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55.魔力暴走
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「人属用の薬持ってたのか。
朝はまだ元気だったが、あんたらの朝飯作って坊主の所に戻ったらぐったりしててな。
俺が坊主見つけてから今まで梨とこれしか食ってねぇんだが、大丈夫か?」
男が心配そうな顔で俺のレンの顔をのぞき込む。
おい、近づき過ぎじゃないか。
レンは俺に渡して3歩大股で下がれよ。
「俺が見た人属の中でも群を抜いて虚弱体質やから、レンちゃんが関わる時は色々持ち歩いてんねん。
今は下手に食べさしたら吐いて余計体力落としてまうと思うわ。
昼は多分このまま寝てまうはずやから、夕方に消化の良い物出してくれへん?
アイスクリームも」
「わかった。
坊主はザガド様の宮か?」
トビがザガドを振り返る。
「あぁ、レンは私の客人として扱うと公言する。
ジェロム、ペネドゥルにはこれから気をつけろ。
私の側近だった者達全員が奴に狙われて危うくなるかもしれない。
レンを私の前で拐ったのはペネドゥルだが、レンを助けたのは私の元側近であったあなただ。
伏せてはいても城ではいつ奴の耳に入るかわからない」
「何で坊主はザガド様といたんだ?
つうかあんた何やってんだよ」
男がじろりとザガドを睨む。
「そりゃレンちゃんが魔の森に住んでるからや。
黒竜と喧嘩して侵入したザガド様守ったんもレンちゃんやで」
「は?!
黒竜と喧嘩って何だ?
坊主が何で黒竜と喧嘩になる?!
つうか何で魔の森になんか侵入してんだよ!」
男が焦ったように矢継ぎ早に尋ねる。
鎖国していても魔の森の恐さは知ってるんだな。
「あー、あれは見てる俺が冷やっとした。
黒竜に首絞められてもレンは平気な顔してむしろ俺に口出すなとか言うし、俺の番はつれなさすぎる」
本当につれない。
その首筋の匂い嗅いで落ち着きたい。
「うちのレンの首を絞めたですって?!
どういうことですか、グラン!」
「落ち着け、レイブ」
「レンはうちの親戚みたいなものですよ、ベルグル!
落ち着けるわけないでしょう!」
副団長の怒りが沸騰したのを団長が宥めるが、効果は無さそうだ。
「レンには申し訳ない事をしたが、お陰で私は目が覚めたんだ。
血の宣言をしたのも覚悟を····」
「おい!
血の宣言って何を宣言した?!
ザガド様は自分の立場を相変わらずわかってねぇのか?!」
男がレンを抱いたまま立ち上がって叫んだ。
大分騒がしくなったな。
あ、レンが苛っとしたのか顔をしかめてしまったな。
そう思った時だった。
バチバチィッ!
頭上で何かが爆ぜる。
全員思わず天井を見上げると、ジグザグの黒い跡が何本も増えていた。
「····うるさいの」
相変わらず可愛らしい声だったが、明らかに不機嫌な様子のレンが言うだけ言ってしかめっ面のまま目を閉じた。
「あー、とりあえず私の宮の客室に場所を移そう。
レンもゆっくり寝かせてやりたい。
すまないがジェロムも一緒について来ないないか?」
「わかった。
ほら、坊主はお前の番なんだろ?」
そう言うと小さな体を差し出してきた。
抱き上げた体は少し軽くなったみたいだ。
けれどやっと俺の腕に帰ったと思うと安心感がこみ上げる。
頬擦りしたいし色々舐め回したいが、人目もあるから我慢だ、俺。
「ああ。
俺はグランという。
俺の番が世話になった。
最初の態度が悪かったのは申し訳ない」
「ジェロムだ。
ガキは嫌いじゃないし、坊主には新しい料理のレシピを3つも貰えたんだ。
気にするな。
番が拐われたら気が気じゃねえのは仕方ねえよ。
眠っちまったみたいだな」
ジェロムは未だにぶすっとした顔のレンが眠ったのを確認して安心したように小さく笑う。
「俺はさっきの奴らに引き継ぎしてからそっちに行く。
ザガド様、わかってんだろうが、ちゃんと説明しろよ」
「あ、あぁ。
待っている」
ジェロムの気迫に圧されるようにザガドが頷いて俺達は厨房を出た。
朝はまだ元気だったが、あんたらの朝飯作って坊主の所に戻ったらぐったりしててな。
俺が坊主見つけてから今まで梨とこれしか食ってねぇんだが、大丈夫か?」
男が心配そうな顔で俺のレンの顔をのぞき込む。
おい、近づき過ぎじゃないか。
レンは俺に渡して3歩大股で下がれよ。
「俺が見た人属の中でも群を抜いて虚弱体質やから、レンちゃんが関わる時は色々持ち歩いてんねん。
今は下手に食べさしたら吐いて余計体力落としてまうと思うわ。
昼は多分このまま寝てまうはずやから、夕方に消化の良い物出してくれへん?
