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115.波紋
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『ぐうううぅぅぅぅぅ!』
『ジェロム、落ち着け!
私だ、ザガドだ!
ジェロム!』
あの王弟達が2人纏まってぶっ飛ぶ。
大衆が思わず息をのんだ。
「これは····」
「城に戻りますか、ベルグル?」
「ジェロムさん····どうして」
俺達は広場の片隅に集まって今後の動きを話し合っていたところでこの映像が流れた。
レイブが判断を仰いできて、レンと親しげに話していた青年は顔色を悪くして呆然と呟く。
ジェロムはレンカの言った通り酷い目に合ったようだが、まさかあの麻薬を使われるとは。
レンカが介入する事でいくらかマシになったと聞いたが、あの映像を見て本当にそうなのかと疑ってしまう。
しかし····。
「いや、俺達は俺達がすべき事をしよう。
あそこにはグランもトビもいる。
ダルシン、しっかりしろ。
それよりレイブ、首尾はどうだ?」
ひとまずは話題を変える。
ダルシンは俺と一緒に動いていたから聞く必要はない。
「過去にレンが見つけたというやたら質の高い魔石に根こそぎ魔力を持って行かれましたが、概ね補填し終わりました。
少なく見積もっても今日1日映像を流せるだけの補填にはなったはずです」
「そうか。
俺達の方は見ての通りこの広場への誘導も一段落した」
レイブは少しげっそりして心なしか耳が垂れているが、敢えて触れないでおこう。
「ご苦労。
なら暫くは俺達もこれを見ながら周囲の様子を監視するしかないな。
間違っても国民が血を流す事態だけは起こさせないようにせねばならない。
ダルシン、君は間違っても城に戻るなよ」
「でも!」
「そうですね。
あなたが行って、もし人質として捕らえられたらあちらの状況は更に悪くなります。
最悪あのように竜人のあなたに麻薬を使われたら?
厳しい言い方をしますが、身のほどをわきまえない行動は仲間を窮地に追い込みますよ。
自分の実力を過信しているわけではないでしょう?」
「····はい」
項垂れる青年の頭をレイブはぽんぽんと優しくなでる。
「ベルグルも言ってたでしょう。
あちらにはうちの騎士団の隊長と、先代の騎士団長が鍛えた虎属もいるんです。
それにあなたのよく知るこの国の魔術師のトップも、ついでにもう1人の王弟もいます」
レイブよ、王弟をついで扱いするのはやめておけ。
一応あれでも竜人の王弟だぞ。
あ、俺も一応って思っちまったな。
「そういう事だ。
それに裏で動いて支える者がいなければこういう大きな騒動では大抵失敗するものだ。
君は今回そうやって裏で支える役割なんだ。
まずは自分ができる事を焦らずにやり通せ」
「はい、そうですね。
ありがとうございます」
ダルシンは顔を上げる。
迷いや焦燥はまだあるだろうが、落ち着いたようだ。
レイブも頷いて、あの垂れ幕に映し出された映像に再び目をやる。
今、あの城の謁見の間が映し出されている。
ラスイードが仕掛けた隠し魔石具が事の顛末をありのままにこちらに映し出されるよう映像魔法と音声魔法が組み込まれていて、魔石具同士の共鳴によって映像と音声を転送しているらしい。
どういう仕掛けなのか聞くのは聞いたが、小難しくて俺の頭では理解できない。
ラスイードが好きそうな話だった。
やはりレンの作品らしく普通の魔石だと込める魔力をかなり食う為、質の良い魔石が必要となると聞いた。
相変わらずレンの魔石具は他人に厳しいな。
探索した時のあの魔石具みたいに昏倒しないだけマシだとあの軽い男が言っていたが、遠い目をしていた気がする。
顔はフードでわからなかったが。
取り敢えず謁見の間で現在進行形に起こっていることが目で見てわかる物だと理解する事にしておいた。
『ぐっ、貴様、我が主に手をだすとは!
