《完結御礼》【溺愛中】秘密だらけの俺の番は可愛いけどやることしれっとえげつない~チートな番を伴侶にするまでの奔走物語

嵐華子

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47.魔石具

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「よお、兄さん一昨日ぶり。
ザガド様もあばら折ってくれたぶりやん。
にしても兄さん顔が暗いなあ。
ザガド様は何でそんなボロボロなん?」
「····何でトビが団長達と一緒なんだ」
「黒竜直々に森から吹っ飛ばされた」
「ザガド様ざまぁやな。
兄さん、そら全員まとめて商会としてワルシャマリ国に入るからやんか。
俺ビビット商会の副会長やねん」

 あの後ファルは苛立ちをぶつけるかのようにザガドを森の外まで吹き飛ばし、森の外に出たらキョロについて行けと言われて俺も有無を言わさず転移でザガドの元に追い出された。

 キョロはすぐ迎えに来て町へ直行し、ビビット商会というこの大陸でも3本の指に入る商会の支部が入った建物の2階の窓に入った。
俺は獣体、ザガドは短距離転移と身体強化を使って追いかけた。
さすがに竜体になるには目立つのでやめたようだが、着いた時には息も絶え絶えだった。

 ちなみに俺達はちゃんと行儀良く出入口から入った。

 商会の従業員達はあらかじめ俺達の事を聞いていたらしく、2階のキョロが入った部屋に通してくれた。
ドアを開けたらトビと団長達までいたので真底驚いた。

 にしてもトビがビビット商会の副会長だったとは。
俺が騎士として王宮から出た後王室御用達となったから、トビの事はもちろん知らない。
確かトビの上司の会長は表に出ない事で有名だと聞いた事があるが、会長もグルだろう。

「レンちゃんは心配いらへんて。
むしろ気に入らんかったらワルシャマリ国殲滅してまうから、お得意様無くしそうでそっちが心配やわ。
ザガド様はしゃーないわ。
てかキョロから聞いたけど、何血の宣言なんかしてるん。
これまでとことん権力から逃げて来たのにどういう風の吹き回し?」
「····レンに叱られて色々気づいた。
今更だが、どうにかしたいと思った」

 トビが不意に真面目な顔になる。

「どうにかしたいでは失敗しまっせ。
絶対するっちゅう覚悟持ちなはれ。
王位はタイミング次第で簡単に手に入る。
せやけど続ける覚悟がないと維持できへんよ」

 言うだけ言って旅装した団長達を紹介する。

「こちらこの国の騎士団団長さんと副団長さん」
「騎士団団長のベルグル=ドランクだ。
国王陛下の命により、貴殿を手助けする事となった」
「騎士団副団長のレイブ=ワグナロスです」
「私はザガド=ワルシャマリ。
ワルシャマリ国の1番目の王弟だ。
なぜザッカルード国王が私を助けてくれる?」

 トビが説明を始めた。

「王位についたら月花の花びらの取り引きをうちの商会からザッカルード国を介してやりませんか。
ちなみに第2王弟は黒竜の番を拐った時点で各国王陛下達の逆鱗に触れてもた。
これで開国の理由付けと下の王弟廃嫡の理由が1つできましたやろ」
「各国王の逆鱗に触れたとはどういう事だ。
月花の花びらなどあの人数の麻薬中毒者を助けられる程の量はどこにもないはずだ」
「各国王陛下達にとって黒竜の番は特別で守るべき弱者であり、国の犠牲者と認識されてるからです。
月花はレンちゃんが頑張って少し前に収穫したんがたんまりあります。
まぁ王位継ぐ為の材料の1つやな。
開国に当たってはザガド様が王位につく場合に限りザッカルード国が他国の橋渡しをしてくれます。
今回の原因を作った現ワルシャマリ国国王と大好きなレンちゃん拐った王弟は論外らしいから、これで王位継承をザガド様が行う理由ができましたやろ。
せやけどまだ弱い。
まぁそこらへんはおいおいレンちゃんに期待やな」
「トビ、レンを巻き込むな。
あと何でうちの陛下がレン大好きなんだ」
「レンちゃんとここの陛下は爺さん介して昔からの知り合いや。
膝に乗せてお菓子食べさせる仲や。
それに兄さんわかってないなぁ。
巻き込んだんはレンちゃんやで。
あの子拐われた時に無抵抗やったんちゃう?」
「それは····」
「1つ言うとくけどレンちゃんは体最弱やけど白竜だけやなくて爺さんの愛弟子でもあるだけあって戦わせたら俺の知る中で1番強い。
昔森の外でレンちゃん拐われて魔力拘束具までつけられたにも関わらず魔力使ってフルボッコにした子やもん。
そんな子が理由もなく無抵抗やと思う?
さっさと第2王弟から引き離さんと、あの2人の性格上絶対カチ合ってまうから、むしろ王弟が危ないわ」
「····うちの大叔父はいたいけな子供に何を教えてたんですか。」
「魔力拘束具つけられて魔力でフルボッコってどうやったらできる?」

