《完結御礼》【溺愛中】秘密だらけの俺の番は可愛いけどやることしれっとえげつない~チートな番を伴侶にするまでの奔走物語

嵐華子

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116.捕縛ならず~sideベルグル

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 民衆の歓声を後押しするように、映像ではあの藍色の王弟がジェロムにどんどん追い詰められていた。
奴が水刃を放っても致命傷だけは綺麗に避けて後は受けるが、受けるそばから傷をうっすら鱗が覆い、剥がれては真新しい皮膚になる。

『おのれ、何という回復力を····何故洗脳が上手く、ぅぐぅ!
ぐっ、ぁが、ごぶっ····』

 王弟が腹を蹴られて蹲る。
そのまま馬乗りになって殴り始めた。

「やっぱり洗脳って言ったぞ!」
「ふざけんなよ!」

 民衆が口々に叫び出す。

『くそ!
主を放せ!』

 緑野郎は狂人の後ろから折れた剣で切りつけようとしたが、兵士の鎧を身につけたグランが恐らく拝借しておいた剣で弾く。

『何者だ!』
『····今はザガド様の兵士だ』

 そうだな。
嘘ではないな。

 グラン、緑野郎はお前の番を虐げたんだ。
しっかり灸をすえてやれ。

 緑野郎が殴りかかる。
しかしグランは避けて目標を見失った手首を掴み、剣を持ったまま緑野郎の顔に拳をお見舞いした。

『っがっ』
『立て。
俺の番を害した罪はまだまだこんなもんじゃ消えん。
黒竜にやられないだけマシだと思え!』

 目が獣のように血走ってるな。
間違いなく今までの緑野郎への鬱憤を晴らしにかかってるぞ。
しかしそうは言いながらも剣は腰の鞘に仕舞う。
まだ冷静なようだ。

 丸腰となった緑野郎も反撃するが、グランはことごとくいなす。
いなす度に蹴りや拳をお見舞いするが、剣も魔法も使わない。

 だが緑野郎も王弟の護衛騎士だけあって鍛えているはずだ。
実際拳や蹴りは鍛えている動きをしているし、時折だがグランの体のどこかをかすってはいる。
しかしグランは俺も知らぬ間に更に腕を上げたようだし、何より実戦経験の違いが出ている。
鎖国して敵がいない中で育った者に俺の部下、それも隊長格のグランが負けるわけがない。

「ちょっと、あの人あのお付きに自分の番を傷つけられたって言ってる!」
「ふざけんなよ!
番なんて早々見つからないもんを!
つうか何で黒竜様が出てくるんだ?」
「もしかしてファ、じゃない、黒竜の番も傷つけたんじゃないかな」
「何だと?!」
「ふざけんな!
あんな奴が王様なんてあり得ねぇ!」
「黒竜様の番に何しやがったんだ!」

 おい、何か今更に盛り上がった民衆の声に聞き捨てならない声が混ざってなかったか?!
ずっと似てるなとは思ってたんだが。

 レイブを思わず見やると····いや、何か悪魔の形相してんだが····。
ダルシンがいきなりの形相の変化について行けずにびびってるぞ。

「よし、魔石も全部補填し終わったし、休憩しちゃおっか~」

 軽い男が状況も考えずに相変わらずフードを被って後ろから参上した。

「流石にあの声を聞いて休憩はできませんよ」

 やっぱりそうか。
うちの子供があの中に紛れてるな。

 悪魔と化したレイブがズカズカといきり立つ民衆の中に入って行った。
ダルシンはそんなレイブをびびった顔で見送る。

 俺も知り合って初めて見た時はぶっちゃけびびったぞ。
レイブは草食系獣人のはずなんだけどな。

 だが今は慣れたし、俺は肉食系獣人だし、騎士団団長だし、気持ちの切り替えは簡単だ。
ダルシン、お前もいつかそうなるといいな。

 取り敢えずまだ厚みの少ない肩を頷きながらぽんと叩いて慰めておく。

 映像では途中までは上手くペネドゥルを断罪できるところまで持っていけたし、今や民衆はこの通りだ。
しかし····。

『ジェロム、もう止めろ!』

 ザガド殿が後ろから羽交い締めにするが、気を失った王弟からなかなか引き剥がせない。

『ザガド様はそっち抑えててや!』

 トビが王弟の方に周り、襟首を掴んで引きずってジェロムと距離を取る。
なかなかの荒行だが、多分これが1番手っ取り早い。
ラスイードが走り寄ってまずは魔力拘束具を後ろ手にさせてつけた。

『取り敢えず生きてるわ。
色々罪の証拠あるけど、この状態やったら後日やな』
『そうですね。
逃げないように縛りつけましょう』

 そう言うとラスイードが王弟の体を魔法で浮かして近くの円柱を背にして座らせ魔法の鎖で柱ごと縛りつけた。

「うわぁ、かっこ、きゃっふぅ!
レイ····?!」
「いらっしゃい」
「····はい」

 耳をすましていれば、どうやら悪魔化したレイブを目の当たりにして怪しい叫び声を上げて絶句したところにドスの利いた一声で色々悟って早々に白旗を上げて捕縛されたようだ。

 何よりだが····あの状態のレイブに捕まるとはな。
御愁傷様だが、まあ自業自得だぞ。

 一瞬民衆の真ん中辺りがシンとなった気がしたが、次の光景で再びざわつく。

 ザガド殿が振り飛ばされ、背を向けて反応が遅れたラスイードを庇ったトビが拳を腕で受けたものの力負けしてすぐ近くの壁に叩きつけられた。
間一髪のところでラスイードが自分ごと後ろの王弟の周りに張った障壁が間に合い、ジェロムの蹴りを防いだ。

「あの麻薬は本当に恐ろしいな。
3人がかりでも圧されている」
「仕方ないよ。
ジェロムがそもそも強いんだからさ」

 あたかも知っているかのような口ぶりだ。

「あの、あなたは誰ですか?
俺、どこかで会った気がするんです」

 ダルシンが訪ねるのに俺も便乗する。

「君は何者なんだ?
商会員にしては強すぎるし、色々知っていそうだが」
「うーん、まだ秘密。
つうかさ、レンが消えたね」

 は?!
消えた?!

「ベルグル、逃げられました!」

 すぐに血相を変えたレイブが民衆の一団から飛び出してきた。

「ダルシン!」
「モンテ?!」

 と思ったらレンが助けたあの狼属の青年がダルシン目掛けて必死の形相で突進してくる。

「レンがいなくなった!」

 俺は一瞬で嫌な予感に苛まれ、映像に目を向けた。
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