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130.親父登場
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レンの状態が落ち着き、無表情ながらもどこか安心した様子のファルが一旦森へ戻った。
長く森を離れる事は難しいらしい。
そして今は当然のように俺は2人きりとなったこの時間をしっかり堪能していた。
何はともあれレンの命の危機を脱したのが嬉しくて仕方ない。
まだ状態が悪いのは承知していても、危機感を煽っていた死の気配が遠退いた事に心底安堵している。
もちろん急な成長を遂げた事には未だに驚いてはいても、レンのこれまでが驚かされる事の連続で、ある意味慣れてしまったんだろう。
それよりもこの濃厚で品のある花の香りを気づけば何度も嗅いでいた。
とにかく飽きない。
寝顔だってどれだけ凝視しても全然飽きない。
少し大人っぽくなったが、今でやっと14才と言われれば納得できない事もない顔になった。
もちろん体の大きさからすれば、正直14才でも無理があるけれど。
しかし今問題なのは香りから子供特有の乳の香りが無くなった事だろう。
雌という間違いなくこの世界ではたった1人の稀有な存在だ。
ぶっちゃけ今すぐ騎士を辞めてレンをどこかに隠したい。
今の状況は危険だ。
お世辞抜きにしてもこの顔とこの香りはメルが好む。
挙げ句まだメルの香りが付けられていない、黒を纏う人属だ。
またいつ拐われるかと気が気でない。
レンがどれだけ魔力が多く、竜人ですら簡単に倒せるほど強くても今みたいに倒れてしまえばいくらでも組敷ける。
雌だからか人属の中ですらも純粋な力では非力でしかない。
しかも雌。
ばれればメルならこぞって拐いに来るし、教会の根本を揺るがす存在に命を狙われる可能性も高い。
考えれば考えるほど今のこの状況は恐ろしい。
早く組敷いて自分の香りを付けろと叫ぶ獣人としての本能をなけなしの理性と騎士の矜持で何とか抑え込んでいるのが現状だ。
触れたい。
この赤味と艶を取り戻した唇を堪能したい。
本能的に襲いそうで、少しでも触れると何かが弾けそうで触れられない。
そうやってジレンマに苛まれながら寝顔を凝視していた時だ。
突然ドアの向こうが騒がしくなった。
何だ?
と思ったら、バン、と勢い良くドアが開いた。
「レンちゃーん、ベル爺じゃぞー!」
突然見知った顔の獅子属が飛び込んで来た。
「は?!
親父?!」
「陛下お待ち下さい!
団長達を振り切ってます!」
やべ、思わず親父と呼んでしまった。
しかし何でここに?!
しかもかつてないほどにデレッとした顔だ。
ぶっちゃけどこの変態爺かと思うぞ。
ベルガモルト=ザッカルード。
自国では歴代の王の中で叡知王と呼ばれる初代に次ぐ人気を持った王で、言わずもがな俺の父親だ。
後に続くのは我が国の王太子で、実の兄だ。
2人は外見が良く似ていて金髪は俺も同じだが、あっちの目は深い緑色だ。
兄上はちゃんと陛下呼びをしている。
まぁ気心知れた奴しかいないから今はいいか。
「何でこんなとこに来た?!」
「お前が不甲斐ないからじゃ、グラン!」
何とか取り繕うも俺の前に仁王立ちして威圧してくる憤怒の親父。
「何故儂のレンちゃんがお前の番なのじゃ!
しかもまともに番も守れぬとは!
お前なぞレンちゃんの番とは認めぬ!」
「いや、親父のレンとかどういう事だ!
レンは俺のだ!
レンちゃんとか馴れ馴れしいだろうが!」
「黙れ小童!
後から出てきてかっ拐うとか許せぬ!」
「ふざけんな、クソ親父!」
「何じゃと!
やるのか!」
「やってやるよ!」
お互い威圧を掛け合い一触即発状態になる。
ちなみに親父と俺の性格はよく似ているらしい。
認めてないけどな!
「んぅ····」
不意に可愛らしい声がした。
見れば眉をしかめながら黒目が少しだけ開く。
ぐっ、少しだけ成長して低くなった声も相変わらず良い。
レンが雑音を遮るように布団にうつ伏せになりながらずるずると潜っていく。
何だこの可愛いの。
「わ、悪い、レン。
起こしたな」
「レンちゃん、久しぶりじゃあ。
しばらく見ぬ間に成長したのぉ。
子供の香りのレンちゃんも良かったが、大人の香りのレンちゃんも色っぽいのぉ」
「父上、流石に発言が変態です。
自重なさって下さい」
あ、兄上も少し口調が砕けた。
「····ベル爺?」
再びモソモソと可愛い頭がうつ伏せになって降臨してくる。
どうでもいいが、ベル爺って何だ?!
「そうじゃぞ、レンちゃん!
お待ちかねのベル爺じゃ」
おい、嬉しそうだな、親父。
にやけた顔に殺意が沸くわ。
絶対待ってねぇ!
レンは布団を肩に引っ掛けたまま起き上がってペタリと座る。
長くなった前髪が顔を半分ほど隠しているが、それも色っぽさを演出している。
顔色は少し良くなったな。
「ホントだぁ。
森の外で会うの、お爺ちゃんがいた時以来だねぇ」
まだ頭がはっきりしていないのか、にこにこ、ぽやぽやと話す。
「うんうん。
倒れたと聞いて気が気でなかったぞ。
体はどうじゃ?
まだ熱があるようじゃが」
おい、しれっと前髪耳にかけてやったりベタベタ可愛い額に触るな。
「親父····」
「なんじゃ、グラン。
心の狭い男は嫌われるぞぉ」
からかう親父が本気で腹立つ。
マジでぶっ飛ばしたい。
「おやじ?
グランさん知り合い?」
レンが俺の言葉にコテリと首を傾げる。
まだぼうっとした顔がそそる。
あ、もしかしてただのオッサンて意味のオヤジだと思ったか?
「レン、この2人は俺の父親と兄だ」
「····本当の?」
「ああ、血の繋がった家族だ」
「えと····グランさんて····王子、だったよね?」
「まぁ立場上は」
「····ベル爺は、じゃあ····」
戸惑った様子で俺と親父を交互に見つめる。
「あ、儂ザッカルードの国王なんじゃ」
軽いな、クソ親父。
目が覚めた顔のレンが完全に固まったぞ。
「でもでも、あとちょっとでコッチに王位譲るからの。
そうしたらレンちゃんの小屋で一緒に過ごそうのぅ」
····理解不能。
「おい、何を満面の笑みで寝ぼけた事言ってるんだ?!
俺が許すわけないだろう!」
「父上?!
何を考えていらっしゃるのです?!」
「えぇい、うるさいのじゃ!
儂はレンちゃんとの隠居生活を楽しみにレティッド亡き後は政務を行ってきたのじゃ!
邪魔するなど鬼の所業じゃ!」
「····」
俺達の応酬にもレンはオロオロとするばかりだが、そんな所も可愛い。
あー、レンに着せた俺のブカブカのシャツの隙間から覗く鎖骨を舐めたい。
長く森を離れる事は難しいらしい。
そして今は当然のように俺は2人きりとなったこの時間をしっかり堪能していた。
何はともあれレンの命の危機を脱したのが嬉しくて仕方ない。
まだ状態が悪いのは承知していても、危機感を煽っていた死の気配が遠退いた事に心底安堵している。
もちろん急な成長を遂げた事には未だに驚いてはいても、レンのこれまでが驚かされる事の連続で、ある意味慣れてしまったんだろう。
それよりもこの濃厚で品のある花の香りを気づけば何度も嗅いでいた。
とにかく飽きない。
寝顔だってどれだけ凝視しても全然飽きない。
少し大人っぽくなったが、今でやっと14才と言われれば納得できない事もない顔になった。
もちろん体の大きさからすれば、正直14才でも無理があるけれど。
しかし今問題なのは香りから子供特有の乳の香りが無くなった事だろう。
雌という間違いなくこの世界ではたった1人の稀有な存在だ。
ぶっちゃけ今すぐ騎士を辞めてレンをどこかに隠したい。
今の状況は危険だ。
お世辞抜きにしてもこの顔とこの香りはメルが好む。
挙げ句まだメルの香りが付けられていない、黒を纏う人属だ。
またいつ拐われるかと気が気でない。
レンがどれだけ魔力が多く、竜人ですら簡単に倒せるほど強くても今みたいに倒れてしまえばいくらでも組敷ける。
雌だからか人属の中ですらも純粋な力では非力でしかない。
しかも雌。
ばれればメルならこぞって拐いに来るし、教会の根本を揺るがす存在に命を狙われる可能性も高い。
考えれば考えるほど今のこの状況は恐ろしい。
早く組敷いて自分の香りを付けろと叫ぶ獣人としての本能をなけなしの理性と騎士の矜持で何とか抑え込んでいるのが現状だ。
触れたい。
この赤味と艶を取り戻した唇を堪能したい。
本能的に襲いそうで、少しでも触れると何かが弾けそうで触れられない。
そうやってジレンマに苛まれながら寝顔を凝視していた時だ。
突然ドアの向こうが騒がしくなった。
何だ?
と思ったら、バン、と勢い良くドアが開いた。
「レンちゃーん、ベル爺じゃぞー!」
突然見知った顔の獅子属が飛び込んで来た。
「は?!
親父?!」
「陛下お待ち下さい!
団長達を振り切ってます!」
やべ、思わず親父と呼んでしまった。
しかし何でここに?!
しかもかつてないほどにデレッとした顔だ。
ぶっちゃけどこの変態爺かと思うぞ。
ベルガモルト=ザッカルード。
自国では歴代の王の中で叡知王と呼ばれる初代に次ぐ人気を持った王で、言わずもがな俺の父親だ。
後に続くのは我が国の王太子で、実の兄だ。
2人は外見が良く似ていて金髪は俺も同じだが、あっちの目は深い緑色だ。
兄上はちゃんと陛下呼びをしている。
まぁ気心知れた奴しかいないから今はいいか。
「何でこんなとこに来た?!」
「お前が不甲斐ないからじゃ、グラン!」
何とか取り繕うも俺の前に仁王立ちして威圧してくる憤怒の親父。
「何故儂のレンちゃんがお前の番なのじゃ!
しかもまともに番も守れぬとは!
お前なぞレンちゃんの番とは認めぬ!」
「いや、親父のレンとかどういう事だ!
レンは俺のだ!
レンちゃんとか馴れ馴れしいだろうが!」
「黙れ小童!
後から出てきてかっ拐うとか許せぬ!」
「ふざけんな、クソ親父!」
「何じゃと!
やるのか!」
「やってやるよ!」
お互い威圧を掛け合い一触即発状態になる。
ちなみに親父と俺の性格はよく似ているらしい。
認めてないけどな!
「んぅ····」
不意に可愛らしい声がした。
見れば眉をしかめながら黒目が少しだけ開く。
ぐっ、少しだけ成長して低くなった声も相変わらず良い。
レンが雑音を遮るように布団にうつ伏せになりながらずるずると潜っていく。
何だこの可愛いの。
「わ、悪い、レン。
起こしたな」
「レンちゃん、久しぶりじゃあ。
しばらく見ぬ間に成長したのぉ。
子供の香りのレンちゃんも良かったが、大人の香りのレンちゃんも色っぽいのぉ」
「父上、流石に発言が変態です。
自重なさって下さい」
あ、兄上も少し口調が砕けた。
「····ベル爺?」
再びモソモソと可愛い頭がうつ伏せになって降臨してくる。
どうでもいいが、ベル爺って何だ?!
「そうじゃぞ、レンちゃん!
お待ちかねのベル爺じゃ」
おい、嬉しそうだな、親父。
にやけた顔に殺意が沸くわ。
絶対待ってねぇ!
レンは布団を肩に引っ掛けたまま起き上がってペタリと座る。
長くなった前髪が顔を半分ほど隠しているが、それも色っぽさを演出している。
顔色は少し良くなったな。
「ホントだぁ。
森の外で会うの、お爺ちゃんがいた時以来だねぇ」
まだ頭がはっきりしていないのか、にこにこ、ぽやぽやと話す。
「うんうん。
倒れたと聞いて気が気でなかったぞ。
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まだ熱があるようじゃが」
おい、しれっと前髪耳にかけてやったりベタベタ可愛い額に触るな。
「親父····」
「なんじゃ、グラン。
心の狭い男は嫌われるぞぉ」
からかう親父が本気で腹立つ。
マジでぶっ飛ばしたい。
「おやじ?
グランさん知り合い?」
レンが俺の言葉にコテリと首を傾げる。
まだぼうっとした顔がそそる。
あ、もしかしてただのオッサンて意味のオヤジだと思ったか?
「レン、この2人は俺の父親と兄だ」
「····本当の?」
「ああ、血の繋がった家族だ」
「えと····グランさんて····王子、だったよね?」
「まぁ立場上は」
「····ベル爺は、じゃあ····」
戸惑った様子で俺と親父を交互に見つめる。
「あ、儂ザッカルードの国王なんじゃ」
軽いな、クソ親父。
目が覚めた顔のレンが完全に固まったぞ。
「でもでも、あとちょっとでコッチに王位譲るからの。
そうしたらレンちゃんの小屋で一緒に過ごそうのぅ」
····理解不能。
「おい、何を満面の笑みで寝ぼけた事言ってるんだ?!
俺が許すわけないだろう!」
「父上?!
何を考えていらっしゃるのです?!」
「えぇい、うるさいのじゃ!
儂はレンちゃんとの隠居生活を楽しみにレティッド亡き後は政務を行ってきたのじゃ!
邪魔するなど鬼の所業じゃ!」
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