349 / 491
8
348.内緒と提案
しおりを挟む
「そういえば、近々ギディアス王太子殿下の婚約者の発表がお披露目されるのは知っていらして?」
「もちろん。
来年には御成婚と聞いたわ」
近況報告もお互い終えて、アフタヌーンティーも佳境に入った。
艶女がロイヤルの旬の話題を口にすればスーパーモデルも頷く。
もちろん僕もマカロンをもぐもぐしながら、ふんふんと首を振る。
「ふふふ、リスみたいね。
でもまだどなたかは伏せられているのでしょう?
かなり厳重に事を運んだみたいで、知る人も限定的だとか」
「国内の方でないのは確かなようでしてよ。
知っているのは王家とその側近たる面々、宰相くらいと聞きましたわ。
アリーは何か知っていらして?
お兄様達から何かお聞きになっているのではなくって?」
美女2人がわくわくした、とっても熱い視線を僕に向けてくる。
もちろんお口の中をごっくんと飲みこんでから口を開く。
「えへへ、照れちゃう」
片やスーパーモデル、片や艶女。
照れないはずがない。
「あら、可愛いい」
「まあ、はぐらかされては駄目よ」
僕の照れが移ったジェン様と、注意喚起するレイチェル様。
「何となく予想はしていますが、どなたかから聞いてはいませんよ。
ですから皆さんと同じで憶測です。
それに王家の方達がこれほど秘密裏に進めているのに、滅多な事も言えません。
なので内緒です」
口元で人差し指をバッテンにして言わないぞ、とジェスチャーもしておく。
「やだ、誘われているのかしら」
「シュレジェンナ様、それは大きな勘違いでしてよ。
少しだけでも、駄目かしら?
婚約の儀や婚姻式では是非うちのレースを使用して欲しいわ」
「んふふ、駄目です」
この短い時間でいつの間にか艶女がスーパーモデルにツッコミを入れるくらい仲良くなってる。
なんて微笑ましく思いつつ、艶のあるお声で招魂逞しい内容のお願いは棄却する。
僕だって一応成人した貴族だもの。
発言に責任は持たなくちゃ。
でもそんな事は最初からわかってたんだろうね。
それなら、と話題を変えてきた。
「残念だけれど、仕方ありませんわね。
ねえ、アリー?
それで私を紹介したようにしてここに呼んだ本当の理由。
そちらは教えていただけるのでしょう?
もちろん私にはとても魅力的なお話だと思っているのだけれど?」
ふぐっ。
艶女の流し目、色っぽい!
僕も成人した以上、いつかできるようにならねば!
「んふふ、さすがレイチェル様。
私の事がよく解ってますね」
「あら、それは是非私も知りたいわ」
「もちろんです。
レイチェル様、確かネイルサロンの育成所がそろそろ手狭でしたよね?
それからレースの育成も順調で、治安も改善されているとか」
「そうね」
レイチェル様が何かに気づいたように改まり、すぐに微笑む。
「でもうちの領地ではそろそろ手狭になってきましたの。
元々がグレインビル領やこのファムント領のような大きな領地ではありませんもの。
王都に近いから販売等には向いているのだけれど、何かしらの製品を大量生産するのには不向きな領地なのよ。
ほら、レースやネイルの受注も多くなっているのはご存知でしょう?
うちの領民も頑張ってくれているのだけれど思っていたより受注が多くて。
そろそろどこかと提携できればと考えていましたわ。
でもバリーフェの素材も他国とグレインビル領を介する分、費用もかかりますの。
これ以上の仲介は費用的にも難しいのが悩みの種。
費用に折り合いをつけて引き受けて下さる業者もなかなか、ねえ」
ふふふ、僕の意図がわかってきたみたい?
