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25.魔の森の侵入者達
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「世話になった。
大斧を取りに行ってくれたのか。
今度グランがここに来る時に何か持たせよう。
受け取ってくれ」
「ふふ、いっぱいモフモフさせてくれたし気にしなくて良いのに。
でもせっかくならお菓子が良い」
「わかった。
他に欲しい物ができたらグランを通して教えてくれ」
「ありがとう、ベルグルさん」
団長が大きな手で小さな頭をそっと撫でると、俺の好きなくすぐったそうな顔を団長に向ける。
ちょっとむかつく。
すると今度は副団長がズズイッと前に出た。
「私の名前はレイブ=ワルガロスです。
レイブと呼んでかまいませんから、お爺ちゃんはやめて下さい」
「レンカ=キサカだよ。
レンて呼んで。
お爺ちゃんみたいで格好いいのに····あれ、ワルガロス?」
おい、格好いいって何だ。
団長に引き続き副団長にもむかつく。
「グラン、殺気を飛ばさない。
レイブです。
世話になりました。
あなたのお爺さんの名前はレティッド=ワルガロスでしょう?
私の大叔父で、彼が旅立つまでは私の師匠でもあったんですよ。
大叔父の家族なら、血縁である私とは親戚です。
何かあれば頼りなさい」
「ふふふ、嬉しい。
ありがとう、レイブさん」
よろしい、と副団長が頷く。
これまでのにこにことした顔も当然に可愛らしいが、それとは比べられないような、花が咲いたように笑うレンは、本当に嬉しそうだ。
そうか、レンはお爺ちゃん子か。
俺にもそんな顔向けて欲しい。
「あとこれ、月夜花。
いっぱい取ったから、おすそわけ。
月花よりも甘い香りが強いから、花びらを日光で乾燥させて紅茶に入れると香りが移って美味しいよ。
お爺ちゃんが好きだったの。
でも生の花は絶対入れないでね」
「可愛らしいですね。
執務室に飾って楽しんでからやってみます」
今度は副団長が嬉しそうな顔をする。
大叔父の影響で花茶や花を浮かべて飲む紅茶が好きになったと聞いた事がある。
そういえば月花が月夜花に変わったとか言ってたな?
「ベルグルさん、これ」
蓋のついた小瓶にどす黒い液体と塊が入っている。
「何だ、これ?」
「死んだワイバーンの血と肉」
え、何でそんなもん取ってきた?!
団長も一瞬面食らったみたいだ。
「····なぜ?」
「変色はしてるけど、一夜あけても血が固まってないの。
夜の魔獣が死骸を始末してないのもおかしいんだよ」
「····感謝する」
それは確実におかしいだろう。
普通なら魔獣の血はすぐ固まるし、魔の森なんて魔獣がごろごろいるような場所なら新鮮な死骸なんか食い散らかされるはずだ。
「あとね、この森に落ちたワイバーンは初めてだけど、前はこの上をよく飛んでたの。
前より減ったと思ったら今度は竜人の侵入者が増えたんだけど、最近の竜人の死骸はね、以前と違って魔獣達は絶対食べないんだよ」
「レン、あなた何か知ってるんですか?」
「僕はここで生きてるから、外の事は知らないし、ファルが許さない事は本当はあまりしたくないの」
そう言って困ったように笑う。
多分何かに気づいてるんだろう。
今回団長達を助けてここまでしてくれた事もファルは気に入らないのかもしれないな。
「そうか。
教えてくれて礼を言う」
「そうですね。
ありがとう、レン」
2人共察したようだ。
「レン、竜人は強い。
ファルなら束になってかかられても大丈夫だろうが、隙をつかれてお前に危害が及ぶ事もあるかもしれん。
くれぐれも気を付けろ。
絶対誰かと一緒にいるようにするんだぞ」
「うん、ありがとうグランさん」
俺は名残惜しさにレンを抱き上げて1度抱き締めてレンの匂いをそれとなく嗅いでから、いつもより巨大化したウォンに3人でまたがる。
にしてもウォンの本来の大きさが計り知れないな。
そうしていつも通りの笑顔でレンは手を振って見送ってくれた。
俺達は森から出る手前でウォンと別れて俺の隊と合流すると、予想通り隊員達は口々に無事を喜んでいた。
その後すぐに団長と副団長の無事の知らせを伝令で知らせ王都入りを果たし、ここでも団の隊員達は上司2人の無事に喜んだ。
俺が一足先に送った他国の王族達は無事到着していたと報告を受け、一先ず俺の隊の任務は完了した事にほっとする。
明日までには各国の要人が揃い、国内の方々に散っていた隊も揃って明後日からの3日間の建国祭は要人警護が仕事となる。
このタイミングを逃せば時間が無くなる為、すぐに全ての隊長、副隊長が団長、副団長の名の元に召集され、会議が始まった。
大斧を取りに行ってくれたのか。
今度グランがここに来る時に何か持たせよう。
受け取ってくれ」
「ふふ、いっぱいモフモフさせてくれたし気にしなくて良いのに。
でもせっかくならお菓子が良い」
「わかった。
他に欲しい物ができたらグランを通して教えてくれ」
「ありがとう、ベルグルさん」
団長が大きな手で小さな頭をそっと撫でると、俺の好きなくすぐったそうな顔を団長に向ける。
ちょっとむかつく。
すると今度は副団長がズズイッと前に出た。
「私の名前はレイブ=ワルガロスです。
レイブと呼んでかまいませんから、お爺ちゃんはやめて下さい」
「レンカ=キサカだよ。
レンて呼んで。
お爺ちゃんみたいで格好いいのに····あれ、ワルガロス?」
おい、格好いいって何だ。
団長に引き続き副団長にもむかつく。
「グラン、殺気を飛ばさない。
レイブです。
世話になりました。
あなたのお爺さんの名前はレティッド=ワルガロスでしょう?
私の大叔父で、彼が旅立つまでは私の師匠でもあったんですよ。
大叔父の家族なら、血縁である私とは親戚です。
何かあれば頼りなさい」
「ふふふ、嬉しい。
ありがとう、レイブさん」
よろしい、と副団長が頷く。
これまでのにこにことした顔も当然に可愛らしいが、それとは比べられないような、花が咲いたように笑うレンは、本当に嬉しそうだ。
そうか、レンはお爺ちゃん子か。
俺にもそんな顔向けて欲しい。
「あとこれ、月夜花。
いっぱい取ったから、おすそわけ。
月花よりも甘い香りが強いから、花びらを日光で乾燥させて紅茶に入れると香りが移って美味しいよ。
お爺ちゃんが好きだったの。
でも生の花は絶対入れないでね」
「可愛らしいですね。
執務室に飾って楽しんでからやってみます」
今度は副団長が嬉しそうな顔をする。
大叔父の影響で花茶や花を浮かべて飲む紅茶が好きになったと聞いた事がある。
そういえば月花が月夜花に変わったとか言ってたな?
「ベルグルさん、これ」
蓋のついた小瓶にどす黒い液体と塊が入っている。
「何だ、これ?」
「死んだワイバーンの血と肉」
え、何でそんなもん取ってきた?!
団長も一瞬面食らったみたいだ。
「····なぜ?」
「変色はしてるけど、一夜あけても血が固まってないの。
夜の魔獣が死骸を始末してないのもおかしいんだよ」
「····感謝する」
それは確実におかしいだろう。
普通なら魔獣の血はすぐ固まるし、魔の森なんて魔獣がごろごろいるような場所なら新鮮な死骸なんか食い散らかされるはずだ。
「あとね、この森に落ちたワイバーンは初めてだけど、前はこの上をよく飛んでたの。
前より減ったと思ったら今度は竜人の侵入者が増えたんだけど、最近の竜人の死骸はね、以前と違って魔獣達は絶対食べないんだよ」
「レン、あなた何か知ってるんですか?」
「僕はここで生きてるから、外の事は知らないし、ファルが許さない事は本当はあまりしたくないの」
そう言って困ったように笑う。
多分何かに気づいてるんだろう。
今回団長達を助けてここまでしてくれた事もファルは気に入らないのかもしれないな。
「そうか。
教えてくれて礼を言う」
「そうですね。
ありがとう、レン」
2人共察したようだ。
「レン、竜人は強い。
ファルなら束になってかかられても大丈夫だろうが、隙をつかれてお前に危害が及ぶ事もあるかもしれん。
くれぐれも気を付けろ。
絶対誰かと一緒にいるようにするんだぞ」
「うん、ありがとうグランさん」
俺は名残惜しさにレンを抱き上げて1度抱き締めてレンの匂いをそれとなく嗅いでから、いつもより巨大化したウォンに3人でまたがる。
にしてもウォンの本来の大きさが計り知れないな。
そうしていつも通りの笑顔でレンは手を振って見送ってくれた。
俺達は森から出る手前でウォンと別れて俺の隊と合流すると、予想通り隊員達は口々に無事を喜んでいた。
その後すぐに団長と副団長の無事の知らせを伝令で知らせ王都入りを果たし、ここでも団の隊員達は上司2人の無事に喜んだ。
俺が一足先に送った他国の王族達は無事到着していたと報告を受け、一先ず俺の隊の任務は完了した事にほっとする。
明日までには各国の要人が揃い、国内の方々に散っていた隊も揃って明後日からの3日間の建国祭は要人警護が仕事となる。
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