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第2章
【29話】雨が連れてきたもの※(外敦)
しおりを挟む「…なら、このカラダが悪いな」
顔を背けていると乾いた涙の跡をなぞっているのか、頬を撫でながら外村が呟く。
まだ話しが続いていたのか、と敦志は激しいキスでぼんやりしていた意識を、どうにか取り戻す
「な、に」
「躾、し直してやるよ」
――――ヴヴヴヴ
「あ!だ、からっ…ぃやっだってっ」
欲情を含んだ声で外村が囁くのに敦志はゾクッとした。だが再びバイブで後孔を突き上げられ始めて、敦志は余裕なくビクビク腰を振ってしまい、再び外村の背中にしがみついてしまう。
また口づけれそうなほど密着すると脚に熱を帯びた外村を否応なしに感じさせられ
「あっ…」
「だったら…何が欲しいか、言ってみろ」
挿れて欲しいんだろ、俺の…と終わらない外村の低い囁き声に、ナカを苛むバイブに敦志は朦朧として、ガクガクと身体を仰け反らせる。
そんな様子を見て外村は漸く、敦志の後孔からバイブを抜いた。けれども、刺激がなくなったはずなのに、なくなったからか、そこが何かを求めて疼く
自らを支配しようとする疼きから逃れたがっているかのように顔を横に振る敦志。
「言えよ…欲しい、んだろ」
外村はゆっくりとジッパーを下ろし、熱く昂るそれを眼下に晒すと、敦志に見せつけるように膝裏を押し上げて窄まりに擦り付ける。
「っあ…」
そうされると否応なしに外村のそそり勃ったものが、自分のナカに埋め込まれていくのが目に入り、そこから目を離せないまま敦志は息を呑む。
だが、それはいつまでも浅い抽送を繰り返し、焦らされた敦志の理性を奪っていき、腰が揺れる
「…誘ってんの?」
「ち、がっ……あ!ぁ…も、もぅ」
「強情なやつ…」
しょうがないな、というように外村の表情が緩み、促すように敦志の耳元に欲情した声で囁く。敦志は目を見開いて羞恥に頬を染めながら、囁かれた言葉をうわ言のように繰り返す
「あ、……ぃれてっ…」
「…聞こえ、ねぇ…な」
「挿れ、てっ……外、村さ…ん、の…」
はぁはぁ、と肩で息をしながら敦志が快楽で潤んだ瞳で見上げてくる。もう、我慢が効かないのか、自らで外村の陰茎を受け入れて腰を寄せてくる。
その淫らさに火をつけられ、先程とは打って変わって激しく突き上げていく
「ひあっ!あっ……あっ…ん、んぅ…」
蕩けそうに熱いナカを突き上げると、喘ぎ声が安堵のような焦がれた声色に変わり、ナカが脈打つたびに求められている、と感じて外村は堪らなくなる。
他の奴らもハマるはずだ。このカラダを知ってしまったらもう、欲望で満たして…誰にも渡したくなる。
外村は、喘ぎ声すら奪ってしまいたくなってまた激しく唇を重ねた。
――――全部…俺のものに、してしまいたい
「っあ!……は、……ぁ…」
1度欲望を注ぎ込んだ後も、その奥を貪るのをやめられない。抽送の度に溢れでるそれが、繋がり合う肌の隙間に広がっていき、卑猥な音が部屋に響く。
敦志は突き上げられる度に、ビクビクと身体を仰け反らせ、朦朧としているのか蕩けそうなほど快楽に染まった瞳をしている。
こんな表情は外村しか知らないだろう。それが、ますます外村を昂らせる。
不意に外村の服を握り締めていた手の力がずるっと抜けて落ちていく。何度も何度も抱いたから、そろそろ敦志が気を失うとわかった。
スローモーションのように後ろに落ちる頭を受け止めてやり、ゆっくりベッドに寝かせてやる。
その閉じた瞳に唇、それから酷い有様の服と身体を見ていると外村は再び自分が熱を取り戻したことに気づいて苦笑いを浮かべる。
その閉じた唇に触れ、ゆっくり指を差し込み唇を開くと半開きになり、それだけなのにたまらない。 首筋に唇を落としながら再び敦志のナカをゆっくり味わう。
「あっ……ぁ、………ん、…んぁ、あ?」
何処かで、他人の声のように聞いていた声が自分の声だと気付くと、敦志はバッと目を覚ました。
だが、起き上がることは叶わない。すぐさま、両手はベッドに縫い付けられ、もう外村を深く受け入れさせられている。
一瞬、我に返った目が快楽に堕ちていく様は外村を昂らせた。まだ、貫かれそうなほどの熱量に敦志は絶望的な気分になる
「ま、だっ…あっ……も、むりっ」
「…イかせて欲しいのか」
「……ん、ん…おか、しくなっ」
「なれよ…おかしく」
そう言いながら外村は敦志を突き上げることをやめないため、敦志は息も絶え絶えになって必死に頭を横に振る事しかできない。
「イ、…イか、せてっ」
もう懇願だった。羞恥で敦志が目を開けられずに
キュッとつぶると涙がまた頬を伝う。そんな敦志にふ、と表情を緩ませて外村は耳元で甘く囁く
「忘れるな……お前は…俺のものだ」
「あ!あああ!…あ、あ…」
堰き止められていた戒めが解かれると、身体を仰け反らせてガクガクと腰を振る。振りながら、敦志自身からは白濁したものが溢れ出し、ナカの外村を締め付け、外村は導かれるままに敦志のナカに欲望を注ぎ込んだ。
お互いのはぁはぁ、と言う呼吸だけが部屋に響く。敦志の手をベッドに繋ぎとめていた外村の手が離れても、敦志は脱力感で手を動かせず、ぼんやり外村を見ていた。
外村が身体を離していくとズルリと結合部が離れる。自身の汚れをティッシュでふき取り、丸めたそれをゴミ箱に投げ入れた。
外村が離れても足を開いたまま呆然としている敦志に外村は覆いかぶさり唇が触れそうな距離で告げた
「明日から学校に来い…お前に"逃げる"権利はないんだ」
再び身体を離した外村は服を正しながら、わかったか?と声をかけてきたが敦志には答える気力はなかった。外村は返事のない敦志に怒ることもせず、ただ口端を吊り上げて不適な笑みを浮かべて何事もなかったかのように帰って行った。
自分の部屋のドアが閉まり、そして遠くで玄関が閉まる音がしてようやく敦志の緊張の糸は切れた。だらりと足を伸ばして大の字になる。
だが、そうした事でドロドロと体内から外村の残したものが溢れ出て来て、思わず起き上がった。
なんとなく見やった先に直哉が置いて行ったシュークリームを見つけると
「あ、…俺……ウソ、ちがっ」
段々と意識がクリアになってきて今までの事が、外村に抱かれてオンナみたいに善がって、自分で腰を振って求め喘いだことが現実だったと、突きつけられる。
「う、あぁぁっ」
ベッドに両手をついてうなだれ敦志は泣いた。
直哉の側にいるのが憚られるほど穢れてしまったことに、それでも外村から逃れられないことに。
きっと夜、眠りにつこうとする度に思い出す、この天井に刻まれた傷跡を
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