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「──おかえり、早かったのね」
家に帰り、リビングに入ると、日和が手を止めてこっちを見上げる。
「ただいま。深鈴が明日も忙しそうだからな。それより、宿題の方は進んでるか?」
「まぁ、ボチボチね」
机の上には積まれた宿題と、空のマグカップがあった。部屋にはほんのりココアの匂いがしていて、何を飲んでいたのか、すぐに分かった。
「……流石だな、深鈴」
「鈴?」
「日和がココアを入れてるんじゃないかって。歩いてる時に話してたんだよ」
「まぁ、いつもだしね。そういうあの子はいつもコーヒーね。それもブラックで」
「なんか、納得だな」
「こだわりとかないみたいだし、あたしの家にも鈴用のコーヒー置いてあるわ。飲むなら飲んでいいわよ、あたしは飲まないし」
「俺もブラックは苦手なんだよ」
「一応覚えとく。あと、お風呂沸かしてあるから先に入ってきて。夏でも夜は涼しいし、あったまってきた方がいいわよ」
「良いのか?」
「良いも何も、風邪を引かれたりする方が面倒だし」
「いや、家主よりも先に入って良いものかと……」
口にはしないけど、俺の後に入るの嫌じゃないか……とも思う。
「昔はそんなの気にしないで一緒に入ったこともあったんだし、今更でしょ。ちなみにあんた、口には出してないけど、顔には思いっきり出てるからね」
「そ、そんなことは……」
「一緒に住むんだし、あんたが先なこともあたしが先なこともあるでしょ」
……日和にはお見通しなようだった。
昔、顔に出やすいって日和達みんなに言われてから気を付けてたんだけど、気を付けたくらいじゃどうにもならないらしい。
「それに、あたしが気にしてないのに気を使われるのは嫌。洗濯物とかもあるんだし、疲れるわよ」
「日和がそう言うなら……ありがたく」
「うんうん、いってらっしゃーい。シャンプーとかは書いてあるから、分かると思うわ」
日和にもう一度お礼を言って、俺はお風呂を頂いた。
風呂から上がり、もう一度リビングへと戻る。
「おかえり、ちゃんとあったまった?」
「あぁ、おかげさまで。ありがとな」
「うん。早速で悪いんだけど、何個か分からないところがあるから、教えて欲しい」
「了解」
そこから、日和のお風呂休憩をはさんで、俺たちは宿題を進めた。日付が変わると、美風に来るまでの移動の疲れか、だんだん眠気がやってくる。特に、日和が自分で解き進めている間なんか戦いだった。
「そういえば、かなり基礎は覚えてるよな」
聞いてくるのは発展に近い問題ばかりで、基礎問題は自力でどんどん解き進めている。
「まぁ、基礎は鈴に叩き込まれたわ」
「なるほど……納得」
「ってか、あんた目真っ赤じゃない。大丈夫?」
「あぁ、何とか」
「何とかって……ほら、早く寝なさい」
「いや、まだ大丈夫……」
俺がそう言うと、「はぁ……」と大きくため息を吐いて、日和はノートを閉じた。
「んじゃ、あたしも寝るわ。明日の朝早くから宿題をするってことで」
「でも──」
「──でもじゃない。それであんたに体調崩される方が嫌。それに、あたしも眠くなってきたしね」
そう言ってさっさと寝る支度を始める日和。
「ありがとな、日和」
「お礼言う暇があるなら早く寝て、明日元気で起きてきて」
「分かった。それじゃ、おやすみ」
「うん、おやすみ~」
次の日も、朝から宿題をする日和に宿題を教えたり、部屋の整理をしたりしているうちに日が暮れた。
晩ご飯もさっと終わらせ、食後の休憩なんてものもなく、日和はまた宿題に戻る。キッチンで洗い物をしながら、宿題をする日和を見たり見なかったり。昔は見張ってないとすぐサボったりしてたけど、今はそんなこともなく、宿題に励んでる。
洗い物を済ませると、やることがなくなってしまった。
「あんた、散歩でも行ってくる?」
洗い物の音がなくなって俺が暇なのが分かったのか、声を掛けてくる。
「いや、やめとくよ。一部の道以外は覚えてないんだよ」
「あー、確かに。まぁ、案内してないあたしが悪いんだけど」
町のことは分からないけど、今日一日、この家で家事をしたおかげで、この家のどこに何があるかはだいたい把握出来た。
「とりあえず、何か飲むか?」
「それじゃ、ココアで。冷蔵庫にあるわ」
「了解」
インスタントではあるけど、ココアを作りながら、日和が昔からココアが好きだったことを思い出した。何かあった時は飲んでたし、夏姉のところでもいつも飲んでいたし。
詳しい理由は知らないけど、飲んだら落ち着くから好きなんだとか……そんな話を聞いたことがある。
美風を離れてから、ココアを作る機会なんてなかったから、昔を思い出すように丁寧に作って、味見してから日和のところへ持っていく。