チラリとジェン様に向けた困り顔がとってもわざとらしい。
対してジェン様のお顔はとってもキラキラしてきた。
そうだよね。
この領地ではバリーフェが捕れるもの。
うちの領の雪室を使う手間は仕方ないにしても、自領で素材が捕れて、国内で処理を終わらせられるのは他国を介するよりメリットは高い。
それに今は他国の独占市場になってるバリーフェは、それなりに費用がお高いんだ。
使えない魚だったのに、今では高級魚扱いだよ。
まあ捕るの大変だから仕方ない。
一応はうちの領が関わる事で、他国の不当な価格上昇は抑えられているけどね。
商会長さん達とも懇意にしてるから無理にふっかけたりもされないよ。
ただ状況はいつ変わるかわからない。
他国ではまだ紛争地帯もあるし、小さな国同士の小競り合いはどこでもある。
商会だっていつまで健在かはわからないのがこの世界の常識なんだ。
だから国内流通の安定に地産地消の意識は大事。
「ジェン様、アドバイザーとしての提案です。
第2の温泉街予定地かその近くに美容学校を作りませんか?」
「んん?
え、学校?」
「まあ、楽しそうね」
戸惑うジェン様とのってきたレイチェル様。
スーパーモデルの戸惑い顔が何だか可愛らしいね。
戸惑う気持ちはわかる。
ジェン様的にはバリーフェから作るコート剤の生産を考えていたんじゃないかな。
もちろんそちらも必要だけどね。
レイチェル様は僕の言いたい事がわかったみたい。
さすが、自領で孤児の教育を頑張ってきただけの事はあるね。
※※※※※※※※※
後書き
※※※※※※※※※
本日は2話更新しています。
「もちろん。
来年には御成婚と聞いたわ」
近況報告もお互い終えて、アフタヌーンティーも佳境に入った。
艶女がロイヤルの旬の話題を口にすればスーパーモデルも頷く。
もちろん僕もマカロンをもぐもぐしながら、ふんふんと首を振る。
「ふふふ、リスみたいね。
でもまだどなたかは伏せられているのでしょう?
かなり厳重に事を運んだみたいで、知る人も限定的だとか」
「国内の方でないのは確かなようでしてよ。
知っているのは王家とその側近たる面々、宰相くらいと聞きましたわ。
アリーは何か知っていらして?
お兄様達から何かお聞きになっているのではなくって?」
美女2人がわくわくした、とっても熱い視線を僕に向けてくる。
もちろんお口の中をごっくんと飲みこんでから口を開く。
「えへへ、照れちゃう」
片やスーパーモデル、片や艶女。
照れないはずがない。
「あら、可愛いい」
「まあ、はぐらかされては駄目よ」
僕の照れが移ったジェン様と、注意喚起するレイチェル様。
「何となく予想はしていますが、どなたかから聞いてはいませんよ。
ですから皆さんと同じで憶測です。
それに王家の方達がこれほど秘密裏に進めているのに、滅多な事も言えません。
なので内緒です」
口元で人差し指をバッテンにして言わないぞ、とジェスチャーもしておく。
「やだ、誘われているのかしら」
「シュレジェンナ様、それは大きな勘違いでしてよ。
少しだけでも、駄目かしら?
婚約の儀や婚姻式では是非うちのレースを使用して欲しいわ」
「んふふ、駄目です」
この短い時間でいつの間にか艶女がスーパーモデルにツッコミを入れるくらい仲良くなってる。
なんて微笑ましく思いつつ、艶のあるお声で招魂逞しい内容のお願いは棄却する。
僕だって一応成人した貴族だもの。
発言に責任は持たなくちゃ。
でもそんな事は最初からわかってたんだろうね。
それなら、と話題を変えてきた。
「残念だけれど、仕方ありませんわね。
ねえ、アリー?
それで私を紹介したようにしてここに呼んだ本当の理由。
そちらは教えていただけるのでしょう?
もちろん私にはとても魅力的なお話だと思っているのだけれど?」
ふぐっ。
艶女の流し目、色っぽい!
僕も成人した以上、いつかできるようにならねば!
「んふふ、さすがレイチェル様。
私の事がよく解ってますね」
「あら、それは是非私も知りたいわ」
「もちろんです。
レイチェル様、確かネイルサロンの育成所がそろそろ手狭でしたよね?
それからレースの育成も順調で、治安も改善されているとか」
「そうね」
レイチェル様が何かに気づいたように改まり、すぐに微笑む。
「でもうちの領地ではそろそろ手狭になってきましたの。
元々がグレインビル領やこのファムント領のような大きな領地ではありませんもの。
王都に近いから販売等には向いているのだけれど、何かしらの製品を大量生産するのには不向きな領地なのよ。
ほら、レースやネイルの受注も多くなっているのはご存知でしょう?
