秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活〜魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話

嵐華子

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349.模倣と新たな文化の発信の提案

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「はい。
といっても養成所の延長、職業訓練校のようなものですが」
「職業訓練····内容は?」
「そうですね。
さしあたっては貴族女性向けのオーダーメイドのネイルシールやカラーコートの作り手と、ハンドケアもできるネイリスト。
こちらはレイチェル様の領で実践した事を模倣した上で、ファムント領での特色を何かしら出す必要があります。
ですがバリーフェを直接捕獲できるのがこの領地の強みになりますから、特産品として広く販売するのは同一カラーで統一し、貴族向けにオーダーメイドカラーを作る技術を確立し、ネイリストが個々に対応できるような教育をすれば、大衆向けと貴族向けそれぞれに対応した人材を育成できます」

 ふふふ、レイチェル様が何だか得意気なお顔になってる。

 そうだよね、短期間で孤児達の育成から始まって貴族に対応できるまでに育てあげるって、とっても大変だったはずだ。
0から始めて短期間で成果を出すって大変だよね。

 一応うちの領地を参考にはしてたんだけど、ブルグル領は孤児や浮浪者への偏見も強かったから、難しさの種類が違ったんだ。

 その点ファムント領は同じような難しさのあったブルグル領で、既に枠組みをもって取り組まれている模倣だもの。
大変なのは間違いなくても0じゃなく1から始められるわけだから、難易度は随分違うはずだよ。

「そうね。
それは実践すべきね」

 ふふふ、予想通り随分素直に頷いてくれてる。

 チラリとレイチェル様を見れば、軽く頷いた。

「レイチェル様とは貴族向けに作る温泉施設での人の派遣と働き手の教育について既にお話しされたんですね」
「ええ。
しばらくはブルグル領から貴族を相手にする労働者で、うちの領民を教育できる者の派遣をお願いしたから、美容学校を作ってそちらで教育してもらえれば可能ではあるわね」

 そう言うと、少し顔を曇らせる。

「ただ彼らも温泉施設内で働く者の教育となると、また少しこれまでとは違った対応を求められて困惑するはずなの。
何より彼らは期間が決められた派遣労働者だもの。
畑違いの場では対応が異なって派遣される毎に教育にブレが生じる事もあるかもしれないってレイチェル様とも話していたところなのよ」

 その言葉にレイチェル様も綺麗に整えた眉を軽く寄せる。

「左様でしてよ。
派遣労働者は3カ月滞在して次の派遣と交代するのを長くて約2年続ける事で話はついたわ。
申し訳ないけれど、うちの領でも貴族を相手にできるほど教育できた平民の人材を長くは手放せないのが悩みどころでしてよ。
何せまだ教育が始まって数年ですもの。
正直違う領でも派遣する者の教育の軸がしっかり定まって伝えられるかと言われれば、怪しくってよ。
もちろんうちの領民の中では優秀なのだけれど。
とはいえ貴族の邸で働く使用人達は費用面でも、身分的な部分でも派遣は難しいでしょう?
そうした者達は身元のはっきりした下級貴族の子女が多いもの。
逆に平民との意識の違いに反発しかねませんわ」
「ええ。
ですから学校という場を作ってこの領地に見合ったマナーや専門職としての手技を統一する必要があるはずです」
「そうね。
レイチェル様、アリーの言う方向性で調整していってよろしいかしら?」
「もちろんでしてよ」

 美女達が頷き合う。

 けれどやっぱりジェン様は浮かない顔だ。

「でもね、アリー。
それだと女性ばかりが育成されてしまうのが難点のようなの。
現状ではネイリストは手を直接的に触れるから、女性の専門職になってしまうでしょ?
ブルグル領はレース編みの産地でもあるし、染色もいくらか栄えているから男性も活躍できるのだけれど····」

 ああ、やっぱりそうだよね。
ブルグル領でもやっぱりそういうのが問題になってきてるのかな?

 でも打開策は考えてきたんだ。

「はい。
ですので貴族男性向けにこの領で通用させるような専門職を作って育ててみるのはいかがですか?」
「作る?」
「はい。
カードやボードを使ったゲームディーラー。
お酒のアレンジを専門に扱うバーテンダー。
それらを専門職としてはいかがでしょう?
温泉施設でだた温泉に浸かるだけではやがて人々に、特に貴族には飽きがきてしまいます」
「うっ、確かに」

 スーパーモデルがギクリと表情を固くしてしまった。

「なので温泉以外の娯楽も必要です。
貴族男性も観光客として取り込むのなら、彼らの知識欲や高揚感を満たす類いの物を文化として発信する方法もあるんじゃないかと。
場合によっては男性向け、女性向け、それぞれのサロン施設を温泉施設内に作って気軽に情報交換ができる場を提供しても良いかもしれません」
「それぞれの性別向けのサロン····そういえば、あまり無いわね」
「はい。
サロンは大抵自分の邸内でお茶会や夜会として開かれますが、それ以外の場で公に提供する場は少ないですから」

 そう、これこそがこの広い領地を有効に活用する切り札になるんじゃないかと思ってる。

 要は今急ピッチで作ってる隣国との国境に近い第1の温泉街は、大衆観光客や真新しさに釣られる貴族向け。

 国境から国内に入った第2の温泉街予定地は、いわゆる貴族達のリゾート地化だ。
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