「お待たせ」
「悪いわね、ありがと」
「宿題、捗ってるようだな」
「そうね……まぁ、やらなきゃ後が怖いし」
ふぅ……と一息吐いて、ココアを一口飲んだ。
「うん、美味しい。ほんと、ありがと」
「どういたしまして」
それからしばらくは、ペンを走らせる音と飲み物を飲む音、たまに俺が宿題を教える声……それだけがしばらく続いた。
「……んんーっ! 疲れたぁ」
宿題がキリの良いところまで進んだのか、日和が思いっきり背伸びをした。
「朝からぶっ通しだもんな。休憩するか?」
「そうね。飲み物でも入れて、外出ようよ」
「まぁ、一日部屋の中で座ってればそうなるか。いいよ」
昔から外が好きだった日和。ずっと部屋の中にいることは苦手というか、単純に嫌なんだろうって想像できた。
二人でバルコニーに出て、何かを話すわけでもなく、ゆっくり時間を過ごしていた。
今は影しか見えない美風の丘。誰かが作ったわけでもなく、自然とできたらしいけど、数多くの花がどうやって集まったのか、その辺りは解明されていないらしい……と何かの特集でやっていたのを思い出した。
「……ねぇ、なんであの時、話してくれなかったの?」
「…………」
「あっ、怒るとか、責めるとか、そういうんじゃなくて……気になってただけ。話したくないことなら、別にいいわ」
「話せなかったんだよ。今なら話した方が良かったと思うし、話してれば色々やりようはあるって分かるんだけどさ……美風から離れることを認めたくもなかったし、毎日が楽しかったから、それがなくなると思ったら話せなかった」
「まぁ、予想通りだし、昔のことはいいや……最後にこれだけ聞かせてよ」
「ん?」
「あんたは向こうにいる時、寂しかった?」
「そりゃあな。正直な話、美風を離れてからは楽しいとか、そう思うこともなかったし、離れてからしばらくは気持ちを立て直せなかったよ。今でもよく覚えてるよ」
「あたしらも似たようなもんね。夏姉や鈴と居ても楽しいんだけど、なんか物足りないというか、そんな感じだったし」
「そうなのか?」
「まぁね……って、この辺の話、鈴からも聞いたんでしょ?」
「少しだけな」
「それじゃあ、あたしも鈴と同じこと言っておこうかな。大事なことだし」
「…………」
「もう勝手にいなくなるのはやめて。残されるの、やっぱり寂しいからさ」
「うん……ごめん。約束するよ」
「良かった。それじゃ、宿題に戻るとしますか~。息抜きもしたことだし」
「だな、日和が寝ないように見張ってるよ」
家に帰り、リビングに入ると、日和が手を止めてこっちを見上げる。
「ただいま。深鈴が明日も忙しそうだからな。それより、宿題の方は進んでるか?」
「まぁ、ボチボチね」
机の上には積まれた宿題と、空のマグカップがあった。部屋にはほんのりココアの匂いがしていて、何を飲んでいたのか、すぐに分かった。
「……流石だな、深鈴」
「鈴?」
「日和がココアを入れてるんじゃないかって。歩いてる時に話してたんだよ」
「まぁ、いつもだしね。そういうあの子はいつもコーヒーね。それもブラックで」
「なんか、納得だな」
「こだわりとかないみたいだし、あたしの家にも鈴用のコーヒー置いてあるわ。飲むなら飲んでいいわよ、あたしは飲まないし」
「俺もブラックは苦手なんだよ」
「一応覚えとく。あと、お風呂沸かしてあるから先に入ってきて。夏でも夜は涼しいし、あったまってきた方がいいわよ」
「良いのか?」
「良いも何も、風邪を引かれたりする方が面倒だし」
「いや、家主よりも先に入って良いものかと……」
口にはしないけど、俺の後に入るの嫌じゃないか……とも思う。
「昔はそんなの気にしないで一緒に入ったこともあったんだし、今更でしょ。ちなみにあんた、口には出してないけど、顔には思いっきり出てるからね」
「そ、そんなことは……」
「一緒に住むんだし、あんたが先なこともあたしが先なこともあるでしょ」
……日和にはお見通しなようだった。
昔、顔に出やすいって日和達みんなに言われてから気を付けてたんだけど、気を付けたくらいじゃどうにもならないらしい。
「それに、あたしが気にしてないのに気を使われるのは嫌。洗濯物とかもあるんだし、疲れるわよ」
「日和がそう言うなら……ありがたく」
「うんうん、いってらっしゃーい。シャンプーとかは書いてあるから、分かると思うわ」
日和にもう一度お礼を言って、俺はお風呂を頂いた。
風呂から上がり、もう一度リビングへと戻る。
「おかえり、ちゃんとあったまった?」
「あぁ、おかげさまで。ありがとな」
「うん。早速で悪いんだけど、何個か分からないところがあるから、教えて欲しい」
「了解」
そこから、日和のお風呂休憩をはさんで、俺たちは宿題を進めた。日付が変わると、美風に来るまでの移動の疲れか、だんだん眠気がやってくる。特に、日和が自分で解き進めている間なんか戦いだった。
