ敦志の顔を再び自分の方に向かせると笹山は無理に敦志の口にそれをねじ込んだ。
「んっんっ」
苦しがって必死に笹山の足の付け根辺りを押し離そうとする。が、頭の後ろをがっしり掴まれ、それから逃げることが出来ない。青臭さと大きさに嗚咽感からか、生理的な涙を目に溜める敦志
しかし異物は侵入をやめるどころか、さらに奥へと押し入ろうとしている。嗚咽に耐えられなくなった敦志は拒絶するように口を閉じようとしてしまった。
「こいつっ…噛みやがった!」
―――バシッ
今度は叩かれたというより、吹き飛ばされてしまった。汚れたコンクリートにうつ伏せに倒れ、敦志はゲホゲホとむせながら肘をついて起き上がった。笹山を睨み付けるものの潤んだ瞳ではなんの効果もなかった 。
まさか男の自分が、性的な対象として見られるなんて考えもしなかった。居心地の悪さは否めない。
「中西、今日残れよ」
一週間が過ぎた頃、いよいよ我慢出来なくなってきたのか声をかけられた。
部活が終わり着替える人でごった返すロッカールームで、敦志も着替えて帰ろうとしていた。
今にもリュックを手にして帰ろうと思ったその時、笹山に声をかけられたのだ。敦志はすぐに意味を理解した。
「き…今日はっ」
「嫌とは、言わないよな?」
写メ、小声でそう囁きニヤニヤと敦志の反応をみてくる。当然、否応なしにあの時の出来事が脳裏を過ぎる。
敦志はバラされる恐怖と、これからされることを考え身を少し震わせた。逃げることなど出来ない。
―――悪夢はまだ続いていた。
レギュラーや2、3年が次々に帰っていき練習後のボールの片づけやグラウンドの整備などをしていた。1年生たちも1人、また1人と帰っていく。
敦志はそれをただ、羨ましく見つめていた。
「お前で最後か?」
「あ、はい最後っす」
「早く帰れよ?」
「はいっ」
最後の1人らしい1年生は慌てて着替えはじめた。
もはや人気のない部室を見渡すと敦志の他には笹山、外村、上岡、奥野の4人だけだった。
「松島さんは?」
「あー…帰るって」
「ちゃんと言ったんっすか?笹山さん」
「言ったってっ…あいつ気まぐれなんだよ」
ばつが悪そうに頭を掻く笹山。丁度その時、お先に失礼しますと最後の1人が部室を出ていった。
「さてと、ぼちぼちヤるか」
重苦しい空気をまるで無視して笹山がご機嫌に言ったが敦志は目線を上げることが出来なかった 。
「なんだよお前ら、ヤる気ねぇな」
「いや、だって男っすよ?」
「…男だから良いんだろうが」
「自分だってこの前ヤッたじゃないですか~」
「そんなやなら見てれば?」
「まぁいい…中西、来い」
三人に散々言われ、うなだれる上岡を尻目に笹山が敦志を呼んだ。再び、来いって!と苛立った口調に弾かれたように、外村に制服をグッと引っ張られ、敦志はよろけるように笹山の前まで連れて行かれた。これで良いか?と言いたげに笹山を見上げると
「よし、跪け」
満足げに頷き、笹山はその場に跪くように指示した。
そこはコンクリートの床、部員たちがグラウンドの土のついたままのスパイクで行き来するものだから砂で汚れていた。そのような場所に跪くことを無意識に躊躇してしまい、敦志は棒立ちになったまま薄汚れたコンクリートを見つめていた。
「跪けって言ってんだよっ」
肩に手を置かれたかと思うと下へと強い力で押され、耐えきれずに敦志は膝をついた。不安げな瞳で笹山を見上げると、笹山はたまんねぇなと呟きつつベルトをゆるめ、ジッパーを下ろしていく。目の前に現れた醜悪なそれに敦志は驚いたように目を見開いた。
「お前、フェラ出来んだろ?しろ」
男が男の陰茎をしゃぶる。それも何人もの視線に晒されてだ。なかなか出来ることではないのは確かだった。
敦志は真っ白になった頭で微動だに出来ずにただ見つめ返していた。
「いくらなんでも、ナニするかぐらいは知ってんだろ」
「それは…」
知識としては知っている。松島にしてもらったようにすれば良いのだろうが、自分に出来るとは到底思えなかった。それ以上答えることができずに敦志は俯いてしまった。
「あーっ…お前には言っても無駄だな」
苛立たしげに後ろ髪を掻くと笹山は敦志に近づきその髪を掴んだ。
「やめっ…」
何をされるか分かった敦志が嫌がり、笹山の陰茎は敦志の頬についた。不快な存在に敦志の顔が歪むが尚も陰茎を口元に持って行こうとする笹山と避けようとする敦志
しばらく一進一退の攻防を繰り返していたが
―――バシッ
突然敦志は、反動で少し横を向いてしまう程度の強さで笹山に頭を叩かれた。驚き怯んだ敦志の顔を再び自分の方に向かせると笹山は無理に敦志の口にそれをねじ込んだ。
「んっんっ」
苦しがって必死に笹山の足の付け根辺りを押し離そうとする。が、頭の後ろをがっしり掴まれ、それから逃げることが出来ない。青臭さと大きさに嗚咽感からか、生理的な涙を目に溜める敦志
しかし異物は侵入をやめるどころか、さらに奥へと押し入ろうとしている。嗚咽に耐えられなくなった敦志は拒絶するように口を閉じようとしてしまった。
「こいつっ…噛みやがった!」
―――バシッ
今度は叩かれたというより、吹き飛ばされてしまった。汚れたコンクリートにうつ伏せに倒れ、敦志はゲホゲホとむせながら肘をついて起き上がった。笹山を睨み付けるものの潤んだ瞳ではなんの効果もなかった 。
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