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32.不審者
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「休みを下さい、団長」
「····何日だ?」
「4日」
「····2日」
「チッ、3日」
「····わかった。
気持ちはわかるが舌打ちはやめろ。
渡して欲しい物を準備する。
3日待て」
「···わかりました」
もはやなんの為に休みたいかなど聞かれもしない。
俺は憮然とした顔で団長室を出てギリギリと歯軋りする。
あー!
やっぱり最初に1週間から交渉すれば良かったー!
3日とか短すぎないか?!
そして3日後、俺は許可を経て入った団長の執務室で副団長も揃ってこれでもかというほど手土産を渡された。
「多すぎません?!」
ちょっと待て!
俺がレンの為に用意した手土産の何倍だ?!
「これくらい持てるでしょう。
少しばかりお茶の箱がかさばってるだけです」
「森から出ないんだ。
食料も菓子もあった方が憂いがないし、レンは細すぎだ。
背も低いし、もっと食わせて人並みには成長させろ。
それにもう少し温かい格好をしないとすぐに風邪を引くだろう。
こないだは手が冷たかったぞ」
「····何であの可愛らしくてちっこくて柔らかい手をよりによって俺のいない時に触ってるんです」
「睨むな、不可抗力だ。
確かに可愛らしくてちっこくて柔らかい手だったが」
おい、微妙に熊の口許弛んでないか?!
「これに入れて行きなさい」
「え、収納魔鞄じゃないですか」
「これなら文句ないでしょう。
状態保存の魔法もかかってますから食べ物が傷む事もありません。
見返りはレンのお弁当でかまいませんよ。
またカラアゲが食べたいです」
「俺はあのサンドイッチが食べたい」
「レンが喜びます。
伝えておきますね」
「「じゃあ気をつけて」」
俺も詳しい事はよくわからないが収納魔鞄は魔法によって内部の空間を別の次元?と直結させて広くしているらしい。
とにかく色々な物がたくさん入れられて便利だが、空間魔法を扱える者自体が数が少なく、その上魔道具になるから高級品だ。
しかも状態保存までかけてるとか、どれだけ金と人脈に物言わせたんだ。
絶対魔の森出て直ぐに団長と副団長の人脈伝いに発注して追加料金払って仕上がりを急がせたに違いない。
このタイプなら牛2頭分くらいは余裕で入るが····元王族の俺でもこの短期間に手に入れるのは至難の技だ。
それこそ王族権限で王太子の兄上あたりから王室御用達のビビッド商会というその世界で3本の指に入るようなデカイ商会に大金払って優先的に作って貰ってやっと手に入るかどうかだ。
俺の番が俺のいない所で可愛がられたと思うといくらあの2人であっても何だか面白くないが、この鞄は有り難く使わせてもらおう。
次はもっと色々持っていこう。
団長の執務室を出て俺は最速ルートで森へ向かった。
王都からだからそれなりの距離があるが、軍の遠征でも使われる魔速馬という速さに特化した馬を用意した。
ワイバーンのように最短距離を飛ぶわけではないが、王都から通常は騎士が急いで5時間かかるのが俺とこの馬なら3時間程で森に着く。
森に近づくにつれて当然たわけど徐々に足取りは軽やになっていくし、顔はニマニマとし始めたが仕方ない。
とにかく久しぶりに俺の愛しいめちゃくちゃ可愛らしい良い匂いの番に会えるのだ。
抱きしめるし、匂いも嗅ぐし、給餌だってたくさんしたい。
レンの匂いが染み付いた何かを持って帰りたいが、許可してくれるだろうか。
馬には自力で王都へ戻るよう訓練しているから森の手前でそのまま離しておく。
森に入ってしばらくするとウォンがいつも通り迎えに来てくれた。
見慣れた小屋の前で降りてドアをノックしようとしたが、レン以外の気配に気付いて耳をすませる。
「それは嫌だって····」
「そんなん言わんといてや。
悪いようにせぇへんよ。
な、ほら、口開けてこれ入れて」
「えっ、ちょっ、んぅ、やぁ!」
「レン!」
おい、何されてる?!
内容が怪し過ぎるだろう!
不審者か?!
バン!と勢い良くドアを蹴破る。
涙目の黒とニンマリした青灰の細目がこちらを向く。
テーブルの椅子に腰掛けレンを左膝に横向きで乗せた焦茶短髪で細身の虎属が、左手はレンの肩に手を回し、右手はレンの口元でレンの両手に鷲掴みされている。
俺は問答無用でレンの脇に後ろから手を差し込み抱き上げる。
「お前、誰だ?!」
「いや、そっちこそ誰やねん」
「うー、不味い~」
独特の話し方をする商人風の男が訝しげにこちらを見る。
当然俺は睨み付けているが、大して気にしていないようだ。
レンはそんな俺達に構うどころではないらしく、口元を両手で押さえて俺の左腕に座って足をバタバタしている。
何か口に入っているようだが、吐かせた方が良いのか?
俺の考えている事をお見通しとばかりに男が水の入ったコップを差し出すとレンがふるふると震えながら手を伸ばす。
「レンちゃん出したらアカンよ。
ちゃんと飲み込まんと、また口に入れる事になるで」
「ん~、ん~」
レンは唸りながらコップを口元に運んで飲み込もうとしているようだがなかなか飲み込めない様子が····こんな時だがめちゃくちゃそそる。
体を震わせながら足をバタバタしているある意味器用で必死の姿が何とも殺人的に可愛らしい。
今回も着いて早々生殺し確定か?!
にしても、コイツ誰だよ?!
