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17.番じゃなくても
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「まずこれを見てくれ」
首の騎士証をテーブルに置く。
「騎士証は持ち主が魔力を流す事で身分や現状の身体能力がわかる。
流す時にイメージすれば、見せたくない情報は隠せる。
他の冒険者証や商人証と同じく身分証だ。
今から俺の情報を見せるが、これが何も隠してない状態だ」
俺は魔力を流した。
騎士証の少し上に紙に書かれたような情報が浮き上がる。
名前:グラン=ウェストミンスター
(旧姓:ザッカルード)
年齢:30
種族:獅子族(識別:メル)
伴侶:ー
居住地:ザッカルード国
騎士ランク:S
体力:SS
魔力:B
筋力:SS
持久力:A
俊敏性:SS
知性:A
スキル:格闘術、剣術、弓術、サバイバル術、騎乗術、精霊術、帝王学
称号:王族(第4王子)、第5騎士隊隊長、ウェストミンスター侯爵、ウェストミンスター領領主
状態:良
「····え····」
レンが小さく呟き、眉をひそめる。
余計な警戒心を抱かせたような気がする。
「グランさん····」
「どこが引っかかった?
ちゃんと答えるぞ」
「王族、なの?」
可愛らしい声が少し震えている。
目には怯えが見える。
俺は優しく聞こえるよう努める。
「そうだが、何が不安だ?」
「え、だって、えっと、こんなとこ来ちゃ駄目じゃない?」
「俺はすでに継承権を放棄したし、侯爵位や領土は持ってるがあくまで管理は信用できる者任せだ。
まぁそのうち領土には戻るだろうが今は騎士として動いてるし、支障はないさ。
それにレンが思うよりも獣人の番への配慮は大きいし、融通もきく。
レンの事は守るし今回休みをもぎ取るのに騎士団団長には話したが、会うのを止められてもいない。
下手に止めれば気を狂わせるんだから、番と引き離す事は考えないさ。
団長自身も奥さんと紆余曲折あって結ばれたから、理解してるはずだ。
団長とは俺が幼少の頃からの付き合いで信用できるし、レンの話は結界の中でしたから団長以外知らない。
レンを何かに利用もしないし、させない」
「····でも、その····」
「どうした?」
「やっぱり番は駄目だと思う。
お互い危なくなっちゃう」
まぁ、そうだろう。
レンの秘密が何であれ、王族と関わるのは危険だ。
権利を放棄したとはいえ、利用しようとする貴族は必ずいる。
レン自身にも魔力のある人属として価値がある。
レンはそこらへんを理解しているんだろうが、やはりただの世間知らずの子供ではないのだろう。
「確かに俺の事情にも巻き込んでしまうかもしれないが、だからこそこの森から連れ出す気はないんだ。
もちろんレンが出たいなら必ず力にはなるし、その時は一緒に領へ戻るのも1つの手だろう。
レンの事情をまだ話せないのも、信用されてないのも、俺の立場的に信用できなくなったのも理解できる。
だけど番は駄目だからと変えられるものじゃないし、番抜きにしても俺はレンに惚れていってる」
レンの目が驚いたように丸くなり、真っ赤になった。
「な、なに、を、何を言って!」
途端にアワアワと慌てふためくこの番は本当に可愛らしい。
肉食系獣人の前で小動物みたいな反応は自殺行為だぞ。
「本当の事だ。
可愛らしく慌てるな。
レンが俺に惚れるように頑張るし、時間を作って会いに来る」
「ほ、惚れるって、そんな、」
「俺は実際悪くない顔をしているようだし、体も匂いも悪くないんだろう?
レンが逃げても逃がさないし、必ず見つけ出すつもりしかない」
「そ、それは番だから、でしょ?」
「否定はしない。
だけどそれだけじゃない。
レン、俺の知らないところで俺の仲間を弔ってくれてただろ。
遺体は損壊が激しかったはずだし、回収して1人ずつ獣避けの布被せたり、騎士以外入れないように周りに結界張ったりって、見ず知らずの人にできる事だと思ってるのか?
