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223.誘拐犯と過激派貴族達
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「見てはおりません。
ただ、聞こえてはおりました」
「聞こえては?」
王子が訝しげな顔になる。
「はい。
この国には鳥系統の獣人が多くおります。
先程のアルロー男爵もそうですが、中には聴覚の発達した者も多い。
私は梟属の血を引き、夫人の居場所を特定するのに魔法で集音もしておりました。
ですから声だけは遠くとも聞こえております」
そう言って横を向き、猫っ毛な髪をかき上げると鳥属特有のお耳の穴が見えた。
梟属はお耳の位置が左右非対称で、離れた所にいても音だけで相手の居場所をある程度把握できるんだ。
確か彼の祖父が梟属。
彼は獣人と人属のクオーターだよ。
ゴードンお爺さんみたいに体に羽毛は生えてなくて、彼の場合はお耳の方に1番特徴が出たんだって。
「我々は数年前のアドライド国王子誘拐事件の犯人とその背後を調べておりました。
今日手引きしたのはその関係者でしょう」
うーん、体が温まってきたし、義兄様が背中をとんとんしてくれ始めたから瞼が重くなっちゃうね。
「何故貴国がそれを調べられたのか?」
「アドライド国が同盟各国へ捕縛要請を行った事はご存知でしょう。
もちろん我が国も各国にそれなりの情報網は敷いております。
それに周到な計画をもって王族を誘拐しようとする危険人物達ですからね。
こちらとしても調査しないわけにはまいりません」
「確かに同盟国には情報を求めていたな」
側近の言葉に王子も思い出したように頷く。
元々あの3人は他国を拠点にしてたみたいだから、さすがに協力を求めてたみたいだね。
まああんな大々的な誘拐事件だもの。
国としても捕縛には力を入れるところを見せないと沽券に関わるか。
「彼らは誘拐直後にアドライド国を出国し、我が国の諜報では足取りを途切れさせつつもアドライド国の近隣諸国をうろついているのは把握しておりました。
しかし結局はその背後関係までは掴めず。
ですがここ1年いかないくらいになってどうやらザルハード国を経由し、大きく回る形で大河を渡り、北の諸国で目撃されるように」
「そうか。
それを我が国と情報共有したのか?」
「はい。
貴殿がアドライド国より我が国への親善訪問をしたいと打診を受けた時期に我が国で誘拐犯らしき目撃情報がございましたから」
うーん、けれどこないだの国王の感じでは僕がこないだ調べ直すように要請したのが今日の元王女の暴走トリガーになった気がしてきだぞ?
何となくだけど。
それにしても····眠い。
義兄様が僕のマグをそっと受け取ってテーブルに置いたくらいには眠い。
細身だけど青年らしい、逞しく成長したお胸から聞こえるゆっくりした拍動が心地良いんだよね。
「しかし時を同じくして反王派の中でも過激な貴族派の一部が活発化しました。
元より陛下の即位を阻み、即位後は何かと反発していた反王派の貴族達でしたからそれなりに邪魔ではあったんですがね。
そんな彼らの動きの質が明らかに変わったのがその頃です。
例の元王女とその息女を祭り上げようとクェベル国の中でも侵略戦争を良しとする過激派に接触していたのをグレインビル嬢が我が国にいらしたお陰で察知しました」
うーん、僕はこの場にいるのかな?
いよいよ瞼が重いぞ····。
「あのような者達を祭り上げる?
それに何故あの令嬢が出てくる?」
「傀儡にするにはちょうど良い人材かと。
ただ娘の方は色々な意味で愚か過ぎた為、詳しい内容は知らされていませんでした。
下手をすればベラベラと話してしまうような、反乱分子としては危機感のない世間知らず。
その上、己の力量を大きく誤った傲慢な性格ですからね。
しかも腹に一物も持てない愚か者だ」
「な、なるほど」
随分な悪意を感じて王子も引いてるよ。
まあ彼の悪意はそう育てた元王女の方に向いてるんだろうけどね。
根は良くも悪くも素直な気質だから、ちゃんと令嬢らしく教育してればあんな風にはならなかったんじゃないかな。
僕は個人的には嫌いではなかったよ。
いつぞやの夏のお茶会の公爵令嬢や従姉様みたいな感じだったもの。
まああの頃の彼女達とは年齢が違うし、既に大人な分陰険さはプラスされてて再教育は無駄だろうけどさ。
「薄々感じてらっしゃったと思いますが、彼らはアドライド国第2王子である貴殿と婚姻を結ばせ、アドライド国の後ろ盾を得た後、あの令嬢の王位継承権を認めさせる計画でした」
「····まあ、婚姻はそうだろう。
だが王位継承権は難しくないか?