残念な何かを見るような目で見てるんじゃねぇ!
「····何日だ?」
「4日」
「····2日」
「チッ、3日」
「····わかった。
気持ちはわかるが舌打ちはやめろ。
渡して欲しい物を準備する。
3日待て」
「···わかりました」
もはやなんの為に休みたいかなど聞かれもしない。
俺は憮然とした顔で団長室を出てギリギリと歯軋りする。
あー!
やっぱり最初に1週間から交渉すれば良かったー!
3日とか短すぎないか?!
そして3日後、俺は許可を経て入った団長の執務室で副団長も揃ってこれでもかというほど手土産を渡された。
「多すぎません?!」
ちょっと待て!
俺がレンの為に用意した手土産の何倍だ?!
「これくらい持てるでしょう。
少しばかりお茶の箱がかさばってるだけです」
「森から出ないんだ。
食料も菓子もあった方が憂いがないし、レンは細すぎだ。
背も低いし、もっと食わせて人並みには成長させろ。
それにもう少し温かい格好をしないとすぐに風邪を引くだろう。
こないだは手が冷たかったぞ」
「····何であの可愛らしくてちっこくて柔らかい手をよりによって俺のいない時に触ってるんです」
「睨むな、不可抗力だ。
確かに可愛らしくてちっこくて柔らかい手だったが」
おい、微妙に熊の口許弛んでないか?!
「これに入れて行きなさい」
「え、収納魔鞄じゃないですか」
「これなら文句ないでしょう。
状態保存の魔法もかかってますから食べ物が傷む事もありません。
見返りはレンのお弁当でかまいませんよ。
またカラアゲが食べたいです」
「俺はあのサンドイッチが食べたい」
「レンが喜びます。
伝えておきますね」
「「じゃあ気をつけて」」
俺も詳しい事はよくわからないが収納魔鞄は魔法によって内部の空間を別の次元?と直結させて広くしているらしい。
とにかく色々な物がたくさん入れられて便利だが、空間魔法を扱える者自体が数が少なく、その上魔道具になるから高級品だ。
しかも状態保存までかけてるとか、どれだけ金と人脈に物言わせたんだ。
絶対魔の森出て直ぐに団長と副団長の人脈伝いに発注して追加料金払って仕上がりを急がせたに違いない。
このタイプなら牛2頭分くらいは余裕で入るが····元王族の俺でもこの短期間に手に入れるのは至難の技だ。
それこそ王族権限で王太子の兄上あたりから王室御用達のビビッド商会というその世界で3本の指に入るようなデカイ商会に大金払って優先的に作って貰ってやっと手に入るかどうかだ。
俺の番が俺のいない所で可愛がられたと思うといくらあの2人であっても何だか面白くないが、この鞄は有り難く使わせてもらおう。
次はもっと色々持っていこう。
団長の執務室を出て俺は最速ルートで森へ向かった。
王都からだからそれなりの距離があるが、軍の遠征でも使われる魔速馬という速さに特化した馬を用意した。
ワイバーンのように最短距離を飛ぶわけではないが、王都から通常は騎士が急いで5時間かかるのが俺とこの馬なら3時間程で森に着く。
森に近づくにつれて当然たわけど徐々に足取りは軽やになっていくし、顔はニマニマとし始めたが仕方ない。
とにかく久しぶりに俺の愛しいめちゃくちゃ可愛らしい良い匂いの番に会えるのだ。
抱きしめるし、匂いも嗅ぐし、給餌だってたくさんしたい。
レンの匂いが染み付いた何かを持って帰りたいが、許可してくれるだろうか。
馬には自力で王都へ戻るよう訓練しているから森の手前でそのまま離しておく。
森に入ってしばらくするとウォンがいつも通り迎えに来てくれた。
見慣れた小屋の前で降りてドアをノックしようとしたが、レン以外の気配に気付いて耳をすませる。
「それは嫌だって····」
「そんなん言わんといてや。
悪いようにせぇへんよ。
な、ほら、口開けてこれ入れて」
「えっ、ちょっ、んぅ、やぁ!」
「レン!」
おい、何されてる?!
内容が怪し過ぎるだろう!
不審者か?!
バン!と勢い良くドアを蹴破る。
涙目の黒とニンマリした青灰の細目がこちらを向く。
テーブルの椅子に腰掛けレンを左膝に横向きで乗せた焦茶短髪で細身の虎属が、左手はレンの肩に手を回し、右手はレンの口元でレンの両手に鷲掴みされている。
俺は問答無用でレンの脇に後ろから手を差し込み抱き上げる。
「お前、誰だ?!」
「いや、そっちこそ誰やねん」
「うー、不味い~」
独特の話し方をする商人風の男が訝しげにこちらを見る。
当然俺は睨み付けているが、大して気にしていないようだ。
レンはそんな俺達に構うどころではないらしく、口元を両手で押さえて俺の左腕に座って足をバタバタしている。
何か口に入っているようだが、吐かせた方が良いのか?
俺の考えている事をお見通しとばかりに男が水の入ったコップを差し出すとレンがふるふると震えながら手を伸ばす。
「レンちゃん出したらアカンよ。
ちゃんと飲み込まんと、また口に入れる事になるで」
「ん~、ん~」
レンは唸りながらコップを口元に運んで飲み込もうとしているようだがなかなか飲み込めない様子が····こんな時だがめちゃくちゃそそる。
体を震わせながら足をバタバタしているある意味器用で必死の姿が何とも殺人的に可愛らしい。
今回も着いて早々生殺し確定か?!
にしても、コイツ誰だよ?!
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