 衝撃が大きすぎて団長と副団長の話が頭に入ってこない。

 親父と昔からの知り合いで、給餌する仲だと?
親父が俺の知らない小さい頃のレンを知っているのか?
親父許さん!

「兄さん何考えてるかわかるような殺気と顔やめてや。
ま、そんなわけやから今から魔石具使ってさっさとワルシャマリ国のお城に入りましょか」
「そんな魔石具があるのか?!」

そんな便利グッズがあったら泥棒し放題じゃないか?!

「ホンマは行った事ない場所には行けへんし、これ一点ものやし転移できる人数もせいぜい1人だけ、距離の制限もあるんやけど、幸いレンちゃんが魔力補填したでっかい魔石が俺のと兄さん達合わせて4つ。
あそこの城にザガド様が張った結界もありますやん?
ザガド様が行き先を具体的に頭に思い浮かべて自分の結界の波長に合わせてくれたら、キョロが魔力の協調共鳴で力増幅させる特殊能力使って何とかする思うよ。
魔石具は壊れるかもしれんけど、レンちゃんがまた直すやろ」
「それ、まさかレンが····」
「兄さんご名答。
レンちゃんちょいちょい地下でこもるんは発明が趣味やからやねん。
番の新たな発見やな」

 はははとトビが笑うが、笑えねぇ。
レンが規格外すぎてどんどん突き放されてる気がする。

「ま、今回の事は番を知る良い機会ちゃう?
あの子もあんまり手加減する気ないみたいやし、何かに怒ってて暴走気味な感じもするしなぁ。
昔の師匠や俺の時みたいに拒絶とはちゃうけど、兄さんの事ふるい落としにかかってるんもあるかもな。
自分の手に負えんとか、怖いとか思ったらあの子傷付ける前に消えたってや。
あの子は去る人間は追わへんから」

 トビが俺の肩をポンポンと叩いて見透かしたように笑いかける。
目は全然笑ってないが。

「番だからじゃなくてレンだから諦めないって決めてる。
それにふるい落としたくなったならそれだけ関係が前進したって事だ」

 トビが一瞬真顔になって、笑いだした。

「めっちゃ前向きやん。
兄さん気に入ったわ。
へこたれたら愚痴くらい聞いたげるからいつでもおいでや。
ほな気持ち切り替えて行きましょか」

 トビが中央の台座に黒い魔石が固定された金細工の四角い魔石具をザガドに持たせる。
ザガドの肩にキョロが乗った。
俺達は赤、緑、黄、青の手の平サイズの魔石を持ってザガドを四方に囲む。

「ほなザガド様は城で自分が張った結界周辺で1番安全な場所を思い浮かべて魔力をその魔石具に流してや。
俺らは魔石に魔力流しながら、ザガド様の魔力に同調させていきましょか。
全員目は閉じてや。
キョロ、あとはよろしく」
「キョロ~」

 俺達は目を閉じてトビの指示通り魔力を流していった。
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