《完結御礼》【溺愛中】秘密だらけの俺の番は可愛いけどやることしれっとえげつない~チートな番を伴侶にするまでの奔走物語

嵐華子

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48.誘拐~ペネドゥルside

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「本当に人属とは脆弱な。
黒い髪と目に期待したが、しょせんは最弱種族だったか」

 私はペネドゥル=ワルシャマリ。
ワルシャマリ国第2王弟にして人属の番の為に休眠した愚かな兄でもある我が国の国王の代わりに摂政として国政を担っている。

 国王が眠りについてから約1年が経ち、私の政策に反論ばかり並べてまともに機能しなくなった我が国に不必要な重鎮達は排除した。
今では私の政策と方針に賛同する者ばかりとなった。

 しかし武力でもって他国を支配下に置いた上で開国の狼煙を上げる事については未だに積極的に賛同する者が少ないのは極めて遺憾だ。
だが国というものを動かすのだからそういう事もあろうと諦めてもいる。
だからみなが納得するよう仕向ける為に武力の向上、即ち役に立たない穀潰し共を駒にする事にした。
奴らも少しは国に貢献すべきだろう。

 それにしても····川を挟んだ隣国ザッカルードの魔の森の外れで拐った人属を見下ろして半ば呆れからため息を吐く。

 事の発端は通常の5倍の量となる月花の根の麻薬を投与して兵器となった竜人達を引き連れて魔の森の黒竜を説得に向かった事だ。
説得しきれなければ無理矢理連れ帰る算段もあったが、竜とはいえ元は王配という立場であり、救国の白竜と並んで国民に根強い支持を持つ。
面倒でも説得し、うまく私の後見につかせたかったのだ。

 まず兵器達は川に潜らせ、私は髪の色と同色の藍色の竜体になって目眩ましと気配消しの魔法をかけた。
目の色は人体と変わらない藤色だ。
木陰に隠れてどこから入るか様子をうかがっていると、何故かすぐ上の兄、ザガドが小さな人属と川の畔に現れた。

「世話になった。
それからすまなかった。
私が全てに筋を通した時、改めて君に会いに来ても良いか?」
「その時が来れば、君は必ず来なければいけなくなるよ。
ワルシャマリの王だけは魔の森の主が王と認めなければ真の王にはなれず、国は衰退する。
君のお兄さんはここに1度も来たことはないけどね」
「どういう····いや、それは私が調べ、考えなければならない事か。
それにしても君は本当によく知ってるな。
黒竜の番だからか?」
「さあ、どうだろう。
君が侵入者である事は間違いないから、これ以上は教えられないな」
「そうだな。
まずは出直してくる」
「ふふ、頑張ってね」

 なるほど、この人属は黒竜の番か!
白竜にも番がいたのだから、黒竜にいても不思議ではない。
しかも黒髪に黒目だと!
黒竜を我が国に再び呼び戻す餌か、ダメなら私の孕み腹でも良い。
本当であろうがなかろうが使える!

 私はすぐに潜らせた兵器達に念を送り、兄を襲わせた。
風の魔法を得意とする兄は近くの人属に配慮して疾風を纏って弾くだけに留めた。
しかし体重の軽い人属はこれまた予想通り、いやそれ以上によろめいた上に石に躓いて川に近付く。
随分どんくさいが、おかげで兄との距離ができた瞬間を狙って勢いをつけて人属に向かって突進する。

「レン!」

 誰だ?
耳と尻尾をみる限り獅子の獣人か。
一歩遅い。
私が下等種族に遅れを取る筈がなかろうに。

 簡単に折れてしまいそうな華奢な胴を握り潰さぬよう加減して掴み、更に加速した。
首元にチラリと革紐が見えた。
どうせ程度の低い石か何かだろうが、こんな森で装飾品など必要なかろうに。
人属が何かを叫んだが、大方助けでも求めたか。
無駄な事だ。

 追って来ようとする下等なお前達には兵器がお似合いだ。
しかし竜人が少しばかり吹き飛んだ程度でいつまで寝ているのだろうか。
かなり強い念を送って兵器達を叩き起こしてやる。

 私は後ろを振り返る事なく水面の上を自国に向かって突き進んだ。
魔の森の境界を抜けているとはいえ黒竜が追いかけてこないとも限らない。
そういえば人属の体でこの速さはまずいのか?
目を向けると風圧で飛んだ川の水がかかって全身ずぶ濡れになっている。

 風圧と水に呼吸がしにくいのか、いつの間にか外套のフードを目深く被り両手で握って顔を隠していた。
とりあえず人属の周りにだけ水壁を張ってやり、城へと急いだ。
脆弱過ぎると気を使うにも一苦労だ。
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