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102.爺さんの死~トビドニアside
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「わからへん。
俺はちょうど行商出てたし、黒竜に聞いても目を離した隙やって突然すぎたらしいわ」
俺は兄さんに答えながらあの時見た結界を思い出して背筋をぞくりとさせてまう。
ホンマに底が知れへん子。
ただ魔力が多いだけでは説明がつかへん創造と独創。
それはあの子の兄としての俺の小っちゃいプライドを刺激する事も度々あった。
誰の侵入も逃亡も許さへん高濃度の魔力が緻密に折り重なってできた何重もの魔力障壁。
それらが1つに折り重なった結界。
畏怖を覚えるほど完璧な白金のそれ。
やから異世界からの転移者で転生者やと聞いた時、何も驚かんかった。
むしろここより文明が進んだ世界やって知れば納得してしまう。
「黒竜の力も拒絶する結界があの小屋中心に森の1/4くらいに張られて爺さんと師匠とレンちゃん以外の生き物は全部はじいて籠ってもうたからお手上げやった。
こっちからは結界の表面が白金で中も見えへんかったから何が起こってるんかもわからへんかったしな」
「そんな強力な結界をそんなに広範囲に····」
やっぱり魔術師だけあってそれがどんだけのもんかわかるんやな。
愕然としつつ、切れ長の目には少しばかり好奇心がのぞいてるところが根っからの魔術師っぽいわ。
「レンちゃんは大体の事は教えてくれるけど、あの時何があったんかだけは絶対口を割らへん。
数週間して結界が解けてまず目についたんは繁ってたはずの木がなぎ倒されて、やたら見晴らしが良くなった荒地と粉々になったあの小屋やった。
師匠の姿はどこにも無かったし、レンちゃんは亡くなってた爺さんに覆い被さって衰弱しきってて生死の境をさ迷ってた。
その時からレンちゃんの魔力は半分になってて回復した事はあらへん」
「レンの祖父は殺されたのか?
それで白竜が狂ったのではないか?」
ぼんくら、目のつけどころはええけどそれは検討違いや。
「いや、老衰や。
爺さんは250才くらいやったはずやし、亡くなる1年くらいは肺を痛めててふせってる事が多くなってた。
これは俺の憶測やけど、レンちゃんは伴侶を亡くして狂った師匠を滅したんちゃうかな。
師匠がどうなったか聞いたら、もうおらんって返事だけはしたから。
爺さんが徐々に弱ってふせるようになってから師匠はちょっとずつ狂っていっててん。
あんな結界張る理由は最上位の竜を閉じ込める為以外には考えられへん」
師匠が時々魔力を制御せえへんで暴発さしてたんをレンちゃんがいつもしれっと無効化してた。
あの頃はレンちゃんも全然眠らんとそれに付き合ってたわ。
小っこいのに隈ができてた時もあって、いよいよになったら黒竜が隙をついて師匠とレンちゃんをまとめて昏倒さしてたっけな。
「最上位の竜が伴侶を失えば確実に狂うでしょうね。
それに番でもあったとなれば下手をすればいくつか国が滅びかねなかったでしょう」
「爺さんも師匠の様子を見てあらかじめレンちゃんにお願いしてたわ」
「····随分と酷な頼みをしたんだな」
兄さんはレンちゃんが爺さんの事を今でもどんだけ大事にしてるかわかってるからやろうな。
傷ましそうな顔で感情を押し殺したように低く呟いてるわ。
「気持ちはわかるけどな、兄さん。
師匠を殺せるんはあの時レンちゃんか黒竜しかおらへんかった。
レンちゃんの性格考えたらわかるやろ?」
「····ああ、そうだな。
レンなら黒竜に母親を殺させる事は絶対にしない。
黒竜がそれを良しとしても、レンはそれを許さないだろうな」
それでも····。
口の動きだけでとどめたんは誰も責められへんのがわかってるからやろうな。
衰弱したレンちゃんは峠を越えて目を醒ますまでずっと師匠と爺さんを泣きながら呼んでた。
黒竜もずっとレンちゃんの側から離れへんで深層意識に潜って働きかけ続けてて、あの時はもうこのままレンちゃんも死ぬかもしれへんて恐怖心がついて回ってたわ。
起きてからもレンちゃんは食欲もほとんど無くなってて、取り憑かれたみたいに徹夜で何か作業しては気絶したように眠ってを繰り返すようになってもうた。
体力と気力の回復にだいぶ時間がかかってもうて、体重も睡眠も昔に戻ったんがここ数年の話や。
獅子の王もあの頃はよく森に来てレンちゃんが好きそうな可愛らしい細工菓子····そういえば獅子の形したんばっかやったけど、手作りやなかったっけ?