「そういえば、かなり基礎は覚えてるよな」
聞いてくるのは発展に近い問題ばかりで、基礎問題は自力でどんどん解き進めている。
「まぁ、基礎は鈴に叩き込まれたわ」
「なるほど……納得」
「ってか、あんた目真っ赤じゃない。大丈夫?」
「あぁ、何とか」
「何とかって……ほら、早く寝なさい」
「いや、まだ大丈夫……」
俺がそう言うと、「はぁ……」と大きくため息を吐いて、日和はノートを閉じた。
「んじゃ、あたしも寝るわ。明日の朝早くから宿題をするってことで」
「でも──」
「──でもじゃない。それであんたに体調崩される方が嫌。それに、あたしも眠くなってきたしね」
そう言ってさっさと寝る支度を始める日和。
「ありがとな、日和」
「お礼言う暇があるなら早く寝て、明日元気で起きてきて」
「分かった。それじゃ、おやすみ」
「うん、おやすみ~」
次の日も、朝から宿題をする日和に宿題を教えたり、部屋の整理をしたりしているうちに日が暮れた。
晩ご飯もさっと終わらせ、食後の休憩なんてものもなく、日和はまた宿題に戻る。キッチンで洗い物をしながら、宿題をする日和を見たり見なかったり。昔は見張ってないとすぐサボったりしてたけど、今はそんなこともなく、宿題に励んでる。
洗い物を済ませると、やることがなくなってしまった。
「あんた、散歩でも行ってくる?」
洗い物の音がなくなって俺が暇なのが分かったのか、声を掛けてくる。
「いや、やめとくよ。一部の道以外は覚えてないんだよ」
「あー、確かに。まぁ、案内してないあたしが悪いんだけど」
町のことは分からないけど、今日一日、この家で家事をしたおかげで、この家のどこに何があるかはだいたい把握出来た。
「とりあえず、何か飲むか?」
「それじゃ、ココアで。冷蔵庫にあるわ」
「了解」
インスタントではあるけど、ココアを作りながら、日和が昔からココアが好きだったことを思い出した。何かあった時は飲んでたし、夏姉のところでもいつも飲んでいたし。
詳しい理由は知らないけど、飲んだら落ち着くから好きなんだとか……そんな話を聞いたことがある。
美風を離れてから、ココアを作る機会なんてなかったから、昔を思い出すように丁寧に作って、味見してから日和のところへ持っていく。
「お待たせ」
「悪いわね、ありがと」
「宿題、捗ってるようだな」
「そうね……まぁ、やらなきゃ後が怖いし」
ふぅ……と一息吐いて、ココアを一口飲んだ。
「うん、美味しい。ほんと、ありがと」
「どういたしまして」
それからしばらくは、ペンを走らせる音と飲み物を飲む音、たまに俺が宿題を教える声……それだけがしばらく続いた。
「……んんーっ! 疲れたぁ」
宿題がキリの良いところまで進んだのか、日和が思いっきり背伸びをした。
「朝からぶっ通しだもんな。休憩するか?」
「そうね。飲み物でも入れて、外出ようよ」
「まぁ、一日部屋の中で座ってればそうなるか。いいよ」
昔から外が好きだった日和。ずっと部屋の中にいることは苦手というか、単純に嫌なんだろうって想像できた。
二人でバルコニーに出て、何かを話すわけでもなく、ゆっくり時間を過ごしていた。
今は影しか見えない美風の丘。誰かが作ったわけでもなく、自然とできたらしいけど、数多くの花がどうやって集まったのか、その辺りは解明されていないらしい……と何かの特集でやっていたのを思い出した。
「……ねぇ、なんであの時、話してくれなかったの?」
「…………」
「あっ、怒るとか、責めるとか、そういうんじゃなくて……気になってただけ。話したくないことなら、別にいいわ」
「話せなかったんだよ。今なら話した方が良かったと思うし、話してれば色々やりようはあるって分かるんだけどさ……美風から離れることを認めたくもなかったし、毎日が楽しかったから、それがなくなると思ったら話せなかった」
「まぁ、予想通りだし、昔のことはいいや……最後にこれだけ聞かせてよ」
「ん?」
「あんたは向こうにいる時、寂しかった?」
「そりゃあな。正直な話、美風を離れてからは楽しいとか、そう思うこともなかったし、離れてからしばらくは気持ちを立て直せなかったよ。今でもよく覚えてるよ」
「あたしらも似たようなもんね。夏姉や鈴と居ても楽しいんだけど、なんか物足りないというか、そんな感じだったし」
「そうなのか?」
「まぁね……って、この辺の話、鈴からも聞いたんでしょ?」
「少しだけな」
「それじゃあ、あたしも鈴と同じこと言っておこうかな。大事なことだし」
「…………」
「もう勝手にいなくなるのはやめて。残されるの、やっぱり寂しいからさ」
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