うちの領民も頑張ってくれているのだけれど思っていたより受注が多くて。
そろそろどこかと提携できればと考えていましたわ。
でもバリーフェの素材も他国とグレインビル領を介する分、費用もかかりますの。
これ以上の仲介は費用的にも難しいのが悩みの種。
費用に折り合いをつけて引き受けて下さる業者もなかなか、ねえ」
ふふふ、僕の意図がわかってきたみたい?
チラリとジェン様に向けた困り顔がとってもわざとらしい。
対してジェン様のお顔はとってもキラキラしてきた。
そうだよね。
この領地ではバリーフェが捕れるもの。
うちの領の雪室を使う手間は仕方ないにしても、自領で素材が捕れて、国内で処理を終わらせられるのは他国を介するよりメリットは高い。
それに今は他国の独占市場になってるバリーフェは、それなりに費用がお高いんだ。
使えない魚だったのに、今では高級魚扱いだよ。
まあ捕るの大変だから仕方ない。
一応はうちの領が関わる事で、他国の不当な価格上昇は抑えられているけどね。
商会長さん達とも懇意にしてるから無理にふっかけたりもされないよ。
ただ状況はいつ変わるかわからない。
他国ではまだ紛争地帯もあるし、小さな国同士の小競り合いはどこでもある。
商会だっていつまで健在かはわからないのがこの世界の常識なんだ。
だから国内流通の安定に地産地消の意識は大事。
「ジェン様、アドバイザーとしての提案です。
第2の温泉街予定地かその近くに美容学校を作りませんか?」
「んん?
え、学校?」
「まあ、楽しそうね」
戸惑うジェン様とのってきたレイチェル様。
スーパーモデルの戸惑い顔が何だか可愛らしいね。
戸惑う気持ちはわかる。
ジェン様的にはバリーフェから作るコート剤の生産を考えていたんじゃないかな。
もちろんそちらも必要だけどね。
レイチェル様は僕の言いたい事がわかったみたい。
さすが、自領で孤児の教育を頑張ってきただけの事はあるね。
※※※※※※※※※
後書き
※※※※※※※※※
本日は2話更新しています。
1
あなたにおすすめの小説
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
※他サイトでも掲載しています
※ちょいちょい手直ししていってます
2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜
櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。
パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。
車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。
ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!!
相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム!
けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!!
パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!
元社畜悪役令嬢、辺境のボロ城を全自動ボタニカル美容スパに大改造して引きこもる ~前世コスメで冷徹公爵を完治させたら溺愛されました~
季未
恋愛
「貴様のような悪逆非道な女は、極寒の辺境へ追放だ!」
建国記念の夜会で王太子から婚約破棄を突きつけられた公爵令嬢シャルロッテ。
しかし、彼女の中身は前世でブラック企業に殺された過労で過労死したマーケターだった!
(激務の王妃ルート回避!? しかも辺境は誰にも邪魔されないブルーオーシャン! 最高のフリーランス生活の始まりじゃない!)
理不尽な追放を究極のホワイト・スローライフへのパスポートだと歓喜した彼女は、あてがわれた辺境のボロ城を、前世の「DIY・スマートホーム知識」と「土・水魔法」を駆使して爆速で大改造!
隙間風の吹く部屋は、一瞬で「床暖房完備の全自動温水スパ」へ。
辺境に自生する雑草からは「極上ボタニカルコスメ」を開発し、自らも絶世の美女へと変貌していく。
さらに「お前には干渉しない」と白い結婚を突きつけてきたはずの、呪いで顔に火傷を負った氷の公爵に特製マッサージと美肌治療を施したところ……。
「お前が作ったこの空間と、お前自身が……俺のすべてだ」
冷徹だったはずの公爵様が、極上の癒やし空間と彼女の手技で完全に骨抜きにされ、異常なまでの過保護・溺愛モードに突入!?
現代マーケティングと美容チートで辺境を超高級スマート・リゾートへと再生させ、かつて自分を追放した王太子たちを大後悔させる!
爽快&極甘な、異世界リゾート経営×溺愛ファンタジー、堂々開幕!
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる