《完結御礼》【溺愛中】秘密だらけの俺の番は可愛いけどやることしれっとえげつない~チートな番を伴侶にするまでの奔走物語

嵐華子

文字の大きさ
25 / 210

25.魔の森の侵入者達

しおりを挟む
「世話になった。
大斧を取りに行ってくれたのか。
今度グランがここに来る時に何か持たせよう。
受け取ってくれ」
「ふふ、いっぱいモフモフさせてくれたし気にしなくて良いのに。
でもせっかくならお菓子が良い」
「わかった。
他に欲しい物ができたらグランを通して教えてくれ」
「ありがとう、ベルグルさん」

 団長が大きな手で小さな頭をそっと撫でると、俺の好きなくすぐったそうな顔を団長に向ける。 
ちょっとむかつく。

 すると今度は副団長がズズイッと前に出た。

「私の名前はレイブ=ワルガロスです。
レイブと呼んでかまいませんから、お爺ちゃんはやめて下さい」
「レンカ=キサカだよ。
レンて呼んで。
お爺ちゃんみたいで格好いいのに····あれ、ワルガロス?」

 おい、格好いいって何だ。
団長に引き続き副団長にもむかつく。

「グラン、殺気を飛ばさない。
レイブです。
世話になりました。
あなたのお爺さんの名前はレティッド=ワルガロスでしょう?
私の大叔父で、彼が旅立つまでは私の師匠でもあったんですよ。
大叔父の家族なら、血縁である私とは親戚です。
何かあれば頼りなさい」
「ふふふ、嬉しい。
ありがとう、レイブさん」

よろしい、と副団長が頷く。
これまでのにこにことした顔も当然に可愛らしいが、それとは比べられないような、花が咲いたように笑うレンは、本当に嬉しそうだ。
そうか、レンはお爺ちゃん子か。
俺にもそんな顔向けて欲しい。

「あとこれ、月夜花。
いっぱい取ったから、おすそわけ。
月花よりも甘い香りが強いから、花びらを日光で乾燥させて紅茶に入れると香りが移って美味しいよ。
お爺ちゃんが好きだったの。
でも生の花は絶対入れないでね」
「可愛らしいですね。
執務室に飾って楽しんでからやってみます」

 今度は副団長が嬉しそうな顔をする。
大叔父の影響で花茶や花を浮かべて飲む紅茶が好きになったと聞いた事がある。
そういえば月花が月夜花に変わったとか言ってたな?

「ベルグルさん、これ」

 蓋のついた小瓶にどす黒い液体と塊が入っている。

「何だ、これ?」
「死んだワイバーンの血と肉」

 え、何でそんなもん取ってきた?!
団長も一瞬面食らったみたいだ。

「····なぜ?」
「変色はしてるけど、一夜あけても血が固まってないの。
夜の魔獣が死骸を始末してないのもおかしいんだよ」
「····感謝する」

 それは確実におかしいだろう。
普通なら魔獣の血はすぐ固まるし、魔の森なんて魔獣がごろごろいるような場所なら新鮮な死骸なんか食い散らかされるはずだ。

「あとね、この森に落ちたワイバーンは初めてだけど、前はこの上をよく飛んでたの。
前より減ったと思ったら今度は竜人の侵入者が増えたんだけど、最近の竜人の死骸はね、以前と違って魔獣達は絶対食べないんだよ」
「レン、あなた何か知ってるんですか?」
「僕はここで生きてるから、外の事は知らないし、ファルが許さない事は本当はあまりしたくないの」

 そう言って困ったように笑う。
多分何かに気づいてるんだろう。
今回団長達を助けてここまでしてくれた事もファルは気に入らないのかもしれないな。

「そうか。
教えてくれて礼を言う」
「そうですね。
ありがとう、レン」

 2人共察したようだ。

「レン、竜人は強い。
ファルなら束になってかかられても大丈夫だろうが、隙をつかれてお前に危害が及ぶ事もあるかもしれん。
くれぐれも気を付けろ。
絶対誰かと一緒にいるようにするんだぞ」
「うん、ありがとうグランさん」

 俺は名残惜しさにレンを抱き上げて1度抱き締めてレンの匂いをそれとなく嗅いでから、いつもより巨大化したウォンに3人でまたがる。
にしてもウォンの本来の大きさが計り知れないな。

 そうしていつも通りの笑顔でレンは手を振って見送ってくれた。

 俺達は森から出る手前でウォンと別れて俺の隊と合流すると、予想通り隊員達は口々に無事を喜んでいた。

 その後すぐに団長と副団長の無事の知らせを伝令で知らせ王都入りを果たし、ここでも団の隊員達は上司2人の無事に喜んだ。

 俺が一足先に送った他国の王族達は無事到着していたと報告を受け、一先ず俺の隊の任務は完了した事にほっとする。
明日までには各国の要人が揃い、国内の方々に散っていた隊も揃って明後日からの3日間の建国祭は要人警護が仕事となる。

 このタイミングを逃せば時間が無くなる為、すぐに全ての隊長、副隊長が団長、副団長の名の元に召集され、会議が始まった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!

エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」 華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。 縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。 そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。 よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!! 「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。 ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、 「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」 と何やら焦っていて。 ……まあ細かいことはいいでしょう。 なにせ、その腕、その太もも、その背中。 最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!! 女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。 誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート! ※他サイトに投稿したものを、改稿しています。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

【完結】そして異世界の迷い子は、浄化の聖女となりまして。

和島逆
ファンタジー
七年前、私は異世界に転移した。 黒髪黒眼が忌避されるという、日本人にはなんとも生きにくいこの世界。 私の願いはただひとつ。目立たず、騒がず、ひっそり平和に暮らすこと! 薬師助手として過ごした静かな日々は、ある日突然終わりを告げてしまう。 そうして私は自分の居場所を探すため、ちょっぴり残念なイケメンと旅に出る。 目指すは平和で平凡なハッピーライフ! 連れのイケメンをしばいたり、トラブルに巻き込まれたりと忙しい毎日だけれど。 この異世界で笑って生きるため、今日も私は奮闘します。 *他サイトでの初投稿作品を改稿したものです。

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

処理中です...