死をもって償え!』
『うぉああああああ!』
『こやつ、洗脳が聞いておらぬのか!』
映像の中では狂人となったジェロム殿があの王弟と俺の子供になるかもしれないレンを虐げた許し難い緑野郎を連続で殴り付ける。
型もへったくれもなくただ殴るだけで緑野郎の剣はへし折れ、顔や腹に拳がめり込む。
ざまあみろと内心ほくそえんだ。
「ねえねえ、洗脳って何のこと?」
遠くの方で小さな子供の声が聞こえた。
聞き覚えがあるような気もするが、子供の高くて幼い声はどれも同じような声だからいつ聞いたかわからない。
レイブの耳がピクリとそちらに動く。
兎属は耳がいいから俺よりしっかり聞こえているはずだ。
「え····そういやさっきあの王様? になった王弟が言ってたな」
「うん、言ってたよ?
あの勝手に王様って言ってた人があの暴れてる人に麻薬使ったの?」
「え····それは····おい!
もしかしてあの王弟が麻薬中毒増やしたんじゃねぇのか!」
「何?!
そういや洗脳とか、さっきの虎属の言ってた話にお付きの騎士の反応もおかしかった!」
「うわぁ、そんな人が王様になるの?
僕、嫌だよ。
他に誰かいないの?」
「他····そうだ、ザガド様だ!」
「あそこであの暴れてる人を止めようとしてる人?」
「坊主は知らねぇか。
ザガド様は昔は城下にもよく来て俺ら国民の為に色々良くしてくれてたんだよ!」
「うわぁ、じゃあザガド様に王様になってもらおうよ!
ザガド様頑張ってー!」
「そうだ!
ザガド様だ!」
「ザガド様を王にしろ!」
「「「ザガド様頑張ってー!」」」
1人の子供の小さな疑問が投下され、小さな波紋が広がって少しずつ大きな波紋となっていくのを目の当たりにする。
最後は他の子供達も無邪気に応援を始めた。
『ジェロム、落ち着け!
私だ、ザガドだ!
ジェロム!』
あの王弟達が2人纏まってぶっ飛ぶ。
大衆が思わず息をのんだ。
「これは····」
「城に戻りますか、ベルグル?」
「ジェロムさん····どうして」
俺達は広場の片隅に集まって今後の動きを話し合っていたところでこの映像が流れた。
レイブが判断を仰いできて、レンと親しげに話していた青年は顔色を悪くして呆然と呟く。
ジェロムはレンカの言った通り酷い目に合ったようだが、まさかあの麻薬を使われるとは。
レンカが介入する事でいくらかマシになったと聞いたが、あの映像を見て本当にそうなのかと疑ってしまう。
しかし····。
「いや、俺達は俺達がすべき事をしよう。
あそこにはグランもトビもいる。
ダルシン、しっかりしろ。
それよりレイブ、首尾はどうだ?」
ひとまずは話題を変える。
ダルシンは俺と一緒に動いていたから聞く必要はない。
「過去にレンが見つけたというやたら質の高い魔石に根こそぎ魔力を持って行かれましたが、概ね補填し終わりました。
少なく見積もっても今日1日映像を流せるだけの補填にはなったはずです」
「そうか。
俺達の方は見ての通りこの広場への誘導も一段落した」
レイブは少しげっそりして心なしか耳が垂れているが、敢えて触れないでおこう。
「ご苦労。
なら暫くは俺達もこれを見ながら周囲の様子を監視するしかないな。
間違っても国民が血を流す事態だけは起こさせないようにせねばならない。
ダルシン、君は間違っても城に戻るなよ」
「でも!」
「そうですね。
あなたが行って、もし人質として捕らえられたらあちらの状況は更に悪くなります。
最悪あのように竜人のあなたに麻薬を使われたら?
