《完結御礼》【溺愛中】秘密だらけの俺の番は可愛いけどやることしれっとえげつない~チートな番を伴侶にするまでの奔走物語

嵐華子

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57.仲良し

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「お兄さんは人属の事を差別しないの?
僕が黒竜の番だから仕方なく助けようとしてくれたの?」 
「そうですね、陛下の伴侶への一連の対応で人属が番である事は好ましいとは思えなくなりました」

 ラスイードはレンの問いかけに困ったような顔をする。

「もちろん人属が悪いわけではなく、その体質が頑丈で長命、そして番への思慕が深い竜人には向かないと思うだけの話です。
だから私はペネドゥル様達のような竜人主義にはなれませんし、人属を不当に扱いたいとも思いません。
貴方が黒竜の番であってもなくても私は貴方を探したでしょう。
高熱で倒れた小さな子供を平気で捨て置く大人にはなりたくありませんから。
それに今の私はペネドゥル様に遣えています。
主の不手際は臣下である私が諌め、正しく行動せねばなりません」

 おい、緑よ、レンの頭を俺の許可なくなでるな!
俺だって今すぐなでたいんだぞ!

「····そっか。
ふふ、助けてくれてありがとう」

 ぐっ、俺の好きなくすぐったそうな顔が!

 ザガド、そんな目で見ても無駄だ。
お前よりレンの方が気になるに決まってる!

 すると今度はガタイの良い竜人が動き、緑越しに呆れたように話す。

「ありがとうって、坊主はもっと俺達にも怒って良いんだぞ。
無理矢理かっ拐われたんだろ?」
「んー、でもお兄さんに怒るのはちょっと違うし、僕はおじさんにもアイス作ってもらえたし」
「アイスが何かわかりませんが、貴方はもっと怒るべきです。
結局私は貴方を寝かして水を飲ませただけで、何もしなかったのと変わりません」
「そうだぞ。
俺だってレシピ貰うだけで大した事はしてねぇ」

 ラスイードとジェロムが2人がかりで怒れと迫ってくるのはいいが、どちらも竜人だけにデカイ分暑苦しい。

「何か2人似てる····」
「「それは違う(違います)」」
「似てるな」
「まぁ元々この2人は私の側近だったからペネドゥルの思想とは違うんだ」
「そうみたいだね。
そういえばザガドは今側近ていないの?」

 可愛らしい声がふと赤銅に尋ねる。
俺にも何か話しかけてくれ。

「····私の身から出た錆だ」
「それは····そうだろうな。」
「グラン、哀れんだ目を向けるな」
「血の宣言までしといて大丈夫?」

 とにかく可愛らしい声に緑がカッと反応した。

「血の宣言?!
ザガド様、貴方何やらかしたんですか?!
ご自分の立場を考えて行動して欲しいといつも言っていたでしょう!」

 緑、厨房でのデカイのと反応がほぼ同じだぞ。

「やっぱり似てる」
「おい坊主、それは心外だ」
「全くです。
こんな脳筋と同じにしないで下さい」
「実は仲良しさん?」
「「どこがだ(ですか)!」」

 息の合った否定にレンはクスクス笑う。
まだ熱は高く目は潤んでいるが、少し落ち着いたようでほっとする。

「それで、坊主は何者だ?
ただの人属じゃないだろう」

 おい、今度はデカイのが小っこい頭を撫でながら脇に避けておいた椅子を引いて座る。

 おい、俺の可愛い頭に勝手に触るな。

 ジロリと睨むが無視された。
他の2人もそれにならう。

「うーん····普通の人のはずだよ?
でも正直僕以外の人属とお話しした事もあまりないからわからないの。
森から出たのも何年かぶりだし、出ても近くの町に行ったくらいだし。
僕、そんなにおかしい?」

