《完結御礼》【溺愛中】秘密だらけの俺の番は可愛いけどやることしれっとえげつない~チートな番を伴侶にするまでの奔走物語

嵐華子

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143.周りも秘密が多すぎる

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「ゼネガラに聞いたらレンちゃん疲れたからそのまま部屋に戻ったみたいや。
休憩してからまた資料作る言うてる。
兄さんは今から休憩やろ?
今やったらレンちゃんも時間取れるから、兄さんも一緒に来たらええよ」

 部屋を出てすぐ、トビが風を使って連絡を取ると誘ってくれた。
もちろん断るはずもなく、喜んでついて行く。

「それにしてもさっきのあの話はびっくりやったわ。
兄さんもよう断ったな。
番の事やったら何がなんでも知りたい思うんがメルのさがやのに」
「もし俺があそこであの話に乗ってたら、お前はどうしたんだ?」
「あの板叩き割って兄さんとは今後会わさへんようにしたな」

 何の躊躇いもなくきっぱり言い切られる。

「酷いな」
「レンちゃんは俺にとって大事な家族やもん。
それに異世界での何かがあって魂に傷が入ってるんやったら余計に勝手な事なんかでけへんし、させへん。
あの前国王がレンちゃんに少なからずの悪意を持つんは勝手やけど、それでレンちゃんを傷つけるんはおかど違いやわ」

 まあトビの言う事は最もだ。
さっきまでの商人らしい顔は成りを潜め、苛々とため息を吐く。
さっきはトビも俺と同じく色々我慢していたんだろう。

 獣人の中でも竜人は特に独占欲が激しい。
あの程度の嫉妬心で終わっているのはレンが黒竜の番で魔の森の執行者だからというよりも、今さら伴侶が目覚めるとは考えていないからだろう。
口にこそ出さないが、むしろ伴侶を助けるのに積極的ではないのかもしれない。
目覚めれば伴侶が初恋の相手とやらのレンを求めるかもしれないから····。

 ふっ····苛々するなあ!!
レンが伴侶を助けるのかは知らないが、もう見捨てていいと思うぞ!

「兄さん、業務外はホンマ残念やな····」
「うるさい。
そもそもレンが可愛すぎるんだ」
「いや、意味わからへん」

 なんて軽口を叩いている間に商会として与えられた部屋に辿り着く。
いつの間にか部屋を移っていたらしい。

「俺やで~」

 ノックしてトビが声をかけるとがチャリと扉が開いて会議の時の薄茶色の髪の人属が出てきた。
名前はカミュラでレンの世話役をしているだけあって暇を見つけていつ顔を見に行っても側にいた。
レンの服や下着の製作を担当しているのもこの人属で、性について知る数少ない外部の人間だ。

 見覚えのある礼服を腕に引っかけているから、片づけていたんだろう。

「副会長、お帰りなさい」
「ただいま~」

 軽い会話をしながら中に入る。
三間続きの広い部屋だ。
護衛の都合で1番奥からトビ、レン、商会員の順に部屋を割りふっているらしいが、商会員の部屋は打ち合わせにも使える仕様で広い。

「やほー、副会長」

 こちらに背を向けて置かれたソファに腰かけたあの軽い護衛が顔だけ振り返ってひらひらと手を振る。

「レンちゃんはあっちの部屋におるん?」
「ここだよ」

 隣を指差す。
ソファの正面に回ってみるとレンが眠っていた。

「何でこんな寝方を?」

 レンは床に引かれた絨毯の上にペタリと座ってソファの座面に突っ伏していた。
あの礼服からダボッとした部屋着に着替えていて、髪もほどいて眠るのには適した装いだ。

「眠るのならあっちのベッドに移動させた方がいいんじゃないのか?」

 ベッドに寝かせれば艶が増した黒髪で隠れてる可愛い顔も堪能し放題だしな。
そう思って華奢な体に近づくが、トビに止められた。

「今はアカン。
そのままにしたって」
「何でだ?」
「多分貧血が酷すぎてまともに寝られてへんのや。
横になったら呼吸が浅くなって上手く空気を取り込めへんようなるんよ。
ほら、レンちゃんが爺さんと副団長間違えてギャン泣きした時あったやん?
あの時むせて起きたやろ?」

 仕方なく軽い男、セルジオの反対側へ起こさないよう気をつけながら静かに腰かける。
 そういえばあの後ずーっと副団長がレンを抱っこしてたんだよな。
俺、拒絶されたしな。

「思い出して落ち込むとか止めてや。
俺らが話してても起きる気配ないし、昨日はあんま寝られてへんな。
あの貧血の薬飲めてる時はあんまりここまでなる事はあらへんけど、今は食べ物もそんなに食べられへんから胃の負担考えてまだあっちの薬は飲ましてないんよ」

 言いながら対面に置かれたソファに座ってカミュラを呼ぶ。
既に用意していたんだろう書類をすぐにカミュラから受け取って目を通し始める。

「ん、これでええわ。
セルジオはしばらく休憩しといて。
積もる話があるんやったら会いに行ってもかまへんし」

 ん?
何か意味深だな。
カミュラははっとしたようにセルジオを振り返る。
そういえばこの護衛は竜人みたいだし、新旧の国王達も知ってるような反応してたが····。

「意地悪だなあ。
自分から会いに行ったりしないよ?
カミュラもそんな顔しなくて良いって」

 セルジオが立ち上がると大股で2歩歩いてカミュラを抱きしめる。

「心配しなくても俺はカミュラとずっと一緒にいるよ。
この国にはとっくに見切りをつけてるし、番で伴侶のカミュラと生きてくよ。
カミュラと同じくレンへの恩返しもまだまだ出来てないんだから、この国に留まってなんかいられないでしょ」
「····うん。
わかってる」

 少しほっとした様子でカミュラがセルシオを見上げるとその額に口づける。

「あー、これ以上は2人きりの時にやってや。
書類はこれでええから、カミュラも休憩入ってええよ」
「え、でもまだ····」
「行こう、カミュラ。
ありがと、副会長」
「はいよ。
呼ぶまでは休憩しといて」

 突然始まった桃色な雰囲気を察したらしいトビが休憩を餌に追い出した。

「今のはどういう事だ?」

 2人が出ていってから尋ねる。

「セルジオとカミュラやったら番で伴侶やで?」
「違う、それじゃない」

 トビよ、わかりきってるのにボケるのやめろ。

「冗談やって。
セルジオは元々はこの国の出身で新旧国王の従兄弟にあたんねん」
「····もう少し詳しく頼む」

 レンだけじゃないな。
レンの周りも大概秘密が多すぎるだろう?!
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