あの人よく考えたら暇なんかな。
めっちゃマメやねんけど、さすが兄さんの父親やわ。
確か息子に攘夷するて言い出したんもあの頃やんな。
つい兄さんの顔を観察してまう。
獅子の菓子を給餌する時のあのデレッとした変態風な顔なんてそっくりやんか。
それはそうと、レンちゃんのあの時の憔悴っぷりのおかげで先が思いやられるくらいホンマは弱い子やったんやと実感するようになった。
その時から俺の小っちゃいプライドは意味が無いって心底馬鹿らしく思えたんよな。
「まあ爺さんが亡くなった時の事は置いといて話は戻るけど、こっからは終わった後から聞かされたり俺の想像での話になるで。
で、これからこの国で目的達成するんに俺らがやる事にも繋がるから、ちゃんと聞いてや」
3人は真剣な顔で頷いた。
俺はちょうど行商出てたし、黒竜に聞いても目を離した隙やって突然すぎたらしいわ」
俺は兄さんに答えながらあの時見た結界を思い出して背筋をぞくりとさせてまう。
ホンマに底が知れへん子。
ただ魔力が多いだけでは説明がつかへん創造と独創。
それはあの子の兄としての俺の小っちゃいプライドを刺激する事も度々あった。
誰の侵入も逃亡も許さへん高濃度の魔力が緻密に折り重なってできた何重もの魔力障壁。
それらが1つに折り重なった結界。
畏怖を覚えるほど完璧な白金のそれ。
やから異世界からの転移者で転生者やと聞いた時、何も驚かんかった。
むしろここより文明が進んだ世界やって知れば納得してしまう。
「黒竜の力も拒絶する結界があの小屋中心に森の1/4くらいに張られて爺さんと師匠とレンちゃん以外の生き物は全部はじいて籠ってもうたからお手上げやった。
こっちからは結界の表面が白金で中も見えへんかったから何が起こってるんかもわからへんかったしな」
「そんな強力な結界をそんなに広範囲に····」
やっぱり魔術師だけあってそれがどんだけのもんかわかるんやな。
愕然としつつ、切れ長の目には少しばかり好奇心がのぞいてるところが根っからの魔術師っぽいわ。
「レンちゃんは大体の事は教えてくれるけど、あの時何があったんかだけは絶対口を割らへん。
数週間して結界が解けてまず目についたんは繁ってたはずの木がなぎ倒されて、やたら見晴らしが良くなった荒地と粉々になったあの小屋やった。
師匠の姿はどこにも無かったし、レンちゃんは亡くなってた爺さんに覆い被さって衰弱しきってて生死の境をさ迷ってた。
その時からレンちゃんの魔力は半分になってて回復した事はあらへん」
「レンの祖父は殺されたのか?
それで白竜が狂ったのではないか?」
ぼんくら、目のつけどころはええけどそれは検討違いや。
「いや、老衰や。
爺さんは250才くらいやったはずやし、亡くなる1年くらいは肺を痛めててふせってる事が多くなってた。
これは俺の憶測やけど、レンちゃんは伴侶を亡くして狂った師匠を滅したんちゃうかな。
師匠がどうなったか聞いたら、もうおらんって返事だけはしたから。
爺さんが徐々に弱ってふせるようになってから師匠はちょっとずつ狂っていっててん。
あんな結界張る理由は最上位の竜を閉じ込める為以外には考えられへん」
師匠が時々魔力を制御せえへんで暴発さしてたんをレンちゃんがいつもしれっと無効化してた。
あの頃はレンちゃんも全然眠らんとそれに付き合ってたわ。
小っこいのに隈ができてた時もあって、いよいよになったら黒竜が隙をついて師匠とレンちゃんをまとめて昏倒さしてたっけな。
「最上位の竜が伴侶を失えば確実に狂うでしょうね。
それに番でもあったとなれば下手をすればいくつか国が滅びかねなかったでしょう」
「爺さんも師匠の様子を見てあらかじめレンちゃんにお願いしてたわ」
「····随分と酷な頼みをしたんだな」
兄さんはレンちゃんが爺さんの事を今でもどんだけ大事にしてるかわかってるからやろうな。
傷ましそうな顔で感情を押し殺したように低く呟いてるわ。
「気持ちはわかるけどな、兄さん。
師匠を殺せるんはあの時レンちゃんか黒竜しかおらへんかった。
レンちゃんの性格考えたらわかるやろ?」
「····ああ、そうだな。
レンなら黒竜に母親を殺させる事は絶対にしない。
黒竜がそれを良しとしても、レンはそれを許さないだろうな」
それでも····。
口の動きだけでとどめたんは誰も責められへんのがわかってるからやろうな。
衰弱したレンちゃんは峠を越えて目を醒ますまでずっと師匠と爺さんを泣きながら呼んでた。
黒竜もずっとレンちゃんの側から離れへんで深層意識に潜って働きかけ続けてて、あの時はもうこのままレンちゃんも死ぬかもしれへんて恐怖心がついて回ってたわ。
起きてからもレンちゃんは食欲もほとんど無くなってて、取り憑かれたみたいに徹夜で何か作業しては気絶したように眠ってを繰り返すようになってもうた。
体力と気力の回復にだいぶ時間がかかってもうて、体重も睡眠も昔に戻ったんがここ数年の話や。
獅子の王もあの頃はよく森に来てレンちゃんが好きそうな可愛らしい細工菓子····そういえば獅子の形したんばっかやったけど、手作りやなかったっけ?
あの人よく考えたら暇なんかな。
めっちゃマメやねんけど、さすが兄さんの父親やわ。
確か息子に攘夷するて言い出したんもあの頃やんな。
つい兄さんの顔を観察してまう。
獅子の菓子を給餌する時のあのデレッとした変態風な顔なんてそっくりやんか。
それはそうと、レンちゃんのあの時の憔悴っぷりのおかげで先が思いやられるくらいホンマは弱い子やったんやと実感するようになった。
その時から俺の小っちゃいプライドは意味が無いって心底馬鹿らしく思えたんよな。
「まあ爺さんが亡くなった時の事は置いといて話は戻るけど、こっからは終わった後から聞かされたり俺の想像での話になるで。
で、これからこの国で目的達成するんに俺らがやる事にも繋がるから、ちゃんと聞いてや」
3人は真剣な顔で頷いた。
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*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
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