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142.こ、子供?!
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「待たせたな」
奥の部屋からすぐに戻ってきた前国王の手には薄い長方形の黒い板が握られている。
転移した部屋に配置されていた丸テーブルを囲んで座って待っていた俺達の所に来るとその板をテーブルの真ん中に置いてザガドとトビの間に腰かける。
表面は硝子製なのか光沢があって、黒い断面には顔が移るくらいに磨かれている。
「それは何ですの?」
トビも初めて目にする板に不思議そうだ。
「ヨハンがあちらの世界から唯一持ち込んだタブレットという映像が見られる物だ」
「は?!」
「嘘やろ?!」
「兄上?!」
俺は呆けそうになるし、トビは驚きに目を見開くし、ザガドは兄の言動に信じられないと驚愕していた。
「確かあちらの物は持ち込めないし、持ち込んではならない決まりだと····」
「そうだ。
それはヨハンにもあらかじめ伝えていたんだ。
だが本当に持ち込めないかは誰も試した事は無かっただろう?
あちらの服や装飾品は身に付けたままで転移できると聞いて、ヨハンはそれならと服の下に隠して持って来ていたんだ。
ただ異世界の物がこちらの世界に悪影響を及ぼす可能性はあったから、使う時はこの部屋でだけだと約束していた」
····どうやら伴侶はやらかし体質らしい。
「どうしても思い出を手元に置いておきたかったといわれると取り上げたり壊したりできなかった。
あちらでは思い出を映像に残す技術が素晴らしくてね。
手軽に残せて楽しめる環境なんだと言っていた」
そう言いながら机に置いたそれの端についている何かを押す。
すると真っ黒だった硝子の板が光って絵が映る。
それを手慣れた感じで触れていくと、急に幼いレンと金髪碧眼の少年が仲良く並んで笑う映像が映し出されて心臓がドクリと嫌な音を立てた。
金髪のコイツ誰だよ?!
だが良く見るとレンの目は青色だし、雰囲気が違う。
この子はもっと快活そうだ。
レンじゃないのか?
「ヨハンが子供の頃に写したお気に入りの1つだと言っていた。
金髪の少年がヨハンだ」
「ほなこっちの子は?」
「その子がヨハンと同じ病を患っていた番殿の子供だ」
「「····は?」」
ザガドは何となく予想していたようで少し目を大きくしただけだったが、トビは唖然としているし、俺は呆然自失状態に陥る。
「え、ちょお待って。
レンカちゃんて子持ちやったん?!
初耳やん。
え、子供が子供産んだん?!
相手····そうや、子供の父親は?!
まさか異世界は相手無しに子供に子供が出来るとか?!」
「お、落ち着け副会長!
グラン、しっかりしろ!
戻って来い!」
トビが思わず立ち上がり、焦りに焦った様子で巡りに巡る脈絡の無い思考回路を口に出す。
ザガドはそれをなだめつつ、目と口を開けてぼうっとする俺をゆすって声をかける。
そうさせた藍色の張本人だけが面白い物を見るようににこにこと笑っている。
「そうか、あちらでの番殿を君達は知らないのか。
だとしたら君達にはかなり刺激の強い映像になるかもしれないんだが····どうしようか?」
試すような物言いに、ふと我に返る。
トビも同じようにピタリと口をつぐむ。
「それは映像を見られる魔石具のようなもので、もしかしてあちらの世界でのレンカの映像も見られる、と?」
「ああ、だから番殿の事がわかったのだ」
「····兄上」
トビは何か物言いたげな顔をしているが、それ以上は何も言わずにただ俺の顔を見つめてきた。
ザガドは逆に兄の真意を探るように隣をのぞき込む。
大丈夫だ、トビ。
俺はトビに頷いてから前国王をひたと見た。
ザガドはそんな俺達のやり取りを静観する。
「ドゥニーム前国王陛下。
本心を言えば俺は異世界での番の事を知りたい。
異世界にいた事を知ったのもつい先日だ。
子供がいた事も、あちらでどんな生き方をしていたのかも何も知らない。
だがこれ以上は本人から直接聞きたい。
俺達は知り合ってまだ間がないし、人属のレンは獣人と違って番だからとすぐに受け入れては貰えない。
それにあの子が何かに傷ついていても教えもは貰えない。
それでも俺はあの子が教えてくれるまで待ち続けます。
レンの、レンカの過去がどうであれ俺の愛は揺るがないから、いつまででも待てるんです」
はっきりと断りを入れて立ち上がる。
「せやな。
レンカちゃんに子供がおったんはびっくりやけど、だからいうて俺もレンちゃんやレンカちゃんへの家族としての情は何も変わらへんし、レンちゃんから教えて貰わんと後々バレた時にあの子を傷つけそうやから今は遠慮しときます」
トビも同じように立ち上がった。
「そうか。
ならば強制はしない。
試すような事をしてしまってすまなかったな。
伴侶の初恋の相手が突然現れてつい意地の悪い事をしてしまった」
「兄上····」
やっぱりコイツ嫌いだな。
反省なんかしてない顔してんなよ。
つうか初恋の相手ってどういう事だよ。
兄上大好きなザガドも呆れてるぞ。
まあ気持ちはわからなくもないが。
「それでは」
「ほなまた後で」
トビも俺も疲れた顔をしていたに違いない。
どのみちこれから休憩だ。
そうだ、憩いの時間を過ごしに行こう。
奥の部屋からすぐに戻ってきた前国王の手には薄い長方形の黒い板が握られている。
転移した部屋に配置されていた丸テーブルを囲んで座って待っていた俺達の所に来るとその板をテーブルの真ん中に置いてザガドとトビの間に腰かける。
表面は硝子製なのか光沢があって、黒い断面には顔が移るくらいに磨かれている。
「それは何ですの?」
トビも初めて目にする板に不思議そうだ。
「ヨハンがあちらの世界から唯一持ち込んだタブレットという映像が見られる物だ」
「は?!」
「嘘やろ?!」
「兄上?!」
俺は呆けそうになるし、トビは驚きに目を見開くし、ザガドは兄の言動に信じられないと驚愕していた。
「確かあちらの物は持ち込めないし、持ち込んではならない決まりだと····」
「そうだ。
それはヨハンにもあらかじめ伝えていたんだ。
だが本当に持ち込めないかは誰も試した事は無かっただろう?