団長から聞かされなかったら俺は一生知らなかったけど、恩を売る事もなく俺に謝ってすらいただろう。
いくら番主義の獣人でも良い悪いの感情はあるんだ。
惚れない要素がないんだよ」
まっすぐに黒い目を見つめるが、オロオロした後そっぽを向かれる。
そんな行動も愛らしい。
知れば知るほど惚れていくこの気持ちだけは否定しないでくれ。
「他に何か不安に思ったり、知りたい事はあるか?」
この日は1日話をした。
レンの事は何も聞かされなかったが、俺の事はそれなりに話せた。
過去に関係を持ったフィルメについて聞かれたのは少々むず痒かったが。
真っ赤になるなら聞くなよな。
夜はやはり獣体を所望され、しっかりモフられた。
尻尾の付け根だけは触らないようにと今回は釘を刺した。
首の騎士証をテーブルに置く。
「騎士証は持ち主が魔力を流す事で身分や現状の身体能力がわかる。
流す時にイメージすれば、見せたくない情報は隠せる。
他の冒険者証や商人証と同じく身分証だ。
今から俺の情報を見せるが、これが何も隠してない状態だ」
俺は魔力を流した。
騎士証の少し上に紙に書かれたような情報が浮き上がる。
名前:グラン=ウェストミンスター
(旧姓:ザッカルード)
年齢:30
種族:獅子族(識別:メル)
伴侶:ー
居住地:ザッカルード国
騎士ランク:S
体力:SS
魔力:B
筋力:SS
持久力:A
俊敏性:SS
知性:A
スキル:格闘術、剣術、弓術、サバイバル術、騎乗術、精霊術、帝王学
称号:王族(第4王子)、第5騎士隊隊長、ウェストミンスター侯爵、ウェストミンスター領領主
状態:良
「····え····」
レンが小さく呟き、眉をひそめる。
余計な警戒心を抱かせたような気がする。
「グランさん····」
「どこが引っかかった?
ちゃんと答えるぞ」
「王族、なの?」
可愛らしい声が少し震えている。
目には怯えが見える。
俺は優しく聞こえるよう努める。
「そうだが、何が不安だ?」
「え、だって、えっと、こんなとこ来ちゃ駄目じゃない?」
「俺はすでに継承権を放棄したし、侯爵位や領土は持ってるがあくまで管理は信用できる者任せだ。
まぁそのうち領土には戻るだろうが今は騎士として動いてるし、支障はないさ。
それにレンが思うよりも獣人の番への配慮は大きいし、融通もきく。
レンの事は守るし今回休みをもぎ取るのに騎士団団長には話したが、会うのを止められてもいない。
下手に止めれば気を狂わせるんだから、番と引き離す事は考えないさ。
団長自身も奥さんと紆余曲折あって結ばれたから、理解してるはずだ。
団長とは俺が幼少の頃からの付き合いで信用できるし、レンの話は結界の中でしたから団長以外知らない。
レンを何かに利用もしないし、させない」
「····でも、その····」
「どうした?」
「やっぱり番は駄目だと思う。
お互い危なくなっちゃう」
まぁ、そうだろう。
レンの秘密が何であれ、王族と関わるのは危険だ。
権利を放棄したとはいえ、利用しようとする貴族は必ずいる。
レン自身にも魔力のある人属として価値がある。
レンはそこらへんを理解しているんだろうが、やはりただの世間知らずの子供ではないのだろう。
「確かに俺の事情にも巻き込んでしまうかもしれないが、だからこそこの森から連れ出す気はないんだ。
もちろんレンが出たいなら必ず力にはなるし、その時は一緒に領へ戻るのも1つの手だろう。
レンの事情をまだ話せないのも、信用されてないのも、俺の立場的に信用できなくなったのも理解できる。
だけど番は駄目だからと変えられるものじゃないし、番抜きにしても俺はレンに惚れていってる」
レンの目が驚いたように丸くなり、真っ赤になった。
「な、なに、を、何を言って!」
途端にアワアワと慌てふためくこの番は本当に可愛らしい。
肉食系獣人の前で小動物みたいな反応は自殺行為だぞ。
「本当の事だ。
可愛らしく慌てるな。
レンが俺に惚れるように頑張るし、時間を作って会いに来る」
「ほ、惚れるって、そんな、」
「俺は実際悪くない顔をしているようだし、体も匂いも悪くないんだろう?
レンが逃げても逃がさないし、必ず見つけ出すつもりしかない」
「そ、それは番だから、でしょ?」
「否定はしない。
だけどそれだけじゃない。
レン、俺の知らないところで俺の仲間を弔ってくれてただろ。
遺体は損壊が激しかったはずだし、回収して1人ずつ獣避けの布被せたり、騎士以外入れないように周りに結界張ったりって、見ず知らずの人にできる事だと思ってるのか?
団長から聞かされなかったら俺は一生知らなかったけど、恩を売る事もなく俺に謝ってすらいただろう。
いくら番主義の獣人でも良い悪いの感情はあるんだ。
惚れない要素がないんだよ」
まっすぐに黒い目を見つめるが、オロオロした後そっぽを向かれる。
そんな行動も愛らしい。
知れば知るほど惚れていくこの気持ちだけは否定しないでくれ。
「他に何か不安に思ったり、知りたい事はあるか?」
この日は1日話をした。
レンの事は何も聞かされなかったが、俺の事はそれなりに話せた。
過去に関係を持ったフィルメについて聞かれたのは少々むず痒かったが。
真っ赤になるなら聞くなよな。
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尻尾の付け根だけは触らないようにと今回は釘を刺した。
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