厳しい言い方をしますが、身のほどをわきまえない行動は仲間を窮地に追い込みますよ。
自分の実力を過信しているわけではないでしょう?」
「····はい」
項垂れる青年の頭をレイブはぽんぽんと優しくなでる。
「ベルグルも言ってたでしょう。
あちらにはうちの騎士団の隊長と、先代の騎士団長が鍛えた虎属もいるんです。
それにあなたのよく知るこの国の魔術師のトップも、ついでにもう1人の王弟もいます」
レイブよ、王弟をついで扱いするのはやめておけ。
一応あれでも竜人の王弟だぞ。
あ、俺も一応って思っちまったな。
「そういう事だ。
それに裏で動いて支える者がいなければこういう大きな騒動では大抵失敗するものだ。
君は今回そうやって裏で支える役割なんだ。
まずは自分ができる事を焦らずにやり通せ」
「はい、そうですね。
ありがとうございます」
ダルシンは顔を上げる。
迷いや焦燥はまだあるだろうが、落ち着いたようだ。
レイブも頷いて、あの垂れ幕に映し出された映像に再び目をやる。
今、あの城の謁見の間が映し出されている。
ラスイードが仕掛けた隠し魔石具が事の顛末をありのままにこちらに映し出されるよう映像魔法と音声魔法が組み込まれていて、魔石具同士の共鳴によって映像と音声を転送しているらしい。
どういう仕掛けなのか聞くのは聞いたが、小難しくて俺の頭では理解できない。
ラスイードが好きそうな話だった。
やはりレンの作品らしく普通の魔石だと込める魔力をかなり食う為、質の良い魔石が必要となると聞いた。
相変わらずレンの魔石具は他人に厳しいな。
探索した時のあの魔石具みたいに昏倒しないだけマシだとあの軽い男が言っていたが、遠い目をしていた気がする。
顔はフードでわからなかったが。
取り敢えず謁見の間で現在進行形に起こっていることが目で見てわかる物だと理解する事にしておいた。
『ぐっ、貴様、我が主に手をだすとは!
死をもって償え!』
『うぉああああああ!』
『こやつ、洗脳が聞いておらぬのか!』
映像の中では狂人となったジェロム殿があの王弟と俺の子供になるかもしれないレンを虐げた許し難い緑野郎を連続で殴り付ける。
型もへったくれもなくただ殴るだけで緑野郎の剣はへし折れ、顔や腹に拳がめり込む。
ざまあみろと内心ほくそえんだ。
「ねえねえ、洗脳って何のこと?」
遠くの方で小さな子供の声が聞こえた。
聞き覚えがあるような気もするが、子供の高くて幼い声はどれも同じような声だからいつ聞いたかわからない。
レイブの耳がピクリとそちらに動く。
兎属は耳がいいから俺よりしっかり聞こえているはずだ。
「え····そういやさっきあの王様? になった王弟が言ってたな」
「うん、言ってたよ?
あの勝手に王様って言ってた人があの暴れてる人に麻薬使ったの?」
「え····それは····おい!
もしかしてあの王弟が麻薬中毒増やしたんじゃねぇのか!」
「何?!
そういや洗脳とか、さっきの虎属の言ってた話にお付きの騎士の反応もおかしかった!」
「うわぁ、そんな人が王様になるの?
僕、嫌だよ。
他に誰かいないの?」
「他····そうだ、ザガド様だ!」
「あそこであの暴れてる人を止めようとしてる人?」
「坊主は知らねぇか。
ザガド様は昔は城下にもよく来て俺ら国民の為に色々良くしてくれてたんだよ!」
「うわぁ、じゃあザガド様に王様になってもらおうよ!
ザガド様頑張ってー!」
「そうだ!
ザガド様だ!」
「ザガド様を王にしろ!」
「「「ザガド様頑張ってー!」」」
1人の子供の小さな疑問が投下され、小さな波紋が広がって少しずつ大きな波紋となっていくのを目の当たりにする。
最後は他の子供達も無邪気に応援を始めた。
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