アイスクリームも」
「わかった。
坊主はザガド様の宮か?」
トビがザガドを振り返る。
「あぁ、レンは私の客人として扱うと公言する。
ジェロム、ペネドゥルにはこれから気をつけろ。
私の側近だった者達全員が奴に狙われて危うくなるかもしれない。
レンを私の前で拐ったのはペネドゥルだが、レンを助けたのは私の元側近であったあなただ。
伏せてはいても城ではいつ奴の耳に入るかわからない」
「何で坊主はザガド様といたんだ?
つうかあんた何やってんだよ」
男がじろりとザガドを睨む。
「そりゃレンちゃんが魔の森に住んでるからや。
黒竜と喧嘩して侵入したザガド様守ったんもレンちゃんやで」
「は?!
黒竜と喧嘩って何だ?
坊主が何で黒竜と喧嘩になる?!
つうか何で魔の森になんか侵入してんだよ!」
男が焦ったように矢継ぎ早に尋ねる。
鎖国していても魔の森の恐さは知ってるんだな。
「あー、あれは見てる俺が冷やっとした。
黒竜に首絞められてもレンは平気な顔してむしろ俺に口出すなとか言うし、俺の番はつれなさすぎる」
本当につれない。
その首筋の匂い嗅いで落ち着きたい。
「うちのレンの首を絞めたですって?!
どういうことですか、グラン!」
「落ち着け、レイブ」
「レンはうちの親戚みたいなものですよ、ベルグル!
落ち着けるわけないでしょう!」
副団長の怒りが沸騰したのを団長が宥めるが、効果は無さそうだ。
「レンには申し訳ない事をしたが、お陰で私は目が覚めたんだ。
血の宣言をしたのも覚悟を····」
「おい!
血の宣言って何を宣言した?!
ザガド様は自分の立場を相変わらずわかってねぇのか?!」
男がレンを抱いたまま立ち上がって叫んだ。
大分騒がしくなったな。
あ、レンが苛っとしたのか顔をしかめてしまったな。
そう思った時だった。
バチバチィッ!
頭上で何かが爆ぜる。
全員思わず天井を見上げると、ジグザグの黒い跡が何本も増えていた。
「····うるさいの」
相変わらず可愛らしい声だったが、明らかに不機嫌な様子のレンが言うだけ言ってしかめっ面のまま目を閉じた。
「あー、とりあえず私の宮の客室に場所を移そう。
レンもゆっくり寝かせてやりたい。
すまないがジェロムも一緒について来ないないか?」
「わかった。
ほら、坊主はお前の番なんだろ?」
そう言うと小さな体を差し出してきた。
抱き上げた体は少し軽くなったみたいだ。
けれどやっと俺の腕に帰ったと思うと安心感がこみ上げる。
頬擦りしたいし色々舐め回したいが、人目もあるから我慢だ、俺。
「ああ。
俺はグランという。
俺の番が世話になった。
最初の態度が悪かったのは申し訳ない」
「ジェロムだ。
ガキは嫌いじゃないし、坊主には新しい料理のレシピを3つも貰えたんだ。
気にするな。
番が拐われたら気が気じゃねえのは仕方ねえよ。
眠っちまったみたいだな」
ジェロムは未だにぶすっとした顔のレンが眠ったのを確認して安心したように小さく笑う。
「俺はさっきの奴らに引き継ぎしてからそっちに行く。
ザガド様、わかってんだろうが、ちゃんと説明しろよ」
「あ、あぁ。
待っている」
ジェロムの気迫に圧されるようにザガドが頷いて俺達は厨房を出た。
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