 困ったように俺にもたれるレンはやっぱり可愛らしいが、少し疲れてきたか?
汗ばんだその首筋を舐めたい。

 ん?
やっぱり何か首から下げてるな。

「あー、レン、普通の人は魔力拘束具を自分で無効化しない」

 俺はレンを後ろから軽く抱き締めてよしよしと頭を撫でながら教えてやる。
匂いの上書きだ。
よし、少し気分が落ち着いた。

 ジェロムの物言いたげな、残念な何かを見るような視線など気にもならない。

「あれは僕がしたんじゃないよ?」
「ん?
まさか私のいない間に他の誰かが侵入したんですか?
すぐに戻るつもりだったので侍従達にも立ち入るなと命じてあったのですが」
「ううん、違うの。
精霊さんにお願いしたの。
直接枷を外すのは難しいけど、魔力を抑えるだけの術の解除くらいならいつでもしてくれるよ?」

 絶対今きょとんとした無防備な顔を向けてるんだろうが、それは俺だけに見せて欲しい。
精霊の言葉にザガドが反応するが、邪魔だな。

「レンは精霊術が使えるのか?
まさか姿も見えるのか?」
「精霊術って何?
姿は見えてるし、お話しもできるから困った時は助けてくれるけど、変?
お爺ちゃんもそうだったしザガドも風の精霊さんと仲良いんでしょ?」
「確かに仲は良いが、せいぜい風の精霊が気まぐれに噂話を集めてくれるくらいで常に姿を見せてくれるわけじゃない。
精霊術としてなら精霊も助けに入ってくれるが、お願いで解呪はしてくれない。
お爺ちゃんというのは?」
「先代のザッカルード国騎士団団長だ。
レンはそもそも特殊な環境で育っている。
他に白竜も黒竜もいるからレンの普通はそもそも普通じゃないが、何が普通なのかわかっていないのも仕方ない。
レンが生活を共にして魔法やその他諸々教えたのもその3人だから、治癒魔法も含めてやり方が違うのかもしれん」

 ザガドが質問攻めにしそうだったので間に入る。
 
「レン、精霊術は精霊の力を借りた魔法と同じようなものだと今は思っておけ。
性質や威力は魔法とは違うがな。
精霊使いはそれなりにいるが姿を見て話せて、困ったらいつでも助けてくれる人は殆どいないんだ」
「この国の精霊さんが少ないからじゃなくて?」

 考えの違いに気付いたのか、俺の腕の中で驚きが見え隠れする声にも悶えそうだ。
背後から抱き締めているから表情が見えないのが悩ましい。

 しかし精霊が少ないのか?

「やはり少なくなっているのか。
精霊はそれに関して何か言っているか?
昔は頼まなくとも精霊は勝手に囁いていたが、今は頼むのも一苦労なんだ」

 ザガドも確か情報を集めるのに精霊を使えたんだったな。

「森と比べたらずっと少ないし、精霊はこの国自体が好きじゃないみたい?
えっと、嫌いとかじゃなくて?
やっぱり嫌い····苦手····うーん····居づらい?」
「坊主はどうすれば居やすいと思う?」

 ジェロムが前屈みになる。

「····ギスギスしない事?
この国って皆どこかに不安を抱えてるし、お城の中は竜人以外をどこか見下す人が増えてて気に食わない?
何か自然も少なくて変な人がいっぱい?
変な人?
どんな人だろ?」

 レンは1人小首を傾げて自問自答し始めたが、もしかして精霊に聞きながら話してるのか?

「坊主、精霊が何か教えてるのか?」
「あ、うん。
何か色々伝えたい事はあるんだけど、いっぱい集まっちゃって」

 少しずつ細い首筋が赤くなっている。
呼吸も早くなってきたか。

「貴方は少し眠りなさい。
体が辛そうですよ」
「····うん、ありがとう」

 俺が体を後ろにずらすとラスイードに促されるように布団に潜り込む。

「レン、こっちで話はしておく。
君は眠って早く回復させるんだ」
「いっぱい迷惑かけてごめんね」
「かけているのは私達の方だ。
小さいのに病気にまでしてしまった」

 ザガドが俺とは反対側からレンの真横に腰かけ、俺に謝るレンの頭をしばらく撫で続けるとレンは眠り始めた。
俺が撫で寝かしたかったのに。


※※※※※※※※※※
こちらのお話が長くなってしまったので、前のお話の最後に一部つけ足して文字数を調整しました。
よろしければ前のお話の後半500文字くらいを読んで下さい。
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