それとも夫人、いや、元王女の言っていた王族直系の血という事が関係していると?」
王子は辟易したお顔で無言になった後、当然の疑問を口にする。
「それについては今すぐに詳しい回答はできかねますが、そういう事だと思っていだいてけっこうですよ」
まあ明確な発言はできないよね。
リアルに起こればなかなかのドン引きドラマだっただろうし、元王女の祖国のクェベル国との関係もあるもの。
唯一で1番の救いはあの国は彼女が王女だった頃から代替わりをして、今の国王や周りの重臣とは既に繋がりが無い事だね。
そしてこの国の国王にエヴィン元将軍が即位してからは友好国としての関係を順調に築いている。
この国の反王派の過激貴族達が繋がりを持ったクェベル国の侵略戦争歓迎派達は穏健派に淘汰されようとしていたはずだ。
それくらい今のクェベル国、というか北の諸国全体で穏健派が多くなった。
まあ北の周辺国ではちょこちょこ変わってた国王の代替わり、紛争から侵略までがほぼ無くなって疲弊してた情勢も経済も全体的に落ち着いたんだから当然かな。
貧しかった北の諸国が今みたいに情報共有したり、外交や交易を盛んにさせてまとまりが取れるようになったのなんて、諸国の建国単位で考えればごくごく最近みたいなものなんだから。
手離したくない貴重は平和のはずだよ?
だから今のこの北の諸国情勢で、そもそも何で他国の、それも数が減ってなりを潜めていた過激派貴族達の繋がりができたんだろうって不思議になるんだ。
僕としてはどこぞの誘拐犯達がうろうろと何してたのかが気になっちゃうってもんだよね。
ただ、聞こえてはおりました」
「聞こえては?」
王子が訝しげな顔になる。
「はい。
この国には鳥系統の獣人が多くおります。
先程のアルロー男爵もそうですが、中には聴覚の発達した者も多い。
私は梟属の血を引き、夫人の居場所を特定するのに魔法で集音もしておりました。
ですから声だけは遠くとも聞こえております」
そう言って横を向き、猫っ毛な髪をかき上げると鳥属特有のお耳の穴が見えた。
梟属はお耳の位置が左右非対称で、離れた所にいても音だけで相手の居場所をある程度把握できるんだ。
確か彼の祖父が梟属。
彼は獣人と人属のクオーターだよ。
ゴードンお爺さんみたいに体に羽毛は生えてなくて、彼の場合はお耳の方に1番特徴が出たんだって。
「我々は数年前のアドライド国王子誘拐事件の犯人とその背後を調べておりました。
今日手引きしたのはその関係者でしょう」
うーん、体が温まってきたし、義兄様が背中をとんとんしてくれ始めたから瞼が重くなっちゃうね。
「何故貴国がそれを調べられたのか?」
「アドライド国が同盟各国へ捕縛要請を行った事はご存知でしょう。
もちろん我が国も各国にそれなりの情報網は敷いております。
それに周到な計画をもって王族を誘拐しようとする危険人物達ですからね。
こちらとしても調査しないわけにはまいりません」
「確かに同盟国には情報を求めていたな」
側近の言葉に王子も思い出したように頷く。
元々あの3人は他国を拠点にしてたみたいだから、さすがに協力を求めてたみたいだね。
まああんな大々的な誘拐事件だもの。
国としても捕縛には力を入れるところを見せないと沽券に関わるか。
「彼らは誘拐直後にアドライド国を出国し、我が国の諜報では足取りを途切れさせつつもアドライド国の近隣諸国をうろついているのは把握しておりました。
しかし結局はその背後関係までは掴めず。
ですがここ1年いかないくらいになってどうやらザルハード国を経由し、大きく回る形で大河を渡り、北の諸国で目撃されるように」
「そうか。
それを我が国と情報共有したのか?」
「はい。
貴殿がアドライド国より我が国への親善訪問をしたいと打診を受けた時期に我が国で誘拐犯らしき目撃情報がございましたから」
うーん、けれどこないだの国王の感じでは僕がこないだ調べ直すように要請したのが今日の元王女の暴走トリガーになった気がしてきだぞ?
何となくだけど。
それにしても····眠い。
義兄様が僕のマグをそっと受け取ってテーブルに置いたくらいには眠い。
細身だけど青年らしい、逞しく成長したお胸から聞こえるゆっくりした拍動が心地良いんだよね。
「しかし時を同じくして反王派の中でも過激な貴族派の一部が活発化しました。
元より陛下の即位を阻み、即位後は何かと反発していた反王派の貴族達でしたからそれなりに邪魔ではあったんですがね。
そんな彼らの動きの質が明らかに変わったのがその頃です。
例の元王女とその息女を祭り上げようとクェベル国の中でも侵略戦争を良しとする過激派に接触していたのをグレインビル嬢が我が国にいらしたお陰で察知しました」
うーん、僕はこの場にいるのかな?
いよいよ瞼が重いぞ····。
「あのような者達を祭り上げる?
それに何故あの令嬢が出てくる?」
「傀儡にするにはちょうど良い人材かと。
ただ娘の方は色々な意味で愚か過ぎた為、詳しい内容は知らされていませんでした。
下手をすればベラベラと話してしまうような、反乱分子としては危機感のない世間知らず。
その上、己の力量を大きく誤った傲慢な性格ですからね。
しかも腹に一物も持てない愚か者だ」
「な、なるほど」
随分な悪意を感じて王子も引いてるよ。
まあ彼の悪意はそう育てた元王女の方に向いてるんだろうけどね。
根は良くも悪くも素直な気質だから、ちゃんと令嬢らしく教育してればあんな風にはならなかったんじゃないかな。
僕は個人的には嫌いではなかったよ。
いつぞやの夏のお茶会の公爵令嬢や従姉様みたいな感じだったもの。
まああの頃の彼女達とは年齢が違うし、既に大人な分陰険さはプラスされてて再教育は無駄だろうけどさ。
「薄々感じてらっしゃったと思いますが、彼らはアドライド国第2王子である貴殿と婚姻を結ばせ、アドライド国の後ろ盾を得た後、あの令嬢の王位継承権を認めさせる計画でした」
「····まあ、婚姻はそうだろう。
だが王位継承権は難しくないか?
それとも夫人、いや、元王女の言っていた王族直系の血という事が関係していると?」
王子は辟易したお顔で無言になった後、当然の疑問を口にする。
「それについては今すぐに詳しい回答はできかねますが、そういう事だと思っていだいてけっこうですよ」
まあ明確な発言はできないよね。
リアルに起こればなかなかのドン引きドラマだっただろうし、元王女の祖国のクェベル国との関係もあるもの。
唯一で1番の救いはあの国は彼女が王女だった頃から代替わりをして、今の国王や周りの重臣とは既に繋がりが無い事だね。
そしてこの国の国王にエヴィン元将軍が即位してからは友好国としての関係を順調に築いている。
この国の反王派の過激貴族達が繋がりを持ったクェベル国の侵略戦争歓迎派達は穏健派に淘汰されようとしていたはずだ。
それくらい今のクェベル国、というか北の諸国全体で穏健派が多くなった。
まあ北の周辺国ではちょこちょこ変わってた国王の代替わり、紛争から侵略までがほぼ無くなって疲弊してた情勢も経済も全体的に落ち着いたんだから当然かな。
貧しかった北の諸国が今みたいに情報共有したり、外交や交易を盛んにさせてまとまりが取れるようになったのなんて、諸国の建国単位で考えればごくごく最近みたいなものなんだから。
手離したくない貴重は平和のはずだよ?
だから今のこの北の諸国情勢で、そもそも何で他国の、それも数が減ってなりを潜めていた過激派貴族達の繋がりができたんだろうって不思議になるんだ。
僕としてはどこぞの誘拐犯達がうろうろと何してたのかが気になっちゃうってもんだよね。
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