あちらの服や装飾品は身に付けたままで転移できると聞いて、ヨハンはそれならと服の下に隠して持って来ていたんだ。
ただ異世界の物がこちらの世界に悪影響を及ぼす可能性はあったから、使う時はこの部屋でだけだと約束していた」
····どうやら伴侶はやらかし体質らしい。
「どうしても思い出を手元に置いておきたかったといわれると取り上げたり壊したりできなかった。
あちらでは思い出を映像に残す技術が素晴らしくてね。
手軽に残せて楽しめる環境なんだと言っていた」
そう言いながら机に置いたそれの端についている何かを押す。
すると真っ黒だった硝子の板が光って絵が映る。
それを手慣れた感じで触れていくと、急に幼いレンと金髪碧眼の少年が仲良く並んで笑う映像が映し出されて心臓がドクリと嫌な音を立てた。
金髪のコイツ誰だよ?!
だが良く見るとレンの目は青色だし、雰囲気が違う。
この子はもっと快活そうだ。
レンじゃないのか?
「ヨハンが子供の頃に写したお気に入りの1つだと言っていた。
金髪の少年がヨハンだ」
「ほなこっちの子は?」
「その子がヨハンと同じ病を患っていた番殿の子供だ」
「「····は?」」
ザガドは何となく予想していたようで少し目を大きくしただけだったが、トビは唖然としているし、俺は呆然自失状態に陥る。
「え、ちょお待って。
レンカちゃんて子持ちやったん?!
初耳やん。
え、子供が子供産んだん?!
相手····そうや、子供の父親は?!
まさか異世界は相手無しに子供に子供が出来るとか?!」
「お、落ち着け副会長!
グラン、しっかりしろ!
戻って来い!」
トビが思わず立ち上がり、焦りに焦った様子で巡りに巡る脈絡の無い思考回路を口に出す。
ザガドはそれをなだめつつ、目と口を開けてぼうっとする俺をゆすって声をかける。
そうさせた藍色の張本人だけが面白い物を見るようににこにこと笑っている。
「そうか、あちらでの番殿を君達は知らないのか。
だとしたら君達にはかなり刺激の強い映像になるかもしれないんだが····どうしようか?」
試すような物言いに、ふと我に返る。
トビも同じようにピタリと口をつぐむ。
「それは映像を見られる魔石具のようなもので、もしかしてあちらの世界でのレンカの映像も見られる、と?」
「ああ、だから番殿の事がわかったのだ」
「····兄上」
トビは何か物言いたげな顔をしているが、それ以上は何も言わずにただ俺の顔を見つめてきた。
ザガドは逆に兄の真意を探るように隣をのぞき込む。
大丈夫だ、トビ。
俺はトビに頷いてから前国王をひたと見た。
ザガドはそんな俺達のやり取りを静観する。
「ドゥニーム前国王陛下。
本心を言えば俺は異世界での番の事を知りたい。
異世界にいた事を知ったのもつい先日だ。
子供がいた事も、あちらでどんな生き方をしていたのかも何も知らない。
だがこれ以上は本人から直接聞きたい。
俺達は知り合ってまだ間がないし、人属のレンは獣人と違って番だからとすぐに受け入れては貰えない。
それにあの子が何かに傷ついていても教えもは貰えない。
それでも俺はあの子が教えてくれるまで待ち続けます。
レンの、レンカの過去がどうであれ俺の愛は揺るがないから、いつまででも待てるんです」
はっきりと断りを入れて立ち上がる。
「せやな。
レンカちゃんに子供がおったんはびっくりやけど、だからいうて俺もレンちゃんやレンカちゃんへの家族としての情は何も変わらへんし、レンちゃんから教えて貰わんと後々バレた時にあの子を傷つけそうやから今は遠慮しときます」
トビも同じように立ち上がった。
「そうか。
ならば強制はしない。
試すような事をしてしまってすまなかったな。
伴侶の初恋の相手が突然現れてつい意地の悪い事をしてしまった」
「兄上····」
やっぱりコイツ嫌いだな。
反省なんかしてない顔してんなよ。
つうか初恋の相手ってどういう事だよ。
兄上大好きなザガドも呆れてるぞ。
まあ気持ちはわからなくもないが。
「それでは」
「ほなまた後で」
トビも俺も疲れた顔をしていたに違いない。
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そうだ、憩いの時間を過